AIプラットフォーム事業を手がける株式会社ヘッドウォータース(本社:東京都新宿区、代表取締役:篠田 庸介、以下「ヘッドウォータース」)は、当社メンバーが取り組む「量子最適化を用いたリンク機構トポロジ探索」に関する研究成果について、2026年9月1日(火)から4日(金)まで金沢大学で開催される「第44回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2026)」で発表します。
本研究では、ロボットや搬送装置などに用いられる「リンク機構」※1の設計に対し、量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)※2、古典的な数値最適化、物理シミュレーションを組み合わせた探索手法を検討しました。多数の組み合わせから物理的に成立する機構候補を探索し、その軌跡を蓄積・分類することで、量子最適化技術をロボットや機械の構造設計へ応用する可能性を示しています。
ヘッドウォータースは本研究を通じて、AI・最適化技術の適用範囲を、ソフトウェアやデータ活用に加え、現実空間で稼働するロボットや機械の設計・制御を支える領域へ広げてまいります。
第44回日本ロボット学会学術講演会/大会・発表概要
主要指標 — KEY FIGURES
大会名
第44回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2026)
主催
一般社団法人 日本ロボット学会
会期
2026年9月1日(火)~9月4日(金)
会場
金沢大学 角間キャンパス 自然科学本館
題目
量子最適化を用いたリンク機構トポロジ探索
発表者
下斗米 貴之、竹石 興紀、戸嶋 隆太、星野 順哉、岩城 寿紀、田中 航平、経沢 一平(株式会社ヘッドウォータース)
発表形式
一般講演(9月3日に口頭発表)
学会の詳細、参加登録については、第44回日本ロボット学会学術講演会 公式サイトをご覧ください。
※発表会場などの詳細は、大会公式サイトの最新プログラムをご確認ください。
背景:量子最適化をロボットや機械の構造設計へ
製造、物流、モビリティなどの分野では、AIが現実空間にある機械やロボットを認識・判断・制御する技術の活用が広がっています。こうした領域では、AIによる制御に加え、目的とする動きを実現する機械構造そのものの設計も重要です。
リンク機構は、複数の部品を関節で接続し、入力された動きを特定の軌跡や動作へ変換する仕組みです。その設計では、部品同士の接続方法と各部品の長さを同時に決める必要があり、部品が増えるほど候補の組み合わせが急増します。また、無作為に生成した候補の多くは物理的に成立しないため、有効な構造を効率よく見つけることが課題となります。
そこでヘッドウォータースは、量子最適化によって有望な構造候補を生成し、数値最適化と物理シミュレーションによって、目的とする軌跡への追従度や物理的な妥当性を確認する探索手法を検討しました。
研究内容と主な成果
本研究では、6つの接続点で構成されるリンク機構を対象に、部品間の接続関係を組み合わせ最適化問題として表現しました。QAOAで構造候補を生成した後、数値最適化と物理シミュレーションによって、実際に動作可能な機構を選別しています。
合計41,344件のサンプルを用いて候補生成方法を比較した結果、QAOAを用いた手法の一つでは、15,232件中2,088件が物理的に妥当な候補となり、13.71%の有効候補生成率を記録しました。一方、比較対象としたランダム探索では、12,480件のサンプルから物理的に妥当な候補は生成されませんでした。これにより、QAOAで構造上の条件を反映した候補を生成することが、有効なリンク機構を見つけるうえで有用であることが示されました。
さらに、物理的な妥当性や周期性などの条件を満たした1,143件の軌跡をデータベース化し、主要な可動点の軌跡を7種類のパターンに分類しました。構造と軌跡の関係を再利用可能なデータとして蓄積・整理することで、将来的には、目的とする動きから参考となる機構候補を検索・比較する設計支援への発展が考えられます。
なお、今回の検証では、目標軌跡への追従精度は探索方法よりも軌跡自体の難易度に大きく左右されました。学習データを利用した手法が、学習を利用しない基準手法を有意に上回る結果は得られておらず、学習方法の改善は今後の研究課題です。
ヘッドウォータースが本研究に取り組む意義
本研究の特徴は、量子計算だけで設計課題を解決しようとするのではなく、QAOAによる候補生成、古典的な数値最適化、物理シミュレーションによる検証を組み合わせている点にあります。AIや最適化によって数値上は良好な候補が得られても、実際の機械として動作するとは限りません。本研究では、目的とする軌跡への追従度に加え、リンク構造の物理的な妥当性を確認しています。
こうした複数の技術を組み合わせ、現実の制約を踏まえて評価する知見は、ヘッドウォータースがAI・量子最適化の技術を、現実空間で稼働するロボットや機械へ展開していくための技術的な強みにつながる可能性があります。
<想定される活用領域>
・製造・物流 製造装置、組立装置、検査装置、搬送設備などにおいて、目的とする軌跡や設置条件から複数の機構候補を生成・比較し、初期設計や試作前の検討を支援する可能性があります。
・ロボティクス・モビリティ ロボットアーム、エンドエフェクター、移動機構、自動車の開閉機構などにおいて、求められる動作と物理的に成立する機械構造を結び付ける設計への活用が考えられます。
今後の展開
今後は、候補の品質を予測する学習方法や物理的な妥当性を検証する仕組みを改良するとともに、より多くの接続点を持つリンク機構への拡張を進めます。
また、構造、寸法、軌跡、物理的な妥当性に関するデータを蓄積し、目的とする動作や設計条件から機構候補を探索・比較できる設計支援技術への発展可能性を検討します。
ヘッドウォータースは、AI、量子最適化、物理シミュレーションを組み合わせた研究開発を通じて、製造、物流、モビリティ、ロボティクスなど、現実空間における設計・最適化課題の解決に貢献する技術の創出を目指してまいります。
なお、本研究は基礎技術の検討であり、現時点で特定の製品・サービスへの適用や事業化が決定しているものではありません。
以上
用語について
※1 リンク機構 複数の部品を関節で接続し、入力された動きを別の動きや軌跡に変換する機械的な仕組みです。
※2 量子近似最適化アルゴリズム(QAOA) 組み合わせ最適化問題を量子回路上で扱い、測定結果から目的に適した候補を探索する量子アルゴリズムです。本研究では、リンク機構の接続候補を生成するために用いています。
参考情報
・第44回日本ロボット学会学術講演会 公式サイト
・ヘッドウォータース、「大規模言語モデル(LLM)による物語翻訳感性サロゲート」について研究成果を発表
商標について
記載されている団体名、イベント名などの固有名詞は、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
会社情報
会社名:株式会社ヘッドウォータース
所在地:〒163-1304 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー4階
代表者:代表取締役 篠田 庸介
設 立:2005年11月
URL :https://www.headwaters.co.jp/
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:研究発表
- 関連組織:株式会社ヘッドウォータース / 一般社団法人 日本ロボット学会