令和8年7月31日

今後の整備新幹線の貸付のあり方については、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会の下に「今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会」を設置し、議論を進めてきましたが、この度、小委員会としてのとりまとめが行われましたので、公表します。

○今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 ホームページ

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_arikata03.html

添付資料

報道発表資料 (PDF形式)

概要 (PDF形式)

とりまとめ (PDF形式)

参考資料 (PDF形式)

お問い合わせ先

国土交通省鉄道局幹線鉄道課 吉見、関

TEL:03-5253-8111 (内線40-311、40-321) 直通 03-5253-8531

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。

左のアイコンをクリックしてAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。

Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合は こちら をご覧ください。

添付資料1 令和 8年7月 31 日 鉄道局幹線鉄道課

「今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会」 とりまとめの公表について

今後の整備新幹線の貸付のあり方については、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会の 下に「今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会」を設置し、議論を進めてきまし たが、この度、小委員会としてのとりまとめが行われましたので、公表します。

○今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 ホームページ https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_arikata03.html

(添付資料) ・今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 とりまとめ 概要資料 ・今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 とりまとめ ・今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 とりまとめ 参考資料

【問い合わせ先】 鉄道局幹線鉄道課 吉見、関 代 表:03-5253-8111(内線 40-311、40-321) 直 通:03-5253-8531 メール:hqt-tkng9★gxb.mlit.go.jp (「★」を「@」に置き換えてください)

添付資料2 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会 今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会の概要

○ 整備新幹線については、鉄道・運輸機構が施設を建設し、JR各社に対して当該施設を貸し付けているが、整備新幹線と して初めて開業した北陸新幹線(高崎・長野間)の現行の貸付契約期間は、平成9(1997)年10月の開業から令和9 (2027)年9月末までの30年間。 ○ それ以降の取扱い等を含め、今後の整備新幹線の貸付のあり方について議論するため、交通政策審議会の下に「今後の 整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会」を設置。

(五十音順・敬称略) <検討経緯> <委員> ◎:委員長 家田 仁 政策研究大学院大学シニアフェロー 第1回 令和7年11月6日 整備新幹線の貸付制度等について 岩倉 成志 芝浦工業大学工学部教授 第2回 令和7年12月11日 JR各社ヒアリング① 大串 葉子 同志社大学大学院ビジネス研究科教授 奥田かつ枝 (株)九段緒方総合鑑定代表取締役 第3回 令和8年1月15日 JR各社ヒアリング② 熊谷 則一 涼風法律事務所弁護士 第4回 令和8年2月16日 JR各社ヒアリング③ 河野 康子 日本消費者協会理事 第5回 令和8年4月17日 論点整理 宮島 香澄 ジャーナリスト 第6回 令和8年5月29日 鉄道・運輸機構ヒアリング 山内 弘隆◎ 一橋大学名誉教授 一般社団法人低炭素投資促進機構理事長 第7回 令和8年7月22日 とりまとめ(案)について

整備新幹線 整備スキーム 北海道新幹線 青森 - 札幌間 東北新幹線 盛岡 - 青森間 北陸新幹線 東京 - 大阪間 九州新幹線(鹿児島ルート) 福岡 - 鹿児島間 九州新幹線(西九州ルート) 福岡 - 長崎間 施設の 貸付料の 支払い 貸付け <整備財源>

建設費の負担 国 2/3 地方 1/3 ※貸付料除く 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会 今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 とりまとめの概要 [基本的考え方] ○ 貸付料については、整備新幹線の貸付けが賃貸借契約たる法的性質を有することを前提に、使用収益の対価として適正に 設定されるべきもの。 ○ 国民への必要な説明責任も果たしながら、今後とも継続的に適正な額の貸付料の確保を図ることとすべき。 [基本的考え方を踏まえた課題と整理すべき事項] 課題 整理すべき事項 今後の方向性 ・整備財源としての貸付 1)貸付期間 開業後31年目以降も現行と同様の30年に設定。 料の長期的かつ安定 的な確保 ・営 業主体における長 2)貸付料の改定 固定制を基本としつつ、一定の変動要素を盛り込んだ仕組みを導入。 期的な経営の見通し /固定・変動

3)貸付料(受益)の 不動産賃料の考え方を参考としつつ、With/Without方式に代 算定方法 わる新しい算定方法を導入。 4)受益の範囲 ①接続利益 算定方法を見直し、関連線区の利益としてではなく、対象線区の利 適正な受益の把握と (根元受益) 益として、直接的に貸付料に反映。 貸付料への反映 ②関連線区 開業後31年目以降も、受益が確認できる限り、貸付料に反映。 ③並行在来線 開業後31年目以降も、受益が確認できる限り、貸付料に反映。 構内営業料などの運輸雑収について、より正確に実態を把握し、貸 ④関連収入 付料に反映。 5)大規模改修や 大規模改修については、大家たる鉄道・運輸機構が責任を負うことを 将来的な課題への備え 自然災害への対応 明確化。

[情報共有の環境整備] ○ 貸付区間ごとの輸送状況や貸付施設内の関連収入が貸付料に適正に反映されるよう、必要な情報共有の枠組みを構築。

添付資料3 交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会 今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 とりまとめ

令和8年7月31日 目 次

Ⅰ.はじめに

Ⅱ.整備新幹線の貸付け及び貸付料の意義等 (1)整備新幹線の貸付けの意義及び性質 (2)整備新幹線の貸付料の意義及び性質 (3)留意すべき点 (4)期待される役割

Ⅲ.今後の整備新幹線の貸付けの方向性 (1)基本的考え方 (2)基本的考え方を踏まえた課題と整理すべき事項 (3)整理すべき事項 1)貸付期間 2)貸付料の改定/固定・変動 3)貸付料(受益)の算定方法 4)受益の範囲 ① 接続利益(根元受益) ② 関連線区 ③ 並行在来線 ④ 関連収入 5)大規模改修や自然災害への対応 (4)情報共有の環境整備 (5)新しい制度の適用範囲

Ⅳ.おわりに Ⅰ.はじめに

我が国において、高速鉄道ネットワークを形成する「新幹線」は、1964 年(昭和 39 年)の東海道新幹線の開業以来、直近では 2024 年(令和 6 年)に北陸新幹線(金 沢・敦賀間)が開業する等、今日までの約 60 年の間に全国で順次開業してきた。 我が国の二大都市、東京・大阪を結ぶ「夢の超特急」として誕生した新幹線は、 半世紀余を経て、全国にわたるネットワークの延長距離が 3,000 ㎞に達し、今もな お整備が進められているが、交流の促進、産業発展や観光立国、地方創生に重要な 役割を果たすとともに、事故・災害発生時の対応を含め、国土強靱化の観点からも 重要なものとして、我が国の社会経済を支える不可欠のインフラとなっている。 この新幹線ネットワークのうち、全国新幹線鉄道整備法(昭和 45 年法律第 71 号。 以下「全幹法」という。)に基づき、1973 年(昭和 48 年)に整備計画が定められた 北海道新幹線(青森・札幌間)、東北新幹線(盛岡・青森間)、北陸新幹線(東京・ 大阪間)、九州新幹線(鹿児島ルート) (福岡・鹿児島間)及び九州新幹線(西九州 ルート) (福岡・長崎間)の 5 つの路線(以下「整備計画路線」という。)は、その 後の国鉄の経営悪化等を背景に、経営再建を進めていた国鉄の負担とならないよう に計画が一時凍結される状況となったが、1987 年(昭和 62 年)4 月の国鉄分割・ 民営化を経て、整備が再開されることとなった。 こうした経緯を経て、いわゆる「整備新幹線」として整備が進められることとなっ た整備計画路線については、全幹法等の関係法令に基づき、日本鉄道建設公団(現 在の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構。以下「鉄道・運輸機構」とい う。)が建設主体として新幹線鉄道に係る鉄道施設(以下「新幹線鉄道施設」とい う。)を整備・保有し、営業主体であるJR各社が当該施設を借り受け、新幹線鉄道 事業を営業する上下分離方式が採用された。 その後、鉄道を巡る状況が大きく変化する中、JR各社の収益構造も変化してき たが、整備新幹線の着実な整備とJR各社の健全な経営を両立させるものとして、 これまでの整備新幹線の整備は、上下分離方式によって進められてきた。 この上下分離方式によって整備された整備新幹線の最初の開業区間として北陸 新幹線(高崎・長野間)が 1997 年(平成 9 年)10 月 1 日に開業したが、その際、 建設主体である鉄道・運輸機構から営業主体である東日本旅客鉄道株式会社(以下 「JR東日本」という。)への当該開業区間に係る新幹線鉄道施設の貸付けは、両者 間で締結した協定に基づき開業から 30 年間とされた。 この例に倣い、整備新幹線に係る新幹線鉄道施設の貸付け(以下単に「整備新幹 線の貸付け」という。)について、それ以降に開業した整備新幹線の区間では、いず れも貸付期間を同様の 30 年と設定した上で貸付協定が締結されている。

1 間もなく整備新幹線として最初に開業した区間である北陸新幹線(高崎・長野間) において、30 年間とされた新幹線鉄道施設の貸付けの期限が到来することとなる ことから、その後の取扱いについて、検討を進める必要がある。 とりわけ、整備新幹線の貸付けに当たって、鉄道・運輸機構が営業主体であるJ R各社から収受する貸付料については、法令上、整備新幹線の整備財源のひとつと されており、その適正な確保が重要な課題となっている。 また、今後の整備新幹線の貸付けのあり方を考えるに当たっては、整備新幹線と しての機能を維持しつつ、技術の進展や、強靱化等の社会的要請を踏まえた改善を 図っていくことも重要であり、こうした点に留意しつつ、これまで未整理となって いる整備新幹線に係る新幹線鉄道施設の大規模改修のあり方等についても、あわせ て検討する必要がある。 そこで、本小委員会では、整備新幹線の貸付けの当事者である鉄道・運輸機構や JR各社の意見を直接確認しつつ、財政制度等審議会の建議の内容も踏まえ、整備 新幹線の今後の貸付けのあり方の検討を進めてきたところであり、この度、その方 向性をとりまとめる。

2 Ⅱ.整備新幹線の貸付け及び貸付料の意義等

今後の整備新幹線の貸付けのあり方を示す前提として、整備新幹線の貸付けや当 該貸付けに係る貸付料(以下単に「貸付料」という。)がいかなる意義や性質を有す るのか、さらには、これまでの経緯や現状を踏まえ、留意すべき点と今後期待され る役割について、あらためて整理・確認しておくことが必要である。

