株式会社みらいワークスは、「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」を実施しましたので、その結果をお知らせいたします。
調査概要 調査名:「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」 調査方法:インターネット調査 調査期間:2026年3月19日〜22日 有効回答数:400 調査対象:従業員規模500名以上の企業で、経営企画部、総務部、人事・労務部などに2022年以前から所属し、人材研修や人材開発に関わる会社員(正社員)・会社役員
リスキリングの全社展開は38.3%。特定部門での限定実施を含めると6割以上が進行中 「所属企業では現在、『リスキリング』を行っていますか」という質問に対し、「全社施策として、実施している」が38.3%で最多でした。「特定部門・特定職種などに限定して実施」(20.0%)や「パイロット実施中」(6.3%)を合わせると、64.6%の企業が何らかの形でリスキリングを推進していることが明らかになりました。一方で、「過去も含めて実施していない」という回答も16.0%を占めました。
「リスキリング」の政府定義とのギャップ。職種転換を伴う取り組みはわずか9.5% 「所属企業では『リスキリング』をどの範囲の取り組みとして捉えていますか」という質問では、回答者の61.0%が「職務や役割の転換は前提にしない」取り組みをリスキリングと捉えていることが判明しました。 政府はリスキリングを「成長分野に移動するための学び直し」と定義しており、本来は「労働移動・職種転換」を前提とした企業主導の取り組みを指します。この定義に基づくと、本来のリスキリングに合致する「学習+転換」を実践している企業は9.5%に過ぎず、言葉の普及と実態との間に大きな隔たりがあることが示されました。
習得スキルの約半数は「DXと非DXの両方」。デジタルとビジネススキルの統合が進む リスキリングで習得を目指すスキルテーマを尋ねたところ、「DX関連のスキルとDX関連以外のスキルの両方」という回答が47.0%に達し、「DX関連のみ」(26.5%)を大きく上回りました。デジタル変革を支える土台として、従来のビジネススキルの刷新も同時に求められている状況が伺えます。
DX教育の最優先テーマは「生成AIの業務活用」で67.8% DX関連のリスキリングにおける重点テーマでは、「生成AIの業務活用」が67.8%と、2位の「データ分析・データサイエンス」(44.9%)を大きく上回り、AIを「使いこなす」ことへの教育需要の高さが際立ちました。
非DX領域では「マネジメント」が最多 非DX関連のリスキリングでは、「マネジメント・リーダーシップ」が33.3%で最も多く、次いで「経営・事業戦略」(30.2%)、「マーケティング」(27.6%)が続きました。
リスキリング開始時期は「2023年」がピーク リスキリングの開始時期は2023年が15.0%で最も多く、コロナ禍以降に加速した傾向が鮮明になりました。
生成AIの影響で半数以上がカリキュラム見直しを迫られる 生成AIの登場がリスキリングに影響を与えたかという質問では、「影響があり、育成テーマ・カリキュラムの更新が必要となった」が37.1%、「影響が大きく、目的や制度設計の見直しが必要となった」が17.4%で、合計すると5割以上の企業がAIの影響で施策変更を迫られていることが分かりました。
生成AIによる最大の影響は「必要スキル・役割の変化」 AI普及の具体的な影響としては、「AI活用を前提に業務プロセス再設計が必要となり、必要スキル・役割が変わった」が48.0%で最多でした。また、「将来必要な職務・役割(ターゲット像)の再定義が必要となった」も38.9%に達し、組織の抜本的な見直しが進行していることが示唆されました。
生成AIを踏まえた施策変更、約半数が「実施済み」 生成AIの普及を踏まえた施策変更の状況については、「変更済み(一部で反映・試行中)」が29.0%、「全社の標準として反映済み」が19.9%で、合わせて約半数の企業が既に行動を起こしています。
変更内容のトップは「スキルテーマの見直し」 具体的な変更内容では、「スキルテーマ(DX/非DXの比重や重点領域)」が50.0%でトップとなり、AI普及に伴い「何を学ぶべきか」という教育の核心部分が変化していることが浮き彫りになりました。
施策変更ができない理由は「人員・予算不足」 一方、施策変更ができていない理由としては、「人員・予算不足」が32.6%で最多となり、リソース不足が変革のブレーキとなっている実態が明らかになりました。
施策要素は「学習機会の提供」が最多。4割が「スキルの可視化」を導入 リスキリング施策に組み込んでいる要素としては、「研修・eラーニング等の学習機会の提供」が58.6%で最多でした。続いて「スキルの可視化」(41.4%)が多く、個人のスキルをデータで把握しようとする企業の意欲が伺えます。
今後の方針は「中規模改善・強化」がトップ 今後12~24カ月の方針としては、「中規模改善(業務適用やKPI、ガバナンス強化)」が24.6%で最も多くなりました。
リスキリング推進の壁は「指導者・メンター不足」 推進上の最大の阻害要因は、「指導者・メンターが不足している」が25.9%で最多でした。次いで「人材・スキルデータが整備されていない」(24.3%)、「学習・業務適用の時間が確保できない」(21.5%)が続き、リソース確保が喫緊の課題となっています。
まとめ 本調査の結果、日本企業の「リスキリング」は、生成AIの普及という外部環境の変化によって新たな局面を迎えていることが明らかになりました。言葉の普及と実態には隔たりがあり、職種転換を伴う本来のリスキリングは途上にあります。生成AIはもはや特定の専門スキルではなく、全てのビジネスパーソンが装備すべき「新時代のOS」となり、人間が担うべき役割そのものを変容させています。しかし、社内の教育体制やデータ基盤の整備が追いついていない現状も浮き彫りになりました。今後は、外部のプロフェッショナル人材の活用なども視野に入れ、AIとの共存を前提とした「職務の再定義」に向き合えるかが、企業の持続的成長を左右するでしょう。
FACT BOX ・ 要点整理
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