カゴメ株式会社(代表取締役社長:奥谷晴信 本社:愛知県名古屋市)は、千葉大学園芸学部の岩崎寛教授らの研究グループと共同で、野菜栽培を取り入れた園芸プログラムが、勤労者のストレス軽減とコミュニケーションの活性化に有意な効果を示すことを確認しました。カゴメは本研究成果を踏まえ、健康経営や従業員エンゲージメント向上に取り組む企業などに対し、従業員のメンタルヘルス向上やコミュニケーションの活性化が期待できる野菜栽培を通じた園芸プログラムを提供してまいります。なお、本研究成果は、2026年9月1日に開催された第57回日本緑化工学会大会で発表され、日本緑化工学会誌52巻に技術報告として掲載されました。

研究成果のポイント

主要指標 — KEY FIGURES

1,110名
18歳以上の勤労者男女1,110名

18歳以上の勤労者男女1,110名を対象に、5月末から8月末にかけて、自宅でトマトを苗から育てるとともに、参加者同士が交流できる場を設けた園芸プログラムを実施しました。また、対象者のストレスに関連する心理状態、他者との交流満足度、就業意欲など、精神的、社会的健康に関する主観的評価への影響を評価しました。

その結果、園芸プログラムへの参加により、ストレスに関する心理状態が有意に改善し、特に日頃から不安を感じやすい人ほど改善効果が高いことが明らかになりました。また、家族や職場の人との交流満足度に加え、心身の健康状態や就業意欲に関する主観的評価も、参加前と比較して有意に向上しました。

これらの結果から、勤労者が自宅で野菜を育てる園芸プログラムへの参加は、ストレスの軽減やコミュニケーションの質と量の向上につながり、精神的健康および社会的健康の向上に寄与する可能性が示されました。

研究の背景

厚生労働省の労働安全衛生調査では、多くの勤労者がストレスを感じていることが報告されています。また、メンタルヘルス不調による休業や生産性の低下は、企業経営における課題にもなっています。近年は、このような状況を改善するため、ストレスチェックの義務化など、官民が連携して勤労者のストレス緩和に取り組んでいます。ストレス緩和対策の一つとして、植物と接することや植物を育てることの有用性が知られており、オフィスへの植物設置がストレス緩和や生産性向上につながる可能性も報告されています。一方で、こうした研究の多くは観賞用植物を対象としており、勤労者が植物を育てながら他者と交流することの影響については十分に検証されていませんでした。そこで本研究では、自宅での野菜栽培と参加者同士の交流を組み合わせた園芸プログラムが、勤労者の心理状態やコミュニケーションに与える影響を明らかにすることを目的として実施しました。

研究内容と結果

1. 実施方法

製造業、情報通信業、健康保険組合などの7企業1団体に勤務する18歳以上の勤労者男女1,110名を対象に前後比較試験を実施しました。対象者は、5月末より自宅にてトマトの苗1本を育てながら、その状況について電子掲示板などを通じて話題を共有できる園芸プログラムに参加してもらいました。プログラム参加前(事前)、トマトが収穫てきた時期(事後)にストレスに関する調査(POMS短縮版)や、社会的健康、心身の健康、心理的資源(自己肯定感や自己効力感)に関する自己評価をVAS調査で実施しました。

図1.研究のスケジュールと使用したトマトの苗と土

2. 主な結果

プログラム実施前とプログラム実施後のPOMS短縮版の結果を比較したところ、日常的に不安や心配を感じやすい人ではネガティブな感情に関するスコアが有意に減少し、ポジティブな感情に関するスコアが有意に増加していました(図2)。社会的健康、心身の健康、心理的資源(自己肯定感や自己効力感)のVAS調査に関しても、事前に比べて事後で自己評価が有意に改善していました(表1)。

図2. プログラム実施前後のPOMS短縮版のスコア変化 STAI-Y2で高不安群と判断されたN=319で解析, 対応があるt検定, *:p<0.05, p<0.01

表1. プログラム実施前後の社会的健康、心身の健康、心理的資源、就業意欲の変化

掲載論文情報

① ミニトマトの家庭栽培が従業員の家族交流とウェルビーイングに与える影響と双方向因果

那須 他、日本緑化工学会誌, 52(1), 123-126 (2026)

② 自宅における植物栽培が勤務者の精神的健康に与える効果

吉原 裕人 他、日本緑化工学会誌, 52(1), 167-170 (2026)

関連学会発表

第57回日本緑化工学会大会 2026年9月1日~3日 帯広畜産大学

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:研究成果
  • 関連組織:カゴメ株式会社