【中央社】香港大埔の住宅団地「宏福苑」で昨年発生した火災を受け、このほど最初のグループとなる住民らが私物回収のため帰宅を許可された。被災者の中には、火災で命を落とした愛猫に別れを告げる者や、住まいの状況を確認するために訪れる者の姿が見られた。香港政府は先頃、同地での再建は行わない方針を表明しており、強制的な退去を余儀なくされた高齢者層には深い諦めが広がっている。
フランス通信社(AFP)およびロイター通信によると、昨年11月に発生したこの火災は、宏福苑にある8棟のうち7棟に延焼し、死者168人を出すという香港でここ数十年間で最悪の惨事となった。鎮火までに約2日を要した。
約6000人の住民は、4月20日から5月4日までの期間に分散して帰宅し、私物を回収することが認められた。滞在時間は1回につき3時間までと制限され、入場時にはマスク、ヘルメット、手袋の着用が義務付けられた。1世帯につき最大4人まで登録可能だが、損傷が激しい住戸は1人のみに限定されている。
50歳の鐘氏は取材に対し、家族の写真が入ったパソコンを回収し、火災で亡くなった飼い猫に別れを告げたと語った。「どこで命を落としたのかは分かりませんが、あの子が一番好きだった場所に行き、早く次の生を受けてほしいと願いました」と涙ながらに話した。
火災当日に最後に避難したという梁(Harry Leung)氏はAFPに対し、故郷に戻る複雑な心境を吐露した。半生を過ごした我が家を見たいという思いの一方で、「3時間という制限時間はあまりに短すぎる」と不満を漏らした。
ミッドランド・リアルティ(美聯物業)の分析によれば、被災住民の3分の1以上が65歳以上の高齢者であるという。
火災から数ヶ月が経過した現在も、火災原因の追及と責任の所在を問う声は止んでいない。3月には独立調査委員会が初聴聞会を開催し、火災の原因や建設業者による「談合」疑惑について調査を開始した。委員会の主任弁護人は、多くの消防安全システムが機能しなかった要因として人為的なミスを指摘している。
香港政府は、この惨事を「政治利用」しようとする動きに対しては厳正に処罰すると警告した。香港住宅局は今年4月、再建には多大な時間と不確定要素が伴うとして、元の場所での再建は見送ると発表した。政府は以前、住民の所有権を現金で買い取る案を提示している。
梁氏はAFPにこう語った。「政府の提案を望まない人は多いはずですが、他に選択肢がないため、受け入れざるを得ません。もし選べるなら、私は宏福苑を離れたくありません」。
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- 出典:中央社 CNA
- 分類:その他|災害