雪印ビーンスターク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:松永政也)は、2015年より雪印メグミルク株式会社と共同で実施している第3回全国母乳調査において、母親の生活習慣や母乳成分が乳幼児に与える影響を調査しています。食物アレルギーなどのアレルギー疾患は、乳幼児期にも多くみられ、子ども本人だけでなく家族の日常生活にも影響を及ぼす重要な健康課題です。母乳には栄養素に加え、免疫機能や消化管の発達に関わるさまざまな成分が含まれており、アレルギー発症との関連について研究が進められています。当社は、こうした母乳のもつ未知のちからを明らかにすることを目指し、母乳成分に関する研究を進めています。ポリアミンとは、ヒトを含むあらゆる生物の体内に存在し、細胞増殖や免疫調節などの生体反応に欠かせない成分です。母乳にも含まれており、乳幼児の消化管や免疫機能の発達を促す重要な役割を担っていると考えられ、近年では、老化制御への影響についても研究が進められています。代表的なポリアミンとして、プトレシン、スペルミジン、スペルミンが知られています。このたび、母乳成分の一つであるポリアミンに着目し、母乳中ポリアミン濃度と児の食物アレルギー発症との関連を検証し、2026年5月15日から開催された第80回日本栄養・食糧学会大会にて学術発表しました。昨年の本大会で、母乳中の総ポリアミン濃度が高いほど、児の食物アレルギー発症リスクが低かったことを報告しましたが、今回はさらに解析を進め、代表的なポリアミンであるプトレシン、スペルミジン、スペルミンに着目しました。第3回母乳調査において、約1,200名の母親から収集した5,000検体以上の母乳の一部を用いて、プトレシン、スペルミジン、スペルミン濃度を測定し、3歳までの乳幼児の食物アレルギー発症との関連を解析した結果、特にスペルミジンとスペルミンが、食物アレルギーの発症を低下させる可能性を見出しました。図1は、児が3歳までに食物アレルギーを発症した群と、発症しなかった群における、母乳中スペルミジンおよびスペルミン濃度の分布を比較したものです。食物アレルギーを発症しなかった群の母乳中スペルミジンおよびスペルミン濃度は、発症した群に比べて有意に高く、中央値ではスペルミジンが23%、スペルミンが22%高い値でした。本研究では、母親へのアンケートをもとにお子様のアレルギー歴に関する情報を収集しており、医師によるアレルギーがあると申告された場合を「発症あり」としました。図2は、母乳中スペルミジンおよびスペルミン濃度と児の食物アレルギー発症との関連を、多重ロジスティック回帰分析により評価した結果です。スペルミジンおよびスペルミン濃度が高い母乳を摂取していた児ほど、3歳までの食物アレルギー発症のオッズ比が有意に低値でした。今後も、第3回全国母乳調査で収集した母乳を分析し、赤ちゃんの発育や健康との関連について研究を進めてまいります。これらの研究成果を発表・報告し、育児用ミルクの開発に生かすことで、赤ちゃんのすこやかな発育とご家族の育児に貢献してまいります。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:研究発表
- 関連組織:雪印ビーンスターク株式会社 / 雪印メグミルク株式会社