(1)整備新幹線の貸付けの意義及び性質 新幹線鉄道は、時速 200 ㎞以上で走行する高速鉄道であり、我が国の基幹的な 高速輸送体系の中心を担う存在として着実な整備を進めることとしてきたとこ ろ、鉄道事業の整備・運営には専門的技術を要し、国とは別の独立主体による方 が効率的な運営が可能と考えられたことや、輸送需要に鑑み、一般の鉄道と同様 に内部補助を行うことによって長期的には鉄道事業としての採算性を有すると 考えられたことから、国鉄改革以前は、国庫から会計上独立した公社たる国鉄に、 その整備・運営を行わせることを基本としていた。 このため、国鉄においては、自己資金や借入金等を財源として東海道新幹線を はじめとした新幹線の整備が進められ、さらに、上越新幹線にあっては、国鉄の 予算的な制約の中で、国鉄に代わって新線建設を担う日本鉄道建設公団により整 備が進められた。 こうして整備された新幹線の運営は国鉄が担っていたが、1987 年(昭和 62 年) の国鉄改革における国鉄分割・民営化に伴い、多大な費用を要する新幹線鉄道の 整備・運営を民間会社であるJR各社に担わせることは妥当でないとして、その 後の新幹線の整備・運営に当たっては、新幹線ネットワークの持続可能性の観点 も踏まえ、上下分離方式によることとし、建設主体である鉄道・運輸機構が新幹 線鉄道施設を整備・保有し、営業主体であるJR各社が当該施設を借り受けて新 幹線鉄道事業を営業することとされた1。 この新幹線鉄道施設の貸付けについては、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整 備支援機構法(平成 14 年法律第 180 号)により、鉄道・運輸機構の業務とされ ているところ、当該貸付けの際には、鉄道・運輸機構と営業主体であるJR各社 との間で貸付協定を締結することとしている。 この点、新幹線鉄道施設の貸付けは、当事者の合意により成立するものであり、

1 国鉄時代に整備された既設新幹線(東北(盛岡以南)、上越、東海道、山陽の4新幹線)については、国鉄分割・ 民営化の際、新幹線鉄道保有機構が新幹線鉄道施設を一括保有し、JR東日本、JR東海及びJR西日本のJR 3 社に貸し付けるリース方式によることとされたが、その後の 1991 年(平成 3 年) 、JR3 社に当該施設が譲渡 (売却)された。JR3 社が鉄道・運輸機構に 60 年間の分割で支払っている譲渡代金の一部は整備新幹線の整備 財源に充てられている。

3 その法的性質は私法上の契約たる賃貸借契約と解され、法令に特別の定めがある 場合を除き、基本的には民法が適用されるものとして、貸付期間等の当該貸付け に係る協定の内容については、一義的には当事者たる鉄道・運輸機構と営業主体 であるJR各社に委ねられている。 そして、この賃貸借契約という有償契約であることを前提として、営業主体で あるJR各社は鉄道・運輸機構に新幹線鉄道施設の使用収益の対価となる貸付料 を支払うこととなるが、当該貸付料の額は、法令上、鉄道・運輸機構が、国土交 通大臣が定める方法により算定した額を基準に定めるものとされ、国土交通大臣 の認可事項となっている。 すなわち、鉄道・運輸機構とJR各社との当事者間の合意により貸付協定は成 立するが、整備新幹線の整備財源は、まずは貸付料として直接的に利益を享受す る鉄道利用者がJRを通じて負担し、その上で、国負担及び地方負担として、そ れぞれ、間接的に利益を享受する国民、地域の三者が負担することが基本原則で あるところ、貸付料の額については、こうした点はもとより、整備新幹線の健全 な整備と運営、さらにはJRの健全経営のためといった国家的観点からの公共政 策の円滑かつ適切な実施にも関係するものであるため、その適正な確保という観 点から、効力の発生が、当事者間の合意のみではなく、財務大臣との協議を経た 国土交通大臣の認可という行政行為に係らしめられている。 このような制度的枠組みの中で、整備新幹線として最初に開業した北陸新幹線 (高崎・長野間)において当事者たる鉄道・運輸機構とJR東日本との間で、貸 付料の算定等を勘案して開業から 30 年間を貸付期間に設定した貸付協定が締結 され、以降に開業した整備新幹線においては、いずれの区間も 30 年間という同 様の貸付期間で貸付協定を締結している。

(2)整備新幹線の貸付料の意義及び性質 貸付料は、当該貸付けが有償契約たる賃貸借契約であることを前提として、営 業主体であるJR各社は鉄道・運輸機構に対し、国土交通大臣から認可を受けた 額を支払うこととされている。 整備新幹線の貸付けによって生じた使用収益の対価としての貸付料を支払う べきことは賃貸借契約として当然の帰結であるが、貸付料は受益の範囲内におい て支払うものであるとされている。 これは、営業主体であるJR各社が整備新幹線の貸付けによって当該貸付けに 係る新幹線鉄道施設を独占的に利用し、当該整備新幹線の営業によって生じる収 益の対価として貸付料を支払う際、それが過度の負担となるとすれば、営業主体 であるJR各社の経営に悪影響を及ぼすおそれがあることから、第 2 の国鉄を作

4 らないという国鉄改革の趣旨に即して、貸付料に一定の上限を設けたものであ る。 具体的には、新幹線を整備する場合(With)の収益と新幹線を整備しない場合 (Without)の収益を比較し、その差額を貸付料として支払うこととされ、その額 の基準は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成 15 年 政令第 293 号。以下「鉄道・運輸機構法施行令」という。)で定められている。 他方、法令で定めているのは貸付料を受益の範囲内とすることまでであり、そ れ以外の点は運用に委ねられ、整備新幹線としてはじめて開業した北陸新幹線 (高崎・長野間)をはじめとして、これまでに開業したいずれの区間においても、 貸付料の計算期間を同一の 30 年とした上で、定額制を採用している。 これは、北陸新幹線(高崎・長野間)開業の 1997 年(平成 9 年)当時におい て、 ・ 国と地方が公的な負担をしている中での整備新幹線の整備財源の長期的かつ 安定的な確保 ・ 第 2 の国鉄を作らないという国鉄改革の趣旨に即した対応としてのJRの経 営への悪影響の回避 のバランスを図るべく、受益の範囲内において長期的かつ安定的に貸付料を確保 することとしたことによるものである。 30 年という計算期間は、受益の算定のために一定の区切りが必要であったが、 鉄道事業の収支採算性を見込む上で前提となる償還期間や、JR各社に譲渡され る前の既設新幹線のリースに関して、新幹線鉄道施設の平均耐用年数が 30 年と されていたことを踏まえて設定された。 なお、この 30 年は、あくまでも会計処理の必要性から整理されたものであり、 当該期間の経過によって直ちに新幹線鉄道施設に係る老朽化対策や改修が必要 となるものではない。 また、定額制については、 ・ 整備新幹線整備の計画的な遂行のための長期的かつ安定的な収受の必要性 ・ JRの安定的な経営への寄与 といった点から採用されたものである。 なお、整備新幹線の貸付けに係る租税・管理費についても、当該整備新幹線の 営業収入によって賄われるべき費用であるところ、こうした 30 年定額・固定の 貸付料(狭義の貸付料)とは別に、狭義の貸付料の計算の際、費用として算入し た上で、実際の租税・管理費の支払いは、鉄道・運輸機構が行うことから、狭義 の貸付料の額に実費として必要となる租税・管理費を加えた額の貸付料(広義の 貸付料)が鉄道・運輸機構に支払われている。

5 (3)留意すべき点 整備新幹線の貸付け、とりわけ貸付料に係る制度的枠組みは、前例のない新た なものであったことから、整備新幹線の着工後、国や営業主体となるJR各社と の間で様々なやりとりを行いつつ、検討が進められていた。 そうした経緯を踏まえつつ、1997 年(平成 9 年)の北陸新幹線(高崎・長野間) の開業のタイミングに合わせ、貸付料に関して、鉄道・運輸機構法施行令をはじ めとした法令の規定の整備等が行われ、整備新幹線の貸付けが継続される限りに おいて、受益の範囲内で貸付料が支払われるべきことが恒久的なものと整理され ている。 こうした整理とされていることは、その後の国会審議における開業 31 年目以 降の貸付料の取扱いに関するやりとりなどからも確認することができる。 他方、現行制度の構築やそのための検討から相当程度の時間が経過している 中、貸付料を含めた整備新幹線の今後の貸付けのあり方を考えるに当たっては、 現行制度の是非を論ずるだけではなく、あらためて、過去の経緯も踏まえ、それ らを出発点として再確認することも肝要である。 また、整備新幹線の貸付けや貸付料の設定に当たっては、国鉄改革の趣旨を踏 まえ、営業主体であるJRの安定的な経営の確保も重要な観点となるが、1998 年 (平成 10 年)に、国鉄長期債務が国の一般会計に承継され、当初約 24 兆円で あった債務は、2024 年度末(令和 6 年度末)で約 15 兆円まで減少しているもの の、残高が 0 になるまでにはなお時間を要することとなっているといった状況も 認識しておく必要がある。 なお、営業主体であるJR各社においては、様々な路線を有しているが、人口 減少、他の交通機関との競合などの国鉄分割・民営化時からの状況変化の中で、 経営努力を重ねながら内部補助によって路線維持を図ってきた。 本小委員会での議論では、これらの点についても、ないがしろにすることなく、 十分に勘案することとした。

(4)期待される役割 整備新幹線は、建設主体たる鉄道・運輸機構が新幹線鉄道施設を整備・保有す る中、営業主体であるJR各社が、当該施設の通常の維持管理を担いつつ、安全 かつ安定的な列車の運行を行い、日々の輸送サービスを提供し、利用者ニーズに 応えてきた。 我が国の主要な交通インフラである整備新幹線が今後も必要な機能を維持し、 期待される役割を果たしていく上では、引き続き、当該整備新幹線に係る新幹線

6 鉄道施設を整備・保有する建設主体である鉄道・運輸機構と営業主体であるJR 各社が、整備新幹線の貸付けを通じて、鉄道・運輸機構とJR各社が、整備新幹 線において継続的に安定的な輸送サービスを提供する上でのパートナーとして の側面があることも踏まえ、必要な情報共有を図り、相互的関係を構築しつつ、 適切な役割分担の下でそれぞれに求められる役割を果たしていくことが枢要で ある。 また、貸付料は、受益の範囲内で支払うものとされており、整備新幹線の財源 との関係で変動が生じることを予定しているものではないが、整備新幹線の整備 に当たっては、全幹法等の法令の定めによって、貸付料等を除いた額を国と地方 が 2 対 1 の割合で負担することとされ、整備財源のひとつとして重要な役割を 担っていることから、その適正な確保の要請に応えていく必要がある。 この点、我が国における新幹線整備については、整備計画に基づき、順次、そ のネットワークを拡大してきたが、直近では 2024 年(令和 6 年)3 月に北陸新幹 線(金沢・敦賀間)が開業したところ、今後の整備については、まずは、北海道・ 北陸・西九州の各整備計画路線の確実な整備に目途を立てることが最優先の課題 とされている。 目下、北海道新幹線は工事中であり、北陸と西九州の各新幹線については着工 に向けた取組みが進められているが、北海道新幹線にあっては 1 兆円を超える事 業費増嵩のおそれが鉄道・運輸機構から国に報告されているほか、北陸と西九州 の各新幹線の着工も見据えると、これら全体で数兆円規模の事業費が見込まれ、 その財源確保において貸付料の寄与が求められることは言を俟たず、今後の貸付 料を考えるに当たっては、これら北海道・北陸・西九州の各整備計画路線の確実 な整備と大規模改修等への対応に係る要請を念頭に置いておく必要がある。 他方、整備新幹線が整備されれば、利用者が利益を享受するのみならず、沿線 地域はもとより我が国全体に裨益することとなることから、当該整備には、国と 地方による公的資金も投入され、一定の国民負担を伴うこととなるが、その負担 の前提として、現在はもちろんのこと、次世代の納得感も含めて、国民目線を忘 れてはならない。 すなわち、我が国における今後の新幹線ネットワーク整備に当たっては、その 重要性や必要性について、国がしっかりと説明責任を果たしていかねばならない ことはもちろん、関係する鉄道・運輸機構やJR各社も整備に係る取組みの進捗 等の必要な情報を開示することで、国民の理解増進が図られるべきである。 本小委員会では、こうした点も、今後の整備新幹線の貸付けのあり方を考える 上で前提となる重要な要素とした。

