台湾の金融監督管理委員会(金管会)の彭金隆委員長は、アジア資産運用センター構想の核心について、「高雄でサービスが完結できるなら、わざわざシンガポールへ行く必要はない」と述べました。高雄特区での試験運用が1周年を迎える中、金管会は成功事例を全土へ拡大しつつ、次の段階として「クロスボーダー金融」の推進を掲げています。
昨年7月に発足した高雄特区は、金融機関の資源を集約し、リスクを管理しながら新たな業務を試す実験場として機能してきました。彭委員長は、シンガポールが半世紀かけて築いた地位を台湾が短期間で達成するのは現実的ではないとし、着実な歩みの重要性を強調しています。今後は、成熟した業務は全土へ展開し、新たな試行業務は特区で継続するという柔軟な運用を図ります。
特区の次なる重点は、国内の富裕層が海外資産を管理しやすくするためのクロスボーダー金融です。具体的には、特区内の銀行が国内顧客の海外口座開設をサポートする仕組みを検討しています。これにより、顧客は海外へ渡航することなくKYC(顧客確認)手続きが可能となり、利便性が大幅に向上します。また、法規制の緩和や人材育成、外資系専門人材の受け入れなども含め、台湾の金融システムをグローバル市場とより密接に連携させる方針です。
高雄特区には現在、銀行、保険、投信、証券など多くの金融機関が進出しており、今年3月末時点で管理資産規模(AUM)は約4559億台湾ドルに達しています。彭委員長は、政府が予算を増やすことなく既存のリソースで着実に成果を上げている点を強調し、「方向性が正しければ、ゆっくりでも着実に進むことが重要だ」と、台湾の金融改革に対する自信を示しました。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:中央社 CNA
- 分類:Government Policy