1. 展覧会の趣旨 1872(明治5)年の湯島聖堂博覧会に初めてアイヌ資料が出品されてから、2025(令和7)年の大阪・関西万博に至るまでの、およそ150年にわたってアイヌ民族がいかに博覧会と関わりをもってきたのかを紹介します。 明治以降、日本国内外で開催された数々の博覧会におけるアイヌ展示は悲しい歴史として伝えられている一方で、時代を経るごとに主体的に参加するアイヌ民族も出てくるなど、博覧会そのもののあり方も変化してきました。 本展覧会は、博覧会と関わりを持ったひとりひとりの「声」に焦点を当て、喜びや悲しみ、経験と記憶、さらには時の情勢やそこに関わった人たちの差別心や優越感を含んだまなざしや力学を丁寧に解きほぐしていくことによって、個人にとっての博覧会がいかなるものであったかに迫ります。
2. 展示構成 ### 第1章 アイヌ工芸品展示の草創期から博覧会へ 和人社会で異域の産物として関心を集めたアイヌ工芸品が、明治初期の博覧会での北海道「開拓」と産業振興の文脈へ再編されていく過程を描きます。近世後期の物産会から明治初期の博覧会におけるアイヌ工芸品の展示を取り上げ、〈文明〉と〈野蛮〉を対比させるアイヌ民族観が社会へ浸透していくメディアとしての博覧会の機能を分析します。
### 第2章 アイヌ民族の出場 日本の植民地拡大を背景として、人の生活そのものを観覧させる「人間展示」の対象となった時代を取り上げます。欧米の事例に由来するこの展示形式は、展示する側がアイヌ民族を劣った人々と見なす差別の表れでした。一方で、そのような状況下でも、出場に際して結ばれた多様な人間関係についても描写します。
### 第3章 アイヌ文化を見せていく時代 戦後の復興期から1970年の大阪万博、そしてその後の国際博覧会における変化を取り上げます。世界的に博覧会の在り方が変化する中で、アイヌ民族の自文化との向き合い方や参加の形態が主体的なものへと変わり、各地のアイヌ同士が交流し、舞踊を取り入れるなどの文化継承の動きが活発化した時代を描きます。
### 第4章 アイヌ民族と博覧会のゆくえ 2025年大阪・関西万博のアイヌ舞踊公演「ウレシパ モシリ」や展示「イランカラプテ」を例に、現代の文化表現の場が参加者に何をもたらすのかを考察します。個々人の営みの積み重ねがどのような未来を紡ぐのか、文化継承の回復と人々のつながりに焦点を当てます。
3. 関連イベント - ギャラリートーク(各回13:30から30分程度) - 6月20日(土):内田順子(国立歴史民俗博物館 副館長)「アイヌ工芸品展示の草創期から博覧会へ」 - 7月11日(土):関口由彦(国立アイヌ民族博物館)
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:イベント
- 製品・サービス:第11回特別展示「アイヌ民族と博覧会 ―150年の経験―」 / ギャラリートーク