「日経アジア」(Nikkei Asia)は、台湾が独自の生成AIモデルの開発を加速していると報じた。これは、中国の検閲済みデータや政治的視点が反映されたAIコンテンツの影響から、台湾の言語と文化を守るための取り組みである。
現在、ChatGPTなどのグローバルAIモデルは、訓練に使用される中文データの多くを中国の簡体字コンテンツから取得している。一方、台湾で日常的に使われる繁体字のデータは相対的に少ないため、AIが歴史や社会に関する質問に答える際、中国寄りの視点や用語が使われがちである。
このままでは、次世代の台湾人の言語感覚や文化認識が中国標準に置き換わるリスクがあると、専門家は警告する。こうした状況に対応するため、台湾の「国家科学及技術委員会」は「信頼できるAI対話エンジン」(TAIDE)の開発を主導している。
中央研究院情報科学研究所の黄瀚萱副研究員は、「自分のAIを持たなければ、社会の『脳』を外部に委ねることになる」と指摘。TAIDEは「言語・歴史・社会の自主性を守るAIの防波堤」となると強調した。
TAIDEの特徴は、中国ネット上のテキストを大量収集してフィルタリングするのではなく、台湾政府の行政文書や先住民族の言語など、台湾由来のローカルデータを優先して学習することにある。技術的基盤としては、Googleの高性能オープンソースモデル「Gemma」などを活用している。
国科会の関係者は、「巨人の肩の上に立つ」と表現し、海外の先進技術を活用して基盤モデルを構築し、台湾独自のデータで差別化する戦略を説明した。
TAIDEの第1世代モデルは2024年に公開され、2024年8月から9月にかけてNVIDIAの最新AIチップを導入することで、処理性能が大幅に向上する予定だ。
現在、TAIDEは政府機関や病院、企業のオンプレミスサーバーに導入され、公文書の作成支援などに活用されている。NVIDIAのCEO、黄仁勳氏は、各国が自国の言語・文化・歴史を反映したAIモデルを構築することが重要だと述べている。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:中央社 CNA
- 分類:ニュース
- 関連組織:Google / NVIDIA
- 製品・サービス:TAIDE / 生成AIモデル