株式会社iDA(アイ・ディ・エー、以下iDA/本社:東京都渋谷区、代表取締役:堀井謙一郎)は、全国23拠点(北海道〜沖縄)の派遣ネットワークを通じて蓄積した、就業スタッフの支払実績データをもとに、ファッション・ビューティー業界の人材市場動向を可視化する調査レポート「iDA ファッション人材レポート vol.1」を発行しました。
今回は、2026年1月から6月までの支払実績を、業種別6カテゴリおよび主要16拠点を基に地域別4区分で分析しています。iDAでは、この業種別6カテゴリ・地域別4区分の支払実績集計を「iDA ファッション・ビューティー業界待遇マップ」と位置づけ、同一定義での経年比較を可能にする定点観測として継続的に開示します。
主要指標 — KEY FIGURES
データ対象:iDAが継続接点を持つ派遣就業スタッフの支払実績データ(全国23拠点、地域別集計は主要16拠点)に基づく調査です。 日本の販売職全体の統計推計ではありません。
【業種別】時給1,400円前後〜1,550円台に分布、コスメが上昇率首位+18.2%
ファッション・ビューティー業界6カテゴリの2026年上半期の処遇水準(時給)を見ると、 最も高い水準にあるのはラグジュアリーの1,550円台、最も低い水準にあるのは百貨店の1,400円前後でした。業種別の上昇率は2019年通年平均比で+9.9〜+18.2%となり、6カテゴリすべてでプラスとなっています。最高水準にあるラグジュアリーは上昇率では最も緩やかな+9.9%、上昇率1位はコスメの+18.2%で、 靴・バッグ+16.8%が続きます。
元から高水準にあった領域は伸びが緩やかで、それ以外の領域でベースラインが押し上げられたという「上から鈍化・下から押し上げ」の構図が読み取れます。(図1)
【地域別】南九州+19.3%・福岡+17.9%が東京+13.1%を上回る伸び
iDAは全国23拠点(北海道〜沖縄)の派遣ネットワークを展開しており、本調査では支払実績が継続的に集計されている 主要16拠点を、首都圏・主要都市圏・広域地方都市圏・地方圏の4区分で整理しました。
絶対水準では、東京を起点とした首都圏と梅田・名古屋を含む主要都市圏が時給1,500円前後〜1,600円台で上位に並びます。一方、2019年通年平均比では、南九州+19.3%、福岡+17.9%が、東京+13.1%、梅田+11.3%を上回るペースで推移しています。絶対値の1位は東京(1,604円)、代表拠点ベースの上昇率1位は南九州(+19.3%)となっており、都心が水準を牽引し、一部地方代表拠点が伸び率で追う傾向となりました。
その背景には最低賃金の地域別引き上げや地方圏での人材確保コスト上昇、観光需要の地方への広がりなどが想定されます。ただし本データは因果関係を検証したものではなく、各地域の最低賃金改定の動きと整合する方向性が読み取れるという構造観察です。
【構造変化】「販売職一律」から「多軸化」へ
業種別6カテゴリ、地域別4区分の動きを重ね合わせると、販売職の処遇は「一律のレンジで設計する」段階を抜けて、「業種・地域・専門性を織り込んだ多軸設計」の局面に入っています。業種別では、最高水準帯は伸びが緩やか、専門領域は加速、最低水準帯は底上げという 「上から鈍化・下から押し上げ」の構図により、ラグジュアリーと百貨店の業種間の時給格差は2019年通年平均の185円から2026年上半期の152円へ縮小しました。
地域別では、絶対水準1位の東京(1,604円・+13.1%)と、代表拠点ベースの上昇率1位の南九州(+19.3%)が並びました。専門性では、靴・バッグ+16.8%、コスメ+18.2%が業界平均を上回るペースで上昇しています。3つの軸が独立した動きを示している以上、「販売職」を一括りで扱う単一レンジでは、業種・地域・専門性のいずれかで競争力を失います。販売職処遇は領域単位・地域単位・専門性単位の 多軸設計へ移行していることが派遣就業データから読み取れました。
【業界・企業への示唆|販売職の処遇を再点検する3つの観点
本調査の結果は、ブランド企業の人事・採用責任者が販売職の処遇を見直す際の手がかりとなります。今回のデータから導かれる観点を3つに整理します。
観点1:業種カテゴリ別の報酬レンジ設計
