【ローマ=中央社】ローマのフォルロ・ディ・アウグスト(アウグストゥス広場)の上空には、白い八角十字があしらわれた赤い旗がはためいている。この美しい建物は、世界で最もユニークな政体である「マルタ騎士団(Sovereign Military Order of Malta)」のイタリア協会の本部だ。900年にわたり医療と人道支援を使命とし、120カ国以上で活動を展開する同騎士団は、台湾にとっても重要なパートナーである。
11世紀後半の十字軍時代、エルサレムでカトリックの医療騎士団として発足したマルタ騎士団は、現在ローマに本部を置き、独自の主権を持つ国際法人としての地位を有している。元首である総長のもと、切手やパスポートの発行権を持ち、1994年からは国連の常任オブザーバーを務め、115カ国と外交関係を結んでいる。
騎士団はローマ市内のコンドッティ通りにある政治的拠点のほか、世界50カ国に医療・人道活動を推進する「協会」を置いている。中央社は今回、フォルロ・ディ・アウグストにある「マルタ騎士団イタリア協会」の本部を訪ね、今なお「騎士道精神」を掲げ、世界の戦乱や貧困地域で活動する同組織の実態を追った。
本部の建物は「ロードス騎士の館」と呼ばれ、広報担当のエウジェニオ・アジュロルディ・ディ・ロッビアーテ氏は、ここが13世紀にエルサレムから移住した騎士団がローマで最初に定住した場所であると説明する。建物は古ローマ、中世、ルネサンスの3時代の建築様式が混在しており、歴史的に高い評価を得ている。
館内にある「旗の間」には、かつて骑士団が言語グループごとに分類されていたことを象徴する旗が展示されている。ディ・ロッビアーテ氏は、中世に騎士団がロードス島を統治していた際、出身地別にグループ分けされていた歴史を語り、「一部の歴史家は、この多国籍な協力体制をEUの雛形と呼ぶ」と述べた。1798年にナポレオンによってマルタ島を追われた後、1834年にローマで再興されてからは、現在の各国に協会を置く管理形態へ移行した。
「エルサレムで巡礼者のための病院を運営することから始まった騎士団の歴史において、貧者や病者を助けるという使命は一貫しています」とディ・ロッビアーテ氏は強調する。かつて国境防衛のために持っていた軍事機能は1798年に終焉を迎え、現在は医療や社会福祉が活動の柱となっている。
台湾は長年、同騎士団と人道支援の協力を行っており、今年1月にも駐バチカン台湾大使館を通じて、パレスチナ・ベツレヘムにある「聖家族病院」の貧困層支援プログラムへ寄付を行っている。ディ・ロッビアーテ氏は、騎士団が持つ115カ国との外交ルートを活かし、アフリカや東南アジアなど、支援を最も必要とする紛争地域へ直接的な介入ができる点が、他の民間人道組織とは大きく異なるところだと語った。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:中央社 CNA
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