7 Ⅲ.今後の整備新幹線の貸付けの方向性

(1)基本的考え方 整備新幹線については、その整備に当たって上下分離方式が導入された中、整 備新幹線の貸付けに際しては、これまでに開業した区間のいずれにおいても、貸 付協定に基づき、開業から 30 年間を貸付期間とし、所定の貸付料を設定した上 で、鉄道・運輸機構が営業主体であるJR各社に当該施設の貸付けを行っている。 開業から 30 年を経過した後も、当該貸付けを継続するに当たっては、改めて 両者で貸付協定を締結することとなるが、今後の整備新幹線の貸付けに当たって は、国が営業主体となるJR各社とも様々なやりとりを重ね、現在の制度が構築 されている経緯はもとより、我が国における社会経済情勢等の変化も踏まえつ つ、今日的視点からあるべき方向性を整理した上で、それに即したものとするこ とが必要である。 とりわけ、貸付料については、整備新幹線の貸付けが賃貸借契約たる法的性質 を有することを前提に、使用収益の対価として適正に設定されるべきものであり、 ・ 貸付料が、法令上、整備新幹線の整備財源にもなっており、整備新幹線の着 実な整備を進める上で必要となる資金需要への対応として、その長期的かつ安 定的な確保の要請が高いこと。 ・ 国鉄分割・民営化から 40 年が経過する中でも、引き続き、国鉄改革の趣旨 を踏まえ、JR各社の安定的な経営の確保にも留意すべきであること。 も勘案しつつ、その収受する期間や算出方法について、受益の範囲内を前提とし た適切なものとするための制度設計を進め、透明性の観点にも留意し、国民への 必要な説明責任も果たしながら、今後とも継続的に適正な確保を図ることとすべ きである。 また、大規模改修や激甚化・頻発化する自然災害に係るリスクへの対応といっ た将来への備えについても避けては通れない課題であり、これまで未整理となっ ている点を明確化し、開業後 31 年目以降の整備新幹線の貸付けのあり方に反映 させる必要がある。

(2)基本的考え方を踏まえた課題と整理すべき事項 今後の整備新幹線の貸付けに係る基本的考え方に即し、新たな制度的枠組みの 構築に向けた検討を進め、その具体化を図っていく上では、整備新幹線の貸付け を巡ってこれまでに顕在化した課題や今後期待される役割を踏まえると、特に貸 付料を中心に、

8 ・ 今後とも変わらない要請である整備財源としての貸付料の長期的かつ安定的 な確保と営業主体であるJR各社における長期的な経営の見通し(課題 1) ・ 継続的に適正な額の貸付料を確保する前提としての適正な受益の把握と貸付 料への反映(課題 2) ・ 大規模改修や激甚化・頻発化する自然災害に係るリスクへの対応といった将 来的な課題への備え(課題 3) といった 3 つの課題に対応したものとすることが必要である。 この 3 つの課題に対応するために整理すべき論点としては、課題 1 への対応と して、「貸付期間」及び「貸付料の改定/固定・変動」、課題 2 への対応として、 「貸付料(受益)の算定方法」、 「接続利益(根元受益)」、 「関連線区」、 「並行在来 線」及び「関連収入」、さらに、課題 3 への対応として、 「大規模改修や自然災害 への対応」といったものが考えられるところ、それぞれの論点について、現状、 検討の視点及び今後の方向性を以下に示すこととする。

(3)整理すべき事項

1)貸付期間 <現状> ・ 整備新幹線については、鉄道・運輸機構が新幹線鉄道施設を営業主体であ るJR各社に貸し付けるに当たって、その期間に関しての法令による明文の 定めはない。 ・ 整備新幹線の最初の開業区間である北陸新幹線(高崎・長野間)について、 その開業時、新幹線鉄道施設全体の平均耐用年数が 30 年とされたことを踏 まえ、貸付協定の期間は 30 年とされ、それ以降、これまで開業した各区間 においても、同様の考え方によって 30 年と設定されている。 <検討の視点> ・ 整備新幹線の開業後 31 年目以降についても、整備新幹線の整備財源の長 期的かつ安定的な確保やJR各社の経営見通しの確保の要請への対応が必 要である。 ・ 開業後 31 年目以降の整備新幹線の貸付けに当たっては、現行の貸付期間 は新幹線鉄道施設全体の平均耐用年数を前提としているが、当該施設の状態 等を踏まえつつ、今後の貸付協定の期間について整理することが必要であ る。 ・ 2020 年(令和 2 年)に、北陸新幹線(金沢・敦賀間)の建設財源として、 北陸新幹線(高崎・長野間)の開業後 31 年目以降の貸付料収入を前倒し活

9 用しているが、それに当たっては、開業後 31 年目以降も貸付料を一定の期 間・額で適切に確保することを前提としている。 <今後の方向性> ・ 新たな貸付協定で定めることとなる開業後 31 年目以降における整備新幹 線の貸付期間については、整備新幹線の整備財源の長期的かつ安定的な確保 やJR各社の経営見通しの確保といった要請への対応を考えると、ある程度 長期間とすべきであり、現行と同程度の期間とすることには一定の合理性が ある。 ・ 技術の進展等により、整備新幹線に係る新幹線鉄道施設の状態等を踏まえ ると、今後において大規模改修が必要となる時期は当初の想定よりも後ろ倒 しとなることも考えられ、開業後 31 年目以降の貸付協定における貸付期間 の設定にはそうした点も踏まえるべきである。 ・ これらを踏まえ、開業後 31 年目以降の整備新幹線の貸付けについても、 貸付協定の期間と貸付料の支払期間を同一のものとすることを前提に、それ ぞれの区間において現行と同様の 30 年と設定することを基本に考えるべき である。

2)貸付料の改定/固定・変動 <現状> ・ 現在の貸付料の額は、いずれの区間においても、貸付協定の期間が 30 年 と設定されている中、当該期間中は固定とされている。 ・ いずれの区間においても、貸付料決定の際には想定し得なかった経済・社 会状況の著しい変化により大幅な受益の変動が生じた場合は、定額の貸付料 の変更について協議することとされているものの、協議が行われ、貸付料の 額が変更された実績はない。 <検討の視点> ・ 貸付料の改定頻度や変動制の是非を考える上では、現在の固定制のメリッ トも踏まえ、安定性の確保と実績の反映とを慎重に比較衡量することが必要 である。 ・ 一定の長期間にわたって整備新幹線の貸付けがなされる場合において、貸 付料決定時の前提や予測を前提とした固定制は硬直的な感があり、実績を反 映できるような柔軟な仕組みの導入も検討すべきである。 ・ 実績を反映させる仕組みの導入に当たっては、貸付料確保やJR各社の経 営の安定性の観点にも留意が必要である。 <今後の方向性>

10 ・ 貸付料の改定頻度の向上や変動制の導入は、整備新幹線の整備に係る安定 的な財源見通しの確保やJR各社の経営見通しの確保を阻害する可能性が あり、開業後 31 年目以降においても、引き続き、一定期間での固定制を基 本とすべきである。 ・ 他方、社会経済情勢が目まぐるしく変化し、将来の見通しを立てることが 難しい中、変化に対応して適正な額の貸付料を確保することも肝要であり、 固定制を基本としつつも、一定の経済指標、条件などに基づく変動要素を盛 り込んだ仕組みを導入すべきである。 ・ その際、変動要素としては、隣接区間の新規開業による一定以上の収益の 変動等が考えられるが、改定事由や変動が予見される場合の事前協議の実施 などについて、貸付協定に明記することや、当事者間で定期的に状況を確認 し、見直しを検討する枠組みを設けることで、当事者間での予見可能性を高 めることも検討すべきである。 ・ なお、変動要素の導入に当たっては、貸付料が整備新幹線の整備財源とし て既に活用している財政融資の返済財源となっており、その償還確実性の担 保を十分に踏まえる必要があること等にも留意する必要がある。

3)貸付料(受益)の算定方法 <現状> ・ 営業主体であるJR各社は、関係法令の規定に基づき、 「受益」の範囲にお いて、鉄道・運輸機構に貸付料を支払うこととされている。 ・ 貸付料の額については、 「新幹線を整備する場合(With)の収益」-「新幹 線を整備しない場合(Without)の収益」による「収支改善効果」を「受益」 とし、開業後 30 年間の「受益2」を平均して算定している。 <検討の視点> ・ 貸付料は新幹線鉄道施設の使用収益の対価であり、当該施設の貸付けが継 続されている以上、開業後 31 年目以降も適正な額を支払うことが必要であ る。 ・ With/Without 方式について、開業後 31 年目以降の貸付料の算定への適用 が困難3との指摘もある中、こうした点も踏まえ、引き続き当該方式を用いる

2 受益には、整備区間の開業に伴う収支に加えて、関連線区(既存の新幹線と在来線)の収支増減や並行在来線の 経営分離効果も含まれている。 3 北陸新幹線(高崎・長野間)を例としてみると、1997 年(平成 9 年)の当該区間の開業時には、信越線の一部が 廃止又は「しなの鉄道」に移管され、さらに 2015 年(平成 27 年)の金沢延伸時には長野以北の信越線が「しな の鉄道」と「えちごトキめき鉄道」に移管される等、北陸新幹線の延伸や並行在来線の分離等によって、新幹線 及び在来線のいずれも 1997 年(平成 9 年)の開業当時からネットワークの姿が大きく変化しており、現行の With/Without 方式を継続するとした場合、 「With」及び「Without」をどのように設定するかに困難を伴うことが 想定される。