6カテゴリは現在水準と上昇のドライバーが異なります。カテゴリを2〜3の報酬バンドに束ね、専門加速型には別建ての上限を置くなど、レンジ設計とキャリアパス設計を連動させることが人材確保力の差につながる材料となります。
観点2:地域別の市場水準を織り込んだ拠点設計
南九州・福岡など一部の地方代表拠点における上昇率の高まりは、地方での人材確保コストが構造的に上昇する動きと整合します。本社所在地基準の一律レンジを4区分の市場帯に合わせて拠点係数で上乗せ・調整するなど、拠点別の処遇点検が店舗運営の安定性を左右する論点となります。
観点3:専門性に応じた評価レンジの設計
靴・バッグ、コスメでは、商品理解や提案スキルへの市場評価が積み上がり、業界平均を上回るペースで ベースラインが押し上げられています。基本帯に専門加算を重ねるなど、専門スキルの蓄積段階に応じた評価レンジを 処遇に組み込むことが、人材確保に直結する論点となります。
業種間格差の縮小は、業界全体としてベースラインが押し上げられているフェーズの反映です。自社の処遇水準が3年前・5年前と同じレンジのままであれば、業界の動きから遅れている可能性があります。定期的な市場水準点検の必要性が本データから示唆されます。
まとめ|「販売職一律」の終わりと、多軸設計への移行
派遣就業データに基づく今回の調査では、販売職の処遇が業種別6カテゴリ・地域別4区分で整理できることを確認しました。 業種別では時給1,400円前後〜1,550円台、地域別では1,300円台前半〜1,600円台に分布し、 2019年通年平均比で業種別+9.9〜+18.2%、地域別+8.4〜+19.3%となりました。
南九州・福岡など一部の地方代表拠点では東京・梅田を上回る伸びが見られ、業種間格差は「上から鈍化・下から押し上げ」で縮小しました。これらを重ね合わせると、販売職の処遇は業種・地域・専門性を織り込んだ多軸設計の局面に入ったという構図が見えてきます。
求人サイト掲載額と実支払実績は、母集団・統計指標が異なるため単純比較できません。両者を併読することで処遇水準の点検補助線になります。また本レポートは派遣就業データに基づく集計であり、 正社員雇用を対象とした集計は別途公開を予定しています。
今後も「iDA ファッション・ビューティー業界待遇マップ」を定点観測として更新し、 構造観察の発信と処遇点検の論点整理に引き続き取り組みます。
レポートの全文はこちらからご覧いただけます。
https://ida-mode.com/reports/retail-pay-map-2026-h1/#structural-change
調査概要・方法・制約
概要: iDAが継続接点を持つ派遣就業スタッフへの支払実績データをもとに、スタッフ×JOB×年月度で時給を集計し、2026年上半期(1月〜6月)の月次加重平均時給の単純平均を算出しました。 比較起点は2019年通年の月次加重平均時給の単純平均です。全国23拠点を対象とし、地域別集計は継続集計できる主要16拠点に限定しています。本調査は業界全体の統計推計ではありません。
【株式会社iDA について】 https://www.ida-mode.com/
1999年3月創業。ワールド・モード・ホールディングスのグループ企業であり、ファッション・ビューティー業界を中心にクライアントニーズに応じて人材紹介、派遣、教育、店舗運営などトータルメニューでサービスを提供。求職者のキャリアプランやライフスタイルに沿った提案を行い、年間約1800人の社員転籍等を実現しています。
【ワールド・モード・ホールディングス株式会社について】 https://worldmode.com/
ファッション・ビューティー業界を専門に人材やデジタルマーケティング、店舗代行など様々なソリューションを提供するグループ。iDA、BRUSH、AIAD、AIAD LAB、フォーアンビション、VISUAL MERCHANDISING STUDIO、双葉通信社、reward の 8 社の国内事業会社および シンガポール、オーストラリア、台湾、ベトナム、マレーシアに海外拠点を持ち、専門性の高い各社のシナジーによって、お客様の課題に応じた実効性の高いソリューションを提供しています。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:市場分析
- 関連組織:iDA / ワールド・モード・ホールディングス株式会社