台湾の国内観光産業が抱える競争力不足の背景には、価格の高さだけでなく「宿泊施設を売る」という古いビジネスモデルの限界がある。雄獅旅行社(ライオン・トラベル)の黄信川董事総経理は、価格を下げるだけでは客を繋ぎ止めることはできず、交通・サービス・文化的体験を融合させた高付加価値なコンテンツを創出する必要があると主張する。実際、媽祖巡礼ツアーのように深い体験ができる商品は即完売となる人気を博しており、消費者は価値を認めれば対価を払う姿勢を見せている。

観光署の統計によれば、2024年の国内旅行者数は延べ2.22億人に達したものの、その75%が日帰り客であり、宿泊や飲食への経済波及効果は限定的だ。また、観光需要は台北市内の赤峰街や迪化街など、交通の便が良い都市部に偏っており、地方や過疎地への恩恵は少ない。この状況を打破するため、旅行各社は「香客(参拝客)」を「旅行者」へと変える体験型プロダクトの開発に注力している。事前準備や専用車の提供、精華路線のガイドといった細やかな配慮が、従来の苦行としての巡礼を、付加価値の高い特別な体験へと変貌させている。

さらに、高齢化社会に対応したシニア層向けの旅行市場や、平日の稼働率を向上させる企業研修旅行なども重要な「ブルーオーシャン」として注目されている。業界関係者は、単に自然景観に依存するのではなく、高精度な市場調査に基づいた製品開発こそが、多様化する現代の旅行需要を満たし、台湾観光の新たな活路を開く唯一の道だと強調している。

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  • 出典:中央社 CNA
  • 分類:旅遊|商業