11 べきか検討が必要である。 ・ 開業後 30 年間の収益の実績がある中で、受益について、当該実績を踏ま えたより適正な算定方法への見直しについても検討すべきである。 <今後の方向性> ・ 開業後 31 年目以降の貸付料の算定に当たっては、 「受益」をより適正に把 握し、貸付料の額に反映できるよう、現行の With/Without 方式の適用につ いて、営業主体であるJR各社からは否定的な意見も出ている中、それ以外 の算定方法への見直しを検討すべきである。 ・ 整備新幹線の貸付けについては、法的には賃貸借契約たる性質を有するも のであることを踏まえ、一般の不動産賃料の考え方の例4も参考としつつ、 With/Without 方式に代わる新しい算定方法を導入すべきである。 ・ その際、開業後 30 年間の収益の実績等を勘案すると、賃料改定の際に用 いるスライド法の適用も考えられるが、どのような方法によるべきかは、す べての区間で一律とするのではなく、個々の区間や営業主体であるJR各社 の状況等を勘案し、受益の範囲内でのものとなることを前提に、個別具体の 判断によるものとして柔軟な対応を図るべきである。

4)受益の範囲

① 接続利益(根元受益) <現状> ・ 新たな区間が開業する際、当該区間と接続する既開業区間に追加的に生じ る収益の増加について、新規開業区間と既開業区間の営業主体が同一である 場合には、関連線区における受益として、新規開業区間の貸付料に反映させ ている。 ・ 一方、新規開業区間と既開業区間の営業主体が異なる場合、当該既開業区 間は、当該新規開業区間の貸付料算定の際に関連線区として取り扱われず、 当該既開業区間の貸付料も改定されないため、当該既開業区間に追加的に生 じる収益は、いずれの営業主体の貸付料にも反映されない5。 <検討の視点>

4 一般の不動産賃貸の際に活用されている手法については、新規契約のケースと賃料改定のケースに大別され、前 者では積算法、賃貸事例比較法、収益分析法、後者では差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法と いったように様々なものが用いられている。 5 例えば、北陸新幹線(金沢・敦賀間)が開業した際については、JR東日本が営業主体である既開業区間の高崎・ 上越妙高間における高崎・長野間(175 億円)と長野・上越妙高間(165 億円)の貸付料は変更されていない。例 外的に、北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の開業に当たって、JR東日本が営業主体となっている東北新 幹線(盛岡・新青森間)に生じる受益について、JR東日本が鉄道・運輸機構に対し、貸付料とは別に年額 22 億 円を支払っている。

12 ・ 一の路線の営業主体が複数に分かれる場合であっても、それぞれの営業主 体の区間をまたいだ列車が運行されているような実態も踏まえることが必 要である。 ・ 営業主体の同一性に関わらず、整備新幹線区間における受益であるのであ れば、貸付料の算定に適正に反映されるべきである。 ・ いわゆる接続利益(根元受益)とされる受益の貸付料への反映のあり方に ついて、公平性の観点も踏まえ、その算定方法を見直すことも検討すべきで ある。 <今後の方向性> ・ ネットワーク全体の受益の実態を踏まえつつ、公平性の観点からすれば、 営業主体の同一性に関わらず、いわゆる接続利益(根元受益)とされる受益 について、貸付料に適正に反映させるべきである。 ・ いわゆる接続利益(根元受益)とされる受益の貸付料への反映に当たって は、他区間の関連線区としての受益ではなく、より直接的に貸付料に反映で きるような算定方法を導入すべきである。

② 関連線区 <現状> ・ 整備区間に加え、当該区間の営業主体が営業する線区のうち、新幹線の整 備により輸送密度が 100 人キロ/日・km 以上増減する線区を関連線区とし、 当該線区についても、開業後 30 年間の需要及び収支の予測を行い、その収 支改善効果を貸付料に反映させている。 <検討の視点> ・ 関連線区の収支改善効果は、30 年の貸付協定の期間の満了をもって消失す るものではなく、それ以降も継続して発生しているとすることが妥当であ る。 ・ 関連線区は、整備区間と密接に関係し、その収支について、乗換需要など の面で新幹線整備の影響を一定程度受けている限りにおいて、引き続き受益 の算定に反映すべきである。 ・ 受益について、開業後 30 年間の Without の実績がなく、With/Without 方 式での算定が困難とされるのであれば、別の合理的な手法の導入が必要であ る。 <今後の方向性> ・ 関連線区について、開業後 30 年目までとそれ以降で取扱いを異にする合 理的理由はなく、開業後 31 年目以降においても乗換需要などの面で新幹線

13 整備の影響を一定程度受けていることが確認できる限りにおいては、その効 果を受益とし、貸付料に適正に反映させるべきである。 ・ 受益の算定に当たっては、With/Without 方式によることが困難であれば、 新幹線開業時の収支改善効果から推計するなど、新たに合理的な算定手法を 確立すべきである。

③ 並行在来線 <現状> ・ 整備新幹線の整備に当たって、営業主体となるJRが並行在来線を経営分 離する場合には、沿線自治体の同意を得ることが必要であり、着工の際に確 認する条件のひとつとされている。 ・ こうした点も踏まえ、並行在来線の経営分離により生じる収支改善効果に ついても、受益として貸付料の算定の対象としている。 <検討の視点> ・ 並行在来線の分離効果は、30 年の貸付協定の期間の満了をもって消失する ものではなく、それ以降も継続して発生しているとすることが妥当である。 ・ 並行在来線の経営分離は、営業主体であるJRへの過度な負担の回避と いった観点からの整備新幹線の着工の際の重要な要素であり、引き続き受益 の算定に反映すべきである。 ・ 受益について、開業後 30 年間の Without の実績がなく、With/Without 方 式での算定が困難とされるのであれば、別の合理的な手法の導入が必要であ る。 <今後の方向性> ・ 整備新幹線の着工の際、並行在来線の経営分離が重要な要素のひとつと なっていることを勘案すると、開業後 31 年目以降においても並行在来線の 分離効果が確認できる限りにおいては、その効果を受益とし、貸付料に適正 に反映させるべきである。 ・ 受益の算定に当たって、With/Without 方式によることが困難であれば、経 営分離後の第三セクターの経営状況6等を基にするなど、新たに合理的な算 定手法を確立すべきである。

④ 関連収入

6 全国的にローカル鉄道は旅客需要の減少等によって厳しい経営状況に置かれているが、並行在来線も例外では なく、東北新幹線の並行在来線となる青森県の「青い森鉄道」や、九州新幹線(鹿児島ルート)の並行在来線と なる熊本県・鹿児島県の「肥薩おれんじ鉄道」では、2023 年(令和 5 年)の地域交通法改正等による制度面・予 算面での支援策を活用した「鉄道事業再構築事業」を実施し、再構築に向けた取組みが進められている。

14 <現状> ・ 現行の貸付料においては、旅客鉄道事業に係る収支改善効果を受益と整理 し、算定対象として取り扱っている。 ・ 具体的には、鉄道事業会計規則(昭和 62 年運輸省令第 7 号)における鉄 道事業営業収益の分類に即して、運賃収入、料金収入のほか、駅構内や高架 下における使用料、広告料などの運輸雑収までを算定の対象としている7。 <検討の視点> ・ 新幹線の開業に伴う受益の範囲を考える上では、単純に増収しているとい う事実のみならず、営業主体であるJRによる関連事業における企業努力等 の側面も踏まえることが必要である。 ・ 新幹線の開業に伴う駅前再開発等による収益は、営業主体であるJRのみ に生じるものではなく、他の民間事業者との関係や収益を前提とした徴税と の関係にも留意が必要である。 ・ 一定の範囲において関連収入を受益と整理する場合、受益の状況を適正に 把握する仕組みを構築することが前提となる。 <今後の方向性> ・ 駅構内や高架下における使用料などの運輸雑収については、営業主体であ るJRが独占的に享受できる利益であることに鑑み、より正確に実態を把握 し、貸付料にも適正に反映させるべきである。 ・ 他方、新幹線の開業に伴う不動産収入等を関連収入としてすべて受益と整 理し、貸付料に反映させることは、新幹線鉄道施設の使用収益の対価という 貸付料の性質や他の民間事業者とのバランス等を考慮すると困難である。 ・ そのため、適正な貸付料の算定に当たって、どこまでを新幹線の開業に伴 う受益の範囲とするのが合理的か、整理することが必要である。 ・ 整備新幹線の開業に伴う受益の範囲の整理に当たっては、当該開業に伴っ て生じることとなる運輸雑収の範囲を明確化しつつ、より適正な実態把握の ための仕組みを構築することが考えられる。

5)大規模改修や自然災害への対応 <現状> ・ 整備新幹線については、将来的に必要となることが想定される大規模改修

7 整備新幹線の営業主体を含む鉄道事業者は、鉄道事業会計規則や鉄道事業等報告規則(昭和 62 年運輸省令第 9 号)によって、旅客運輸収入、運輸雑収等の収益や費用を整理し、その実績を国に報告することとされているが、 その報告は「路線ごと」であり、整備新幹線の貸付区間に対応したものとはなっていない。また、鉄道・運輸機 構と営業主体との間でも、貸付区間における旅客運輸収入や運輸雑収の報告を求めることとされていない。

15 に係る具体策はこれまでのところ未整理8となっており、今後の検討課題と されている。 ・ 我が国において地震や風水害などの自然災害が激甚化・頻発化する中、整 備新幹線についても、自然災害発生リスクを見据えた対応の必要性が高まっ ている。 <検討の視点> ・ 開業後 30 年目までの貸付けに当たっては、当該期間内に大規模改修への 対応が必要となるものではなく、貸付料の算定等においても特段考慮してい なかったが、開業後 31 年目以降においては大規模改修について一定の考慮 が必要である。 ・ 大規模改修の責任主体や費用負担のあり方については、整備新幹線の貸付 けが法的には賃貸借契約であることを踏まえ、通常の賃貸借契約における賃 貸人と賃借人の関係も参考とすべきである。 ・ 大規模改修について、営業主体としてのJR各社はいずれも、大家として 新幹線鉄道施設を保有する鉄道・運輸機構において対応すべきものとの立場 であることにも留意が必要である。 ・ 新たな制度の構築に当たっては、大規模改修として想定される時期や規模、 その内容も踏まえ、検討することが必要である。 ・ 将来にわたって整備新幹線の安定的な運行を確保していく上では、大規模 改修への対応のみならず、自然災害への備えといった点にも留意が必要であ る。 <今後の方向性> ・ 鉄道・運輸機構によるJR各社への整備新幹線の貸付けが、法的には賃貸 借契約と整理されるところ、大規模改修については、通常の賃貸借契約の場 合と同様に、大家たる鉄道・運輸機構が責任を負うものとすることが妥当で あり、これを前提として、大規模改修に係る具体策を検討すべきである。 ・ その際、大規模改修とは何かについて、性能低下の復旧・予防、社会的要 請による性能水準(安全水準、環境水準、輸送性能、駅の構造等の空間性能) の変化といった点から、その範囲を整理し、鉄道・運輸機構の責任範囲の明 確化を図るべきである。 ・ 既設新幹線ではこれまでに様々な改修が実施されてきており、その実績や 計画について、JR各社と鉄道・運輸機構の間において必要な範囲で情報共

