中世から現代まで、数多の作品の種本になり続ける『太平記』。武士像はじめ、実は日本人の歴史認識を縛ってきた物語です。その虚実に加え、「史観」の影響力を気鋭が最新研究で暴く本書は、発売直後から専門家や読書人の関心を集め、大きな話題となっています。

【本書の内容】

司馬史観よりも強い「太平記史観」

『太平記』の虚実に加え、「史観」の影響力を丸裸にしていく。中世史研究の最前線がわかる!

足利尊氏、新田義貞、楠木正成、高師直をはじめ、『太平記』で描かれた武士像、話の構成は中世から近世、近現代まで何百年も日本人の歴史認識を縛り、現実にも影響を及ぼした。例えば、水戸藩の『大日本史』も『太平記』に依拠しており、その楠木正成像を筆頭に、高師直=悪玉など、尊王攘夷・皇国思想に「太平記史観」は繋がっていったのである。

重要史料だが虚実ないまぜで取り扱いが難しい物語。歴史学と国文学の格闘の成果を示しながら、我々の歴史認識まで問い直す。

・山名宗全も、徳川家康も、「足利一門」だった ・楠木正成は、鎌倉幕府の関係者だった ・尊氏との戦いは足利一門の分裂戦争。義貞は第三極を目指した

【目次】

はじめに 第一章 太平記史観とは何か 第二章 『太平記』の基礎知識 第三章 太平記史観の諸相 第四章 太平記史観を超えて (一) 新田義貞の選択1(元弘三年・一三三三)―鎌倉幕府か、足利高氏か― (二) 新田義貞の選択2(建武二年・一三三五)―足利尊氏か、後醍醐天皇か― (三) 新田義貞の選択3(建武三年・一三三六)―後醍醐天皇か、第三極か― おわりに あとがき 参考文献

【著者プロフィール】

谷口 雄太(たにぐち・ゆうた)

1984年、兵庫県生まれ。青山学院大学文学部史学科准教授。2015年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。東京大学大学院人文社会系研究科(文学部)研究員を経て、現職。著書に『中世足利氏の血統と権威』『〈武家の王〉足利氏』(以上、吉川弘文館)、『室町期東国武家の「在鎌倉」』(鎌倉考古学研究所)、『分裂と統合で読む 日本中世史』(山川出版社)などがある。新田義貞は源氏の嫡流ではなく足利氏庶流だったことを洗い出し、『太平記』の影響力を指摘した。

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