欧州入出境システム(EES)は、昨年10月12日から運用が開始されました。この制度は、EU圏外からの旅行者が国境で入国する際、パスポートのスキャンに加え、指紋採取と顔写真撮影を義務付けるものです。EUはシェンゲン協定加盟国に対し、各国の状況に応じて段階的に導入できるよう6カ月の猶予期間を設け、今年4月10日までにシステムの完全構築を求めていました。

EESは、境界管理の強化と犯罪抑止を目的とした自動監視システムです。入出境および入国拒否情報をデジタル記録し、生体認証技術を用いて個人の特定を行います。統計によると、運用開始以来4500万人以上が利用し、2万4000人以上が入国拒否、また600人以上の安全リスク保持者が特定されるなど、一定の成果を上げています。

一方で、システムの安定性不足や人員不足、設備導入の遅れ、空港での慢性的な混雑といった課題が浮き彫りになっています。ベルギーのベルナール・クインティン内相は、試験導入中に空港で深刻な行列が発生したことを受け、生体認証情報の登録を一時停止すると発表しました。「旅行者にとってもブリュッセルのイメージにとっても、長蛇の列は容認できない」と述べ、適切な導入計画を求めてEU委員会との協議を続ける方針です。

欧州国際空港協会(ACI Europe)は、これら状況に強い懸念を表明しています。最新のデータでは、ピーク時の待ち時間が2時間に達することも珍しくなく、一部の空港ではさらなる悪化が見られます。同協会はEU委員会に対し、空港の混乱を避けるため「システムの一時停止」を可能にする緊急権限の付与を求めており、1時間以上の待ち時間を「新たな常態」として受け入れるべきではないと強く主張しています。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:中央社 CNA
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