8 既設新幹線においては、2002 年(平成 14 年)に全幹法が改正され、新幹線鉄道施設の保有主体であるJR各社 が大規模改修を行うものとして必要な制度が設けられた。具体的には、大規模改修に係る引当金の積立てや実施 計画の認定などが規定されている。

16 有を図り、整備新幹線での取組みの参考とすべきである。 ・ 鉄道・運輸機構が大規模改修の責任を負うとした場合において、当該大規 模改修に要する費用の確保については、受益の範囲内での算定が基本となる 貸付料との関係も含め、通常の賃貸借契約では賃料等の支払いを通じて賃借 人の負担によるものとされていることにも留意しつつ整理することが必要 である。 ・ 大規模改修への対応と合わせて、自然災害への備えについても、その対策 の具体化を図っていくべきである。 ・ 大規模改修や自然災害への備えについては、それらの財源確保策が大きな 課題のひとつとなるが、国土強靱化等の観点も踏まえ、国民理解の醸成を図 りつつ、貸付料に限らない多様な形での財源確保策を検討すべきである。

(4)情報共有の環境整備 新たな制度の導入に際しては、国や鉄道・運輸機構とJR各社間において必要 な情報を適時・適切に共有しておくことも重要である。 この点、現行の枠組みでは、整備新幹線の貸付区間ごとの輸送状況や貸し付け ている新幹線鉄道施設内での関連収入などについて、それらをJR各社から国あ るいは鉄道・運輸機構に提供することとはされていないが、今後の貸付けに当 たっては、貸付料に適正に反映されるよう、必要な情報共有の枠組みを構築すべ きである。 また、将来的に対応が必要となる大規模改修等に対して、鉄道・運輸機構が適 切に対応できるよう、JR各社が実施している整備新幹線に係る新幹線鉄道施設 の定期検査の結果や既設新幹線の大規模改修に係る情報について、JR各社と鉄 道・運輸機構との間で適切に共有を図るための枠組みも構築すべきである。

(5)新たな制度の適用範囲 新たに構築する制度については、整備新幹線全体を対象とし、2027 年(令和 9 年)9 月末で現行の貸付期限が到来する北陸新幹線(高崎・長野間)のその後の 貸付けに適用することはもとより、それ以降に開業した既開業区間の開業後 31 年目以降の貸付けに適用するほか、今後の新規開業区間における新たな貸付けの 際にも適用されるものとして、必要な法令等の整備を進めるべきである。 また、国や鉄道・運輸機構とJR各社間において必要な情報を適時・適切に共 有する仕組みについては、それぞれの区間の貸付期間によることなく構築するこ とが適当であり、速やかに必要な対応が図られるよう、関係者間での調整や検討 を進めることが必要である。

17 Ⅳ.おわりに

本とりまとめは、将来にわたって整備新幹線がその機能を十分に発揮し、期待さ れる役割を果たしていく前提として、あるべき今後の整備新幹線の貸付けの方向性 を示すものである。 整備新幹線は、国鉄時代に計画され、紆余曲折を経て着工に至ったのは 1987 年 (昭和 62 年)の国鉄分割・民営化後となり、その整備に当たっては、国鉄改革の 趣旨を踏まえ、上下分離方式が導入された。 営業主体となるJR各社における過度の負担を回避させつつ、着実に整備新幹線 の整備を進めるという当該方式導入の意義は現在も失われているものではなく、引 き続きこの仕組みを前提とした整備新幹線の貸付けによることが適当である。 他方、国鉄分割・民営化から 40 年近くが経過し、その際に発足したJR7社の うち、これまでに旅客4社が完全民営化を果たしてきているが、最初に完全民営化 したJR東日本も、株式上場は 1993 年(平成 5 年)、完全民営化は 2002 年(平成 14 年)であり、北陸新幹線(高崎・長野間)が開業した 1997 年(平成 9 年)当時、 さらには貸付料を含めて貸付けのあり方を検討・調整していた平成一桁の時代と現 在ではJR各社の置かれた状況も大きく変化している。 こうした点も含めて社会経済情勢の変化への対応を図りつつ、整備新幹線におけ る上下分離方式導入の趣旨を最大限に活かすことができるようにすることが、今後 の整備新幹線の貸付けのあり方であると考える。 そして、そのあり方を具現化する際には、整備新幹線に係る新幹線鉄道施設を整 備・保有する建設主体たる鉄道・運輸機構と営業主体たるJR各社が更なるパート ナーシップの強化を図り、適切な役割分担の下で、整備新幹線において継続的に安 定的な輸送サービスが提供されるようにしなければならない。 加えて、整備新幹線の整備効果が、利用者のみならず、沿線地域はもとより我が 国全体に裨益することを踏まえ、その整備財源については、貸付料のみならず、国 と地方の負担も含めたものとなることに留意しつつ、貸付料の適正な確保を通じ て、新たな新幹線ネットワークの着実な整備が進められるようにすることが肝要で ある。 本小委員会は、このとりまとめで示した方向性に即し、新たな制度的枠組みの導 入に向けて、貸付料の算定方法をはじめとした必要な制度設計や大規模改修等に係 る財源確保策の検討の深化が図られるとともに、貸付協定の締結に当たっても関係 者による真摯かつ誠実な協議が行われることを期待する。 なお、本小委員会においては、整備新幹線の整備の完遂と安定的かつ継続的な運 行が成立することを念頭に、整備新幹線の貸付けや貸付料のあり方を論じたもので

18 ある。 その先の課題として、幹線鉄道ネットワークのあり方を整理し、今後の整備の方 向性や必要となる財源確保策の検討を進めていくことの必要性も議論の過程にお いて認識したところであり、今後、国において取り組むべきであることを付言して おく。

19

添付資料4 交通政策審議会 陸上交通分科会 鉄道部会 今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会 とりまとめ 参考資料

令和8年7月31日 全国の新幹線鉄道網の現状 ○ 我が国では、昭和39年1964年)の東海道新幹線の開業以来、順次新幹線ネットワークが構築されてきている。 ○ 全国新幹線鉄道整備法に基づき、昭和48年1973年)に整備計画が決定された5路線を、「整備新幹線」という。 整備新幹線とは、「全国新幹線鉄道整備法」に基づく昭和48年1973年) の「整備計画」により整備が行われている以下の5路線のことをいう。

北海道新幹線 青森 - 札幌間 東北新幹線 盛岡 - 青森間 北陸新幹線 東京 - 大阪間 九州新幹線(鹿児島ルート) 福岡 - 鹿児島間 九州新幹線(西九州ルート) 福岡 - 長崎間 凡 例 既設新幹線 整備計画路線(開業区間) 整備計画路線(建設中区間) 整備計画路線(未着工区間) 中央新幹線 基本計画路線 ミニ新幹線

(※)令和7年3月、有識者会議の報告書がとりまとめられた。 発現の蓋然性が高いリスク等を前提とした場合、現時点では、 完成・開業は概ね2038年度末頃の見込み。特に工程への影 響が大きい更なるリスクが発現した場合、さらに数年単位で遅れ る可能性がある。 現時点の開業見通しには相当程度の不確実性が残るため、ト ンネルの貫通に一定の目途が立った段階で、改めて全体工程を 精査し、開業時期を定めることが適切。 1 整備新幹線の主な経緯 39 弾丸列車構想 49 日本国有鉄道 発足 1970年 全国新幹線鉄道整備法(全幹法)制定 ‘60 64 日本鉄道建設公団 発足 64 東海道新幹線 開業 1971・73年 整備計画決定 新幹線建設は、全幹法により、運輸大臣が定める基本計画に基づき進めることとされ、1971(昭 和46)年には、東北新幹線、上越新幹線、成田新幹線の整備計画が決定され、1973(昭和 ‘70 70 全国新幹線鉄道整備法 制定 48)年には、「整備新幹線」と呼ばれる、北海道新幹線、東北新幹線、北陸新幹線、九州新幹 線の整備計画が決定された。 71・73 整備計画決定 75 山陽新幹線 全線開業 1982年 整備新幹線計画の凍結 1987年 凍結解除 ‘80 82 整備新幹線計画の凍結 整備新幹線計画は、国鉄の経営悪化等の諸事情を背景に、1982(昭和57)年に当面見合 わせるとの閣議決定がなされたことにより、一時凍結状態にあったが、1987(昭和62)年の閣議 82 東北新幹線・上越新幹線 開業 決定において、整備新幹線計画の凍結は解除された。 87 整備新幹線計画の凍結解除

87 国鉄の分割・民営化 1987年 国鉄の分割・民営化 1991年 既設新幹線の譲渡 ‘90 91 既設新幹線 譲渡 1987(昭和62)年4月1日、日本国有鉄道が分割・民営化され、旅客鉄道会社6社と日本 貨物鉄道株式会社が発足した。既設新幹線については、本州3社の収益調整を行う観点から、 新幹線鉄道保有機構(保有機構)が一括して保有し、本州3社に有償で貸し付ける形がとられ 全国新幹線鉄道整備法 改正 た。その後、1991(平成3)年10月には、JR株式の売却・上場を円滑かつ適切に実施する観 97 高崎・長野間 開業 点から、本州3社の資産及び債務を確定する必要等が生じたため、保有機構が一括保有している 新幹線鉄道施設は本州3社に譲渡され、保有機構は解散した。 ‘00 02 盛岡・八戸間 開業 03 (独)鉄道・運輸機構 設立 04 新八代・鹿児島中央間 開業 1997年 全幹法改正 高崎・長野間 開業 1987(昭和62)年、政府・与党申合せにより、整備新幹線の優先着工順位とともに、北陸新 幹線(高崎・軽井沢間)の着工等が決定された。 また、1989(平成元)年の政府・与党申合 ‘10 10 八戸・新青森間 開業 せにおいて、建設財源に関する基本スキームが策定され、同年8月、北陸新幹線(高崎・軽井沢 11 博多・新八代間 開業 間)が着工された。その後、1991(平成3)年3月には、北陸新幹線(軽井沢・長野間)が着 15 長野・金沢間 開業 工された。1996(平成8)年12月の政府・与党合意において新しい基本スキームが策定され、 16 新青森・新函館北斗間 開業 整備新幹線の建設費は、国、地方公共団体及びJRが負担することとし、JR負担分については、 受益の範囲を限度とする貸付料等によることとされた。これに伴い、1997(平成9)年5月に全 ‘20 22 武雄温泉・長崎間 開業 幹法が改正された。同年10月に北陸新幹線(高崎・長野間)が開業した。

