【ロンドン22日】中国経済はかつてトランプ米大統領の関税措置による打撃を乗り越えてきたが、中東での戦火拡大に伴い、航路の遮断やエネルギーコストの高騰が輸出依存度の高い中国工業界を直撃している。これらの要因により、北京は技術転換を急ぐ傍ら、紛争の終結を熱望している。
英BBCの報道によると、中国最大級の製造業の拠点では、工場の短期労働者募集の広告が街中に溢れ、労働者たちは先行きに不安を抱えている。中国の製造業は今、安価な大量生産から自動化された先端技術への巨大な転換期を迎えており、これは米国・イスラエル・イラン間の対立が世界経済を揺るがす以前からの流れである。
昨年、中国経済はトランプ関税の影響による成長鈍化と失業問題に直面しながらも、輸出拡大によってGDP成長率約5%を維持する回復力を示した。しかし、中東の紛争は工場の受注、コスト、雇用に新たな圧力を加えている。広東省仏山の製造現場では、時給18~20人民元程度の過酷な労働環境に甘んじる労働者が多く、40代以上のベテラン層も将来の不透明感に疲弊している。
中国は十分な石油備蓄と再生可能エネルギー、電気自動車(EV)分野での先行によって燃料危機の影響を最小限に抑えている。しかし、主要航路であるホルムズ海峡の危機は、輸出を生命線とする中国経済にとって大きな痛手となっている。
広州交易会の会場では、人型ロボットやAI翻訳メガネ、登山支援用ロボット脚などが展示され、北京が望む「未来志向のハイテク国家」の姿が世界にアピールされている。しかし、製造業者からは原材料である石油価格の上昇による製品価格への転嫁が避けられないとの声が漏れる。
一方、この危機は中国の強みであるEV産業にも影を落としている。3月のEV輸出は前年比で大幅な伸びを記録したが、輸出先である中東情勢の悪化により、物流の停滞や商取引の停止を余儀なくされているケースも出ている。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の于潔氏は、中国が自給自足体制を強化するきっかけにはなるものの、現在の中国は決して「勝者」ではないと指摘する。中国は衰退する米国を望んでいた一方で、現在の予測不能な事態は望んでおらず、北京は5月に予定される米中首脳会談を成功させるため、慎重な舵取りを迫られている。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:中央社 CNA
- 分類:調査
- 関連組織:BBC / チャタムハウス (Chatham House)
- 原文内の日付:5月 (習・トランプ会談予定)
- 製品・サービス:人工知能(AI)デバイス / プラスチック製品