1990年代から台湾軍の主力として運用されてきたM60A3戦車は、老朽化が進み、メンテナンスや部品調達が課題となっていました。これを受け、軍は装甲部隊の戦力維持を目的とした計画的なアップグレードを実施しています。エンジン動力系統の換装は2023年から2028年にかけて460両を対象に行われており、機動性の向上が図られています。砲塔および射撃統制システムの改修については、国家中山科学研究院(中科院)が主導しています。
中科院は公式サイトを更新し、M60A3戦車の性能向上に関する詳細を公表しました。同院によると、デジタル式射撃統制システム、全電動式砲制御システム、高解像度観測・照準システムを導入することで、旧式装置を置き換えます。これにより、射撃精度の向上、接戦時間の短縮、部品供給停止問題の解消を目指し、沿岸防衛の構想に適合する打撃力を確保する方針です。公開された写真には、溶接式装甲を追加装着した改修車両の姿がありました。
中科院は昨年の台北国際航空宇宙・防衛産業展示会において、米レオナルドDRS社と協力覚書(MOU)を締結しました。これは、M60A3の射撃統制・砲制御・観測照準システムをパッケージ化して販売するもので、中科院が製造を担い、DRS社がブランド力を活かして海外展開を図ります。なお、主砲は引き続き105mm砲を使用します。
関係者によると、世界各国のM60運用国が中科院の性能向上キットに関心を示しており、すでに具体的な購入検討も進んでいます。中科院の生産能力は、陸軍の需要と海外輸出の両方を十分にカバーできる見込みです。国防安全研究院の舒孝煌・副研究員は、ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、ドローン運用や対抗技術など、将来の戦闘要件をいかに改修に組み込めるかが、台湾陸軍にとっての導入の鍵になると分析しています。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:中央社 CNA
- 分類:政治
- 関連組織:Leonardo DRS