24 金沢・敦賀間 開業 出典:『日本鉄道史』より作成 2 整備新幹線の概要 ○ 整備新幹線については、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)が施 設を建設・保有し、営業主体(JR)に対し施設を貸し付ける上下分離方式がとられている。 ○ 工事に要する費用については、全国新幹線鉄道整備法(以下「全幹法」という。)等の法令により、JRより支払われ る貸付料等を除いた額について、国と地方が2:1で負担することとされている。 ○ 着工にあたっては、累次の政府・与党申合せにおいて、いわゆる「着工5条件」を確認することとされている。

【 整備方式 】 ○着工5条件の確認 JR 整備新幹線の着工に際しては、以下の条件を確認することと (新幹線の運行) されている。

①安定的な財源見通しの確保 ②収支採算性 ③投資効果 ④JRの同意 ⑤並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意 施設の 貸付料の支払 <上下分離> 貸付 (受益の範囲) 財源スキーム 全国新幹線鉄道整備法等の法令により、整備費については、 鉄道・運輸機構 貸付料等を除いた額について、国と地方で2:1で負担す <公共事業方式> ることとされている。 (施設の建設・保有) 国及び地方

国負担(※1) 地方負担 貸付料等(※2) 建設費の負担 国 2/3 地方 1/3 2 1 ※貸付料除く ※1 国負担には公共事業関係費及び既設新幹線譲渡収入を含む。 ※2 貸付料等には前倒し活用の借入金を含む。 3 整備新幹線の財源スキームの概要 ○ 整備新幹線の建設費については、全幹法等の法令に基づき、貸付料等を除いた整備費について国と地方が 2:1で負担することとされている。

国負担 地方負担 貸付料等 (貸付料の前倒し活用を含む)

2 1

全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)(抄) (建設費用の負担等) 第十三条 機構が行う新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用(営業主体から支払を受ける新幹線鉄道に係る鉄道施設の貸付料その他の機構の新幹線 鉄道に係る業務に係る収入をもつて充てるものとして政令で定めるところにより算定される額に相当する部分を除く。)は、政令で定めるところにより、国及び当該新 幹線鉄道の存する都道府県が負担する。 2 都道府県は、その区域内の市町村で当該新幹線鉄道の建設により利益を受けるものに対し、その利益を受ける限度において、当該都道府県が前項の規定に より負担すべき負担金の一部を負担させることができる。 3 前項の規定により市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見を聴いた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。 4 (略) 全国新幹線鉄道整備法施行令(昭和45年政令第272号)(抄) (国及び都道府県の負担) 第八条 国及び都道府県が法第十三条第一項の規定により負担すべき費用の額は、毎事業年度、新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用の額から前条第 二項の国土交通大臣が定める額を控除した額に、国にあつては三分の二を、都道府県にあつては三分の一を、それぞれ乗じて得た額とする。 2 前項の規定により国が負担すべき費用の額の計算については、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法第十七条第三項の規定により同項第一号 に掲げる事業に要する費用の一部に充てるため繰り入れた繰入金(後年度繰入金充当収入を含み、当該事業年度以前の事業年度における後年度繰入金充 当収入に係る債務の償還及び当該債務に係る利子の支払に要する費用に充てるものを除く。)は、国が当該費用の一部に充てるものとして負担したものとみな す。 4 整備新幹線の政策的意義 ○ 整備新幹線は、地域間の移動時間の短縮により、地域相互の交流を促進し、地域社会の振興や経済活性化に大きな 効果をもたらすものとして、平成元年の北陸新幹線(高崎・軽井沢間)の着工を皮切りに、順次整備が進められてきた。 ○ 近年では、巨大災害リスクの切迫や、安全保障上の課題の深刻化への対応といった、整備開始当初には考えられていな かった課題への対応としての役割も与えられ、引き続き、我が国の基幹的な高速陸上交通ネットワークとして整備が進めら れている。

全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)(抄) (目的) 第一条 この法律は、高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、も つて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資することを目的とする。 (新幹線鉄道の路線) 第三条 新幹線鉄道の路線は、全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第一条の目 的を達成しうるものとする。

第四次全国総合開発計画(昭和62年6月30日閣議決定)(抄) 地方都市の機能の周辺地域での活用を円滑にするとともに、地方都市相互間で適切な連携を図り、多極分散型国土の形成を促すよう、交通、情報・通信体系の 先行的かつ計画的な整備を推進する。 このため、地方都市と周辺地域を結ぶ幹線道路や地方中枢・中核都市及び地域の発展の核となる地方都市を連絡する高規格 幹線道路の整備を早めるほか、地域間の移動の利便性を高めるための高速鉄道の整備を進める。

国土形成計画(全国計画)(令和5年7月28日閣議決定)(抄) (幹線鉄道ネットワーク等の高質化) 国土を縦貫あるいは横断し、全国の主要都市間等を連結して、その時間距離の短縮を図るとともに、巨大災害リスクの切迫、安全保障上の課題の深刻化といった状 況も踏まえ、ネットワークの多重性・代替性といったリダンダンシーの確保を図る、国土の骨格を支える基幹的な高速陸上交通ネットワークとして、幹線鉄道ネットワークの 形成・機能向上を図る。 (中略) 整備新幹線については、現在建設中の北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)、北陸新幹線(金沢・敦賀間)について、着実に整備を進める。また、未着工区間で ある北陸新幹線(敦賀・新大阪間)や九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)については、引き続き必要な検討等を実施するとともに、関係地方公共団体等との調整を 進める。

国土強靱化基本計画(令和5年7月28日閣議決定)(抄) 大規模自然災害の発生時に鉄道施設が被害を受け、都市間の鉄道交通が麻痺することを防ぐため、雪や大雨等の災害に強い都市間輸送手段であり、災害時には 代替輸送ルートとしても機能する整備新幹線、リニア中央新幹線等の幹線鉄道ネットワークの整備を推進する。 5 第3次交通政策基本計画(抄) (令和7年度~令和12年度) (令和8年1月16日 閣議決定)

第3章 目標と講ずべき施策 基本的方針B.成長型経済を支える、交通ネットワーク・システムの実現 目標3 多様な交通機能の拡充・強化による、地域間の円滑な人の流れ、交流の実現

<これまでの取組を更に推進していくもの>

○ 整備新幹線について、北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)、北陸新幹線(敦賀・新大阪間)、九 州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)の着実な整備に取り組むとともに、リニア中央新幹線について、早期整 備に向けた環境を整えるなど、関係地方公共団体や鉄道事業者等と連携協力し、幹線鉄道ネットワークの 整備を推進する。

○ 基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークについて、各地域の実情を踏まえ、幹線鉄道の高機能化に関 する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進める。

6 第6次社会資本整備重点計画(抄) (令和7年度~令和12年度) (令和8年1月16日 閣議決定)

第2章 中長期を見据えた社会資本整備の方向性 第2節 4つの重点目標と、その実現に向けた政策の中長期的な方向性 ① 持続的で力強い経済成長の実現 人口減少が急速に進む中で、持続的で力強い経済成長を確実なものとしていくため、企業の生産性向上や国 内外の交流等を支える強靱かつ効率的な物流・交通ネットワークの整備・・・等を通じて、強靱な国内経済基盤 を構築していく。

第3章 重点目標ごとの「政策パッケージ」と重点施策、KPI 第2節 個別の重点目標及び事業の概要 重点目標Ⅱ 強靱な国土が支える持続的で力強い経済社会 Ⅱ-1.持続的で力強い経済成長の実現

<政策パッケージ> ① 生産性向上を支える強靱で効率的な人流・物流インフラの整備 我が国の基幹的な高速輸送体系である新幹線鉄道については、北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)、 北陸新幹線(敦賀・新大阪間)、九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)の各整備新幹線の着実な整備に取 り組むとともに、リニア中央新幹線の早期整備に向けた環境を整えるなど、関係地方公共団体や鉄道事業者等 と連携協力しつつ、幹線鉄道ネットワークの整備を推進する。基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークについて、 各地域の実情を踏まえ、幹線鉄道の高機能化に関する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進める。

(別紙:重点施策及び指標) ・整備新幹線の着実な整備 ・幹線鉄道ネットワークの高機能化 7 整備新幹線の整備効果の例 ○ 整備新幹線は、地域間の移動時間を大幅に短縮させ、地域相互の交流を促進し、我が国の産業の発展や観光立国の 推進等に対し、大きな役割を果たしてきた。

時間短縮 ■地域相互の交流の促進 ○北陸新幹線(高崎・長野間) ○北海道新幹線(新青森・新函館北斗間) ○九州新幹線(博多・新八代間) 東京・長野間の所要時間 東京・函館間の所要時間 ・鹿児島ルート全線開業前後(平成22年 2時間56分 5時間22分 及び平成25年)において、熊本県又は 1時間23分 93分短縮 3時間58分 84分短縮 鹿児島県と山陽、関西の公共交通機関 ※ 開業後は新函館北斗までの所要時間 流動量を比較。 ○東北新幹線 全線開業 ○九州新幹線 全線開業 ・開業後は、熊本県と関西の交流が約1.3 東京・青森間の所要時間 博多・鹿児島中央間の所要時間 倍、熊本県と山陽の交流が約2.0倍に増 4時間27分 3時間40分 加。 2時間59分 88分短縮 1時間17分 143分短縮 ・鹿児島県と関西の交流が約1.3倍、鹿 ※ 盛岡・八戸間開業前と 八戸・新青森間開業後との比較 ※ 新八代・鹿児島中央間開業前と 児島県と山陽の交流が約1.9倍に増加。 <九州新幹線全線開業前後における地域間流動量の変化> ※ 開業後は新青森までの所要時間 博多・新八代間開業後との比較 出典:鉄道・運輸機構『九州新幹線(博多・新八代間)事業に関する事後評価報告書』

主要指標 — KEY FIGURES

3000
全国にわたるネットワークの延長距離が 3,000 ㎞に達し
1964
1964 年(昭和 39 年)の東海道新幹線の開業以来
1973
1973 年(昭和 48 年)に整備計画が定められた
1987
1987 年(昭和 62 年)4 月の国鉄分割・民営化

産業の発展 ■観光立国の推進 ○北陸新幹線(長野・金沢間) ○北海道新幹線 (新青森・新函館北斗間) ・速達性や運行頻度などの輸送サービ スが向上することで、企業や各世帯に ・渡島総合振興局管内の観光入 おける経済の波及効果が発生。 込客数は開業前後で増加傾向。 ・平成23年2011年)産業連関表 ・道外客は約526.8万人/年から を用いて空間的応用一般均衡モデル 約630.3万人/年と約1.2倍に、 により試算したところ、全国の生産額 道内客は約566.1万人/年から 変化は年間約947億円。 約636.8万人/年と約1.1倍に 増加。 出典:鉄道・運輸機構『北陸新幹線(長野・金沢間) 事業に関する事後評価報告書』 出典:鉄道・運輸機構『北海道新幹線 <各都道府県の生産額変化> (新青森・新函館北斗間)事業に関する事後評価報告書』 <渡島総合振興局管内の観光入込客数の推移>

