ポイント
① 淡水レンズの底部や周囲に発達する塩淡水境界において脱窒域が広く分布していることを確認
② 人為起源の硝酸性窒素の約3分の1がこの自然浄化作用により地下水から除去されていると推定
③ 脱窒の効果を考慮した地下水の水質管理および海への栄養塩流出評価の重要性を提言
概要
硝酸性窒素による地下水汚染や海洋への窒素流出は、世界的な課題です。自然界では「脱窒」により窒素ガスへ還元され大気中に戻る現象が生じますが、その量的評価は進んでいませんでした。熊本大学らの研究グループは、沖縄県多良間島の淡水レンズをモデルとし、世界で初めて流域スケールでの脱窒率を推定しました。安定同位体トレーサーを用い、脱窒域が塩淡水境界に広く分布することを解明。水収支と窒素収支計算から、人為的硝酸性窒素のおよそ3分の1が脱窒により除去されていることを示しました。本成果は「Water Research」誌に2026年3月12日にオンライン掲載されました。
結論と今後の展開
今回の評価は概算ですが、農業由来の窒素負荷のうち無視できない規模が脱窒により除去されていることを実証しました。この知見は、島嶼地域の地下水管理や沿岸生態系の保全に不可欠な情報を提供します。今後は高解像度データやシミュレーションによる検証を通じ、推定精度の向上が期待されます。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:調査
- 関連組織:カリフォルニア大学サンタクルーズ校