非政府組織「中国労働観察(China Labor Watch)」は最近発表した調査報告書の中で、中国の電気自動車大手BYDのハンガリー工場において深刻な労働権侵害が行われていると指摘しました。同団体の創設者兼エグゼクティブ・ディレクターである李強氏は、中資系企業の海外工場におけるこうした現象は決して稀ではなく、極めて一般的であると述べています。

ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」によると、李氏は、中国から派遣されたエンジニアや建設作業員が強制的に長時間労働を強いられている状況は、欧州連合(EU)の労働法に違反するだけでなく、欧州の雇用市場を圧迫していると警鐘を鳴らしました。報告書によれば、ハンガリーのセゲドにあるBYDの建設現場では、中国人作業員が週7日1日9時間労働に加え、3時間の通勤時間を強いられていました。また、賃金構造の不透明さから残業代が曖昧になり、賃金の長期未払いや過酷な契約条件によって労働者が退職できない状況に追い込まれているといいます。

さらに、多くの中国人作業員は仲介業者に多額の手数料を支払って渡航しており、背負った債務が雇い主や仲介業者への依存を強め、さらなる搾取を生む構造となっています。李氏は、同団体の調査員が昨年秋にハンガリーで数十人の作業員から聞き取り調査を行った結果、現地の労働法で定められた年間最大400時間の残業制限を、わずか数ヶ月で超える実態を突き止めました。

李氏は、このような人権侵害が起きる背景には、派遣された作業員が中国の法律の庇護を受けられず、かといって現地の法律の監視網からも漏れやすい「盲点」があることを挙げています。特に正規の就労ビザを持たない労働者は、自らの権利を主張することが極めて困難です。

同団体はすでに欧州委員会に対し本件を正式に報告しており、ハンガリー政府による監視強化と、EU全域でのサプライチェーン管理を求めています。なお、BYD側は現在のところこれらの告発に対して回答していません。BYDは中国国内市場の競争激化と成長鈍化を受け、海外市場による補完を狙っており、ハンガリーに続きスペインにも新たな生産拠点を計画しています。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:中央社 CNA
  • 分類:調査