環境負荷の低減 ■国土強靱化 ○ 鉄道のCO2排出原単位(g-CO2/人キロ)は、航空機の1/6、自家用 国土強靱化基本計画(令和5年7月28日閣議決定)(抄)【再掲】 車の1/7(2023年度)となっている。 ○ 雪や大雨等の災害に強い都市間輸送手段であり、災害時には在来 (参考)北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)については217,000t-CO2/年、九州新幹線(武雄 温泉・長崎間)については23,000t-CO2/年のCO2排出削減効果がそれぞれ期待される。 線・既存の新幹線のほか、航空、高速道路の代替輸送ルートとしても機能 出典:鉄道・運輸機構『北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)事業に関する再評価対応方針』、鉄道・運輸機構『九州新幹線(武雄 温泉・長崎間)事業に関する再評価対応方針』 することで、都市間の鉄道交通が麻痺することを防ぐ。 8 新幹線鉄道の路線延長の推移 (km) 2024 北陸新幹線 金沢・敦賀間開業 総延長 2,956㎞ 2022 九州新幹線(西九州ルート) 3000.0 3,000 武雄温泉・長崎間開業

2016 北海道新幹線 新青森・新函館北斗間開業

2015 北陸新幹線 長野・金沢間開業

2011 九州新幹線 新八代・博多間開業 2500.0 2,500 2010 東北新幹線 新八戸・新青森間開業

2004 九州新幹線 新八代・鹿児島中央間開業

2002 東北新幹線 盛岡・新八戸間開業

2,000 1985 東北新幹線 東京・上野間開業 1997 北陸新幹線 高崎・長野間開業 2000.0 1982 東北新幹線 大宮・盛岡間開業 1982 上越新幹線 大宮・新潟間開業

1,500 1500.0

1975 山陽新幹線 岡山・博多間開業

1,000 1000.0 1972 山陽新幹線 新大阪・岡山間開業

1964 東海道新幹線 開業

500 500.0

0.0 0

出典:国土交通省「令和7年度版 交通政策白書」より作成 9 整備新幹線の整備延長の推移 (km) 1200 北陸新幹線(金沢・敦賀間) 125km 令和6年3月開業 1121km

九州新幹線(武雄温泉・長崎間) 66km 令和4年9月開業 996km 1000 930km 北海道新幹線 (新青森・新函館北斗間) 781km 149km 800 平成28年3月開業

北陸新幹線(長野・金沢間) 228km 600 平成27年3月開業 553km

九州新幹線(博多・新八代間) 130km 423km 平成23年3月開業

400 東北新幹線(八戸・新青森間) 82km 341km 平成22年12月開業

九州新幹線(新八代・鹿児島中央間)127km 214km 平成16年3月開業 200 東北新幹線(盛岡・八戸間) 97km 117km 平成14年12月開業

北陸新幹線(高崎・長野間) 117km 平成9年10月開業 0 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4 R5 R6 (年)

10 今後の新幹線整備

○ 今後の新幹線整備については、まずは、北海道・北陸・西九州の各整備計画路線の確実な整備に目途を立てることが最 優先の課題とされている。

建設中区間 未着工区間 北海道新幹線 北陸新幹線 九州新幹線 (新函館北斗・札幌間) (敦賀・新大阪間) (新鳥栖・武雄温泉間)

開業区間

未着工区間

開業区間 建設中区間 トンネル 開業区間 橋りょう 未着工区間 駅

11 鉄道貨物輸送と青函共用走行

○全国の貨物鉄道ネットワーク ○青函共用走行区間について

図版共用走行のイメージ 新幹線 在来線 東室蘭 1 万 2 千トン

黒 井 盛 岡 7 千トン 1 万 3 千トン 1435m 1067m m m 京 都 3 万 5 千トン

広 島 神 戸 仙 台 鳥 栖 5 千トン 2 万 0 千トン 2 万 7 千トン 1 万 6 千トン ○ 新幹線と在来線の共用走行区間では、 ・ 青函トンネル内:160km/h 宇都宮 ・ トンネル前後の区間(明かり区間):140km/h 2 万 5 千トン で運行。 〇 一方、貨物列車の走行が少ない特定時期(GW、お 盆、年末年始)は、青函トンネル内において新幹線だけ 下 関 名古屋 静 岡 が走行する時間帯に260km/h走行を行う、いわゆる 1 万 6 千トン 3 万 1 千トン 2 万 8 千トン 「時間帯区分方式」を実施。 ○ 特定時期(年末年始を除く)の明かり区間における 260km/h ※1での高速走行について、今後検討が順 - 凡例 - 5,000t / 日 未満 調に進めば令和10年度の実現を目指す。これにより、 5,000t / 日~10,000t / 日 明かり区間で約8分、青函トンネル区間と合わせた共用 10,000t / 日~30,000t / 日 走行区間全体で約14分短縮の見込み※2 。 30,000t / 日 以上 ※1 最高速度については、高速走行試験の結果を踏まえ、最終的に判断。 ※2 整備新幹線小委員会の資料(平成24年4月)に基づき、鉄道局において算出。 ※令和6年度平日平均の断面輸送量

12 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の概要 【法人の概要】 ○所 在 地 :神奈川県横浜市中区本町6-50-1 ○理 事 長 :藤田 耕三 ○資 本 金 :資本金 1,153億8,734万2,338円(令和7年4月1日現在) ※ 政府による全額出資 ○役職員数:役員13人 職員1,364人(令和7年4月1日現在) ○沿 革:平成15年10月1日に、日本鉄道建設公団(※1)と運輸施設整備事業団(※2)を統合して設立 ※1 昭和39年3月に国鉄の新線建設業務を分離して設立された特殊法人。平成10年10月に解散した日本国有鉄道清算事業団の業務を承継。 理

理 経

共 理

舶 船 有 資

画 企 部 金

部 理

部 画

部 理 管

※2 船舶整備公団(昭和34年6月に国内旅客船公団として設立)と鉄道整備基金(昭和62年4月新幹線鉄道保有機構として設立)を 国 算 清 鉄 業 事 部 理 管 大 阪 支

経 立 自 営 ・ 進 推 部 務 財 州 九 幹 新 設 建 線

東 関 信 甲 事 工

平成9年10月に統合した特殊法人。 平成13年3月には、解散した造船業基盤整備事業協会の業務の一部を承継。 ○目 的 【独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法(平成十四年法律第百八十号)】 (機構の目的) 第三条 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)は、鉄道の建設等に関する業務及び鉄道事業者、海上 運送事業者等による運輸施設の整備を促進するための助成その他の支援に関する業務を総合的かつ効率的に行うことにより、輸送に対する国 民の需要の高度化、多様化等に的確に対応した大量輸送機関を基幹とする輸送体系の確立並びにこれによる地域の振興並びに大都市の機 能の維持及び増進を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目的とする。

【業務の概要】 鉄道建設等業務 鉄道助成業務 船舶共有建造等業務 地域公共交通出融資業務等 特例業務(国鉄清算業務)

【主な業務】 【主な業務】 【主な業務】 【主な業務】 【主な業務】 ○整備新幹線の建設・保有・貸 ○鉄道事業者等に対する補助 ○機構と海運事業者が費用を ○地域公共交通の再構築を図る 付け 事業(LRT/BRT/DX ・GX な ○旧国鉄職員に対する年金 金の交付等 分担して船舶を共有建造 ○都市鉄道等の建設・譲渡等 ど)に対する出融資 給付費用等の支払 ○中央新幹線建設資金の貸付 〇事業者に対し必要な技術的 ○海外の高速鉄道に関する調 ○鉄道インフラ、物流拠点整備や ○JR二島貨物会社の経営 け 支援を実施 査・設計等 物流DX・GX投資に対する貸 自立に向けた支援 付け

北海道新幹線 おおさか東線 高度二酸化炭素低減化船 LRT(イメージ) 青函トンネル用機関車 13 国鉄分割民営化の概要

○分割及び経営形態についての考え方

新しい経営形態は、特殊会社とするが、できるだけ民間企業と同様の経営の 自由、自主性を有することとなるよう、国の監督規制は必要最小限にとどめ、 経営者が経営について権限と責任を持ち当事者能力が発揮できる経営体制 JR北海道 とする。 経営基盤の確立等諸条件が整い次第、逐次株式を処分し、できる限り早 期に純民間会社に移行する。 ■ 旅客部門を全国6社に分割し、貨物部門については旅客部門から経営を分 離する。 (日本国有鉄道再建監理委員会「国鉄改革に関する意見」より) JR東日本 JR西日本

○JR会社間の収益調整措置等

いずれの会社も発足時において採算がとれ、将来にわたって安定的な経営を 継続し得る基盤として、以下の収益調整措置等が講じられた。 JR東海

本州3社 3島会社 貨物会社 JR四国

JR九州 長期債務の一部を負担 長期債務の 長期債務の負担 一部を負担 JR東日本 4.2兆円 なし ■ これまでに旅客4社が完全民営化(令和8年4月現在) JR東 海 0.5兆円 JR貨物 0.1兆円 JR西日本 1.1兆円 平成5年1993年)10月 株式上場 JR東日本 平成14年2002年)6月 完全民営化 経営安定基金の設定 アボイダブルコスト ※基金の運用益により、毎年 平成9年1997年)10月 株式上場 新幹線施設リース料 ルールの設定 JR東海 生じる営業損失を補填 平成18年2006年)4月 完全民営化 ※線路の維持管理に関わる JR東日本 2.6兆円 JR北海道 6,822億円 様々なコストのうち、貨物輸送 平成8年1996年)10月 株式上場 JR東 海 5.1兆円 JR西日本 JR四 国 2,082億円 により傷んだレール、枕木など 平成15年2003年)3月 完全民営化 JR西日本 0.9兆円 JR九 州 3,877億円 の修繕費のみを負担 平成28年2016年)10月 株式上場 JR九州 ・完全民営化

14 JR各社の概要(令和7年度末)

旧国鉄 JR7社 項 目 (S60年度末) 北海道 東日本 東 海 西日本 四 国 九 州 貨 物 合計

営業キロ (キロ) 20,789 19,726 2,241 7,419 1,971 4,898 854 2,343 7,806

100,797 5,914 39,598 18,518 22,524 2,050 6,483 5,710 社員数 (人) 276,774 [99,713] [5,925] [39,660] [18,404] [21,665] [2,010] [6,460] [5,589]

資本金 (億円) 4,560 5,856 90 2,000 1,120 2,261 35 160 190

発行済株式数 (万株) - 274,743 50 113,441 100,117 45,556 77 15,464 38

78,889 1,656 30,846 20,062 18,458 788 5,003 2,076 営業収益 (億円) 35,528 (連結) [72,934] [1,560] [28,875] [18,318] [17,079] [552] [4,543] [2,007]

14,684 ▲ 408 4,142 8,301 1,980 ▲ 103 740 32 営業利益 (億円) ▲ 20,201 (連結) [12,599][▲ 482] [3,767] [7,027] [1,801][▲ 130] [589] [27]

13,916 ▲ 83 3,516 7,809 1,836 74 740 24 経常利益 (億円) ▲ 18,478 (連結) [11,889][▲ 125] [3,215] [6,492] [1,656] [42] [595] [14]

経営安定基金 (億円) - 8,904 6,822 - - - 2,082 - - (注) JR7社については令和7年度末の数値(各社の決算発表資料等による) 社員数、営業収益(連結)、営業利益(連結)及び経常利益(連結)について、上段は令和7年度末の数値、下段の[ ]書きは令和6年度末の数値

15 国鉄長期債務残高の状況

○ 国(一般会計)に承継された国鉄長期債務の残高は、平成10年度末で24兆98億円だったが、令和6年度末時 点では14兆9,538億円となっている。

国鉄長期債務残高の推移 (債務残高(兆円)) 25.0 債 務 残 高

24.0 24.0 23.8 23.5 23.4 23.2 22.9 22.3 21.8 20.0 21.4 21.0 19.9 19.5 19.1 18.6 18.4 18.1 18.0 ・きれいな画像に差替え 17.8 17.7 17.2 16.8 15.0 16.3 15.9 15.6 15.3 15.1 15.0

10.0

5.0

0.0

(参考)国鉄長期債務について 昭和62年4月の国鉄改革において、国鉄長期債務等の総額約37.1兆円のうち、約25.5兆円が国鉄清算事業団に承継された。 国鉄清算事業団に承継された債務は土地や株式の資産処分収入を順調に確保できなかったこと等から、平成10年10月には約28兆円まで膨張したため、 新たな処理スキームにより約24兆円を国(一般会計)、約4兆円を日本鉄道建設公団(現在の鉄道・運輸機構)において処理すること等とされた。 16 貸付料の概要 ○ 整備新幹線は、鉄道・運輸機構が施設を建設・保有し、JRに対し施設を貸し付けており、独立行政法人鉄道建設・ 運輸施設整備支援機構法(以下「鉄道・運輸機構法」という。)等の法令に基づき、JRは鉄道・運輸機構に貸付料 を支払っている。なお、鉄道・運輸機構とJRの間で貸付け及び貸付け後の管理に関する協定(以下「貸付協定」とい う。)を締結しており、貸付期日や管理等については、貸付協定において規定されている。 ○ 貸付料は、鉄道・運輸機構が将来の需要及び収支の予測を行ったうえで算定し、その額については、国土交通大臣の認 可事項とされている。なお、認可にあたっては、国土交通大臣は財務大臣に協議を行うこととされている。

貸付けの概要 貸付協定を締結 鉄 国 JR各社

鉄道施設の貸付け 道 貸付料認可申請 土 財 ・ 交 協議 務 運 輸 通 大 貸付料の支払い 機 貸付料認可 大 臣 構 臣

貸付協定の概要 ○ 貸付協定においては、主に以下の事項について規定がなされている。

事 項 内 容 鉄道施設の貸付け 目的、貸付期日 など 貸付財産の管理 維持管理、保存工事、不要財産の処分、かし担保、構内営業 など 貸付財産に係る貸付料 貸付料の額の収納・算出方、支払い方法、遅延利息 など 貸付財産に係る災害復旧工事 工事費の負担・施行、工事の撤去品、施設物の帰属 など ○ 貸付協定は、施行の日から30年が経過した日の前日をもって失効するものとされ、失効後の財産の取扱いについては、別途鉄道・運 輸機構とJRが協議して定めるものとされている。 17 貸付料の考え方

○ 営業主体(JR)は、鉄道・運輸機構法等の規定に基づき、「受益」の範囲で「貸付料」を鉄道・運輸機構へ支払う。 貸付料は、開業後30年間の受益を平均して算定している。 ○ 受益 = 「新幹線を整備する場合(With)の収益」-「新幹線を整備しない場合(Without)の収益」 収益 = 「収入」-「費用」

受益とは

①新幹線 ②関連線区※ ③関連線区※ ④並行在来線 (新幹線) (在来線) 収 益

収益増 受益 収益増 受益

開業による 新収益 受益

with with with with with with with 赤字区間 =受益 out out out with 分離効果

out 貸付料 ※ 新幹線の営業主体の営業する線区のうち、新幹線整備に伴い、 輸送密度に有意な差が見込まれる線区(100人キロ/日・km 以上の差を対象)

収益計算上の主な収入 収益計算上の主な費用 ・固定費(線路保存費、電路保存費等) ・運賃収入 ・変動費(車両保存費、運転費等) ・料金収入 ・減価償却費(車両、鉄道施設) ・維持更新投資費 ・その他収入(広告料、構内営業料など) ・租税(固定資産税、都市計画税) ・管理費 18 貸付料の算定方法 ○ 鉄道・運輸機構は、経済指標や旅客輸送実績等の基礎データに基づいて、開業後30年間の需要及び収支の予測を行 い、その結果を踏まえて貸付料を算定している。 ○ 整備区間に加え、整備区間の営業主体が営業する線区のうち、新幹線の整備により輸送密度が100人キロ/日・km以 上増減する線区を関連線区として算定の対象としている。

貸付料の算定イメージ 凡 例 ○ X新幹線(B駅・D駅間)を新規整備し、Y本線 整備新幹線 (B駅・D駅間)を並行在来線として経営分離した場合 関連線区(新幹線) Y本線 関連線区(在来線) (※ X新幹線(A駅・B駅間)は既開業) 並行在来線 X新幹線(新規開業区間)

X新幹線(既開業区間) A B C Z線 F D E 駅 駅 駅 駅 駅 Y本線 駅

収支改善効果(億円/年) 路線等 区間 With(WI) Without(WO) WI-WO 整備区間 X新幹線 B駅~D駅 50 - 50 並行在来線 Y本線 B駅~D駅 - ▲10 10 関連線区(在来線) Y本線 D駅~E駅 15 10 5 関連線区(在来線) Z線 C駅~F駅 10 5 5 関連線区(新幹線) X新幹線 A駅~B駅 100 70 30 収支改善効果(貸付料相当額) 100 ※ 並行在来線とは、整備新幹線区間と並行する形で運行する在来線鉄道のこと。政府・与党申合せに基づき、沿線全ての道府県及び市町村から同意を得た上で、整備 新幹線の開業時に経営分離されることとなっている。 19 整備新幹線の貸付料に係る法令上の規定 ○ 貸付料の額は、法令上、鉄道・運輸機構が、国土交通大臣が定める方法により算定した額を基準として定め、そ の額については、国土交通大臣の認可事項とされている。

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法(平成14年法律第180号)(抄) (鉄道施設の貸付け等) 第十四条 機構は、前条第一項第三号又は第六号の規定により鉄道施設又は軌道施設を貸し付け、又は譲渡しようとするときは、貸付料又は譲渡価額 について、あらかじめ、国土交通大臣の認可を受けなければならない。貸付料を変更しようとするときも、同様とする。 2 前項の規定による貸付け及び譲渡に関し必要な事項は、政令で定める。 3 (略)

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成15年政令第293号)(抄) (鉄道施設の貸付料の額等の基準) 第六条 前条第一項の規定により同項第一号に掲げる鉄道施設を貸付ける場合における毎事業年度の貸付料の額は、次に掲げる額の合計額に相当する 額を基準として定めるものとする。 一 当該鉄道施設に係る旅客鉄道事業(次項第一号及び第二号において「新幹線鉄道事業」という。)の開始による当該新幹線営業主体である鉄道 事業者の受益の程度を勘案し、当該新幹線営業主体である鉄道事業者が毎事業年度支払うべき額として国土交通大臣が定める方法により算定 した額 二 当該事業年度の当該鉄道施設に係る租税及び管理費(当該鉄道施設に係るものとして配賦した租税及び管理費を含む。)の合計額 2 前項第一号の受益は、第一号に掲げる収支が第二号に掲げる収支より改善することにより当該新幹線営業主体である鉄道事業者が受けると見込ま れる利益をいうものとする。 一 新幹線鉄道事業及び関連鉄道施設(新幹線鉄道事業の開始により旅客輸送量が相当程度増加又は減少すると見込まれる当該新幹線営業主体 である鉄道事業者の営業する鉄道に係る鉄道施設をいう。次号において同じ。)に係る旅客鉄道事業について、当該新幹線営業主体である鉄道事 業者が新幹線鉄道事業を開始した場合において見込まれる収支 二 新幹線鉄道事業の開始により当該新幹線営業主体である鉄道事業者が廃止することとなる旅客鉄道事業及び関連鉄道施設に係る旅客鉄道事業 について、当該新幹線営業主体である鉄道事業者が新幹線鉄道事業を開始しなかったと仮定した場合において見込まれる収支

(注:「同項第一号に掲げる鉄道施設」=施行令第五条第一項第一号にいう新幹線鉄道に係る鉄道施設)

20 開業線区の貸付料の額 ○ 整備新幹線については、平成9年10月に北陸新幹線(高崎・長野間)が開業して以降、現在までに9線区が開業 し、線区ごとに貸付料を収受している。 ○ 貸付期間については、いずれの線区についても開業から30年間とされている。

(参考)R6年度 (参考) 線 区 区間延長 開業時期 営業主体 貸付料 平均通過人員 事業費 (人キロ/日・km)

北陸新幹線 (高崎・長野間) 117.4km 平成9年10月開業 JR東日本 175億円/年 47,661 約8,282億

東北新幹線 (盛岡・八戸間) 96.6km 平成14年12月開業 JR東日本 79.3億円/年 17,906 約4,565億

九州新幹線 (新八代・鹿児島中央間) 126.8km 平成16年3月開業 JR九州 20.4億円/年 11,662※1 約6,290億

東北新幹線 (八戸・新青森間) 81.8km 平成22年12月開業 JR東日本 70億円/年 12,865 約4,547億

九州新幹線 (博多・新八代間) 130.0km 平成23年3月開業 JR九州 81.6億円/年 25,443※2 約8,794億

北陸新幹線 (長野・上越妙高間) JR東日本 165億円/年 28,871 約16,988億 228.0km 平成27年3月開業 円 北陸新幹線 (上越妙高・金沢間) JR西日本 80億円/年 26,805

148.8km 約5,783億円 北海道新幹線 (新青森・新函館北斗間) (うち共用区間 平成28年3月開業 JR北海道 1.14億円/年 4,532 ※3 82km)

九州新幹線 (武雄温泉・長崎間) 66.0km 令和4年9月開業 JR九州 5.1億円/年 6,458 約6,197億円 ※3

北陸新幹線 (金沢・敦賀間) 125.2km 令和6年3月開業 JR西日本 93億円/年 20,662 約16,779億円 ※3

○ 北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)の営業開始により、JR東日本に生じる受益について年額22億円の支払を受けている。 ※1 JR九州「2024年度線区別ご利用状況等の公表について」上の区分である、九州新幹線(熊本・鹿児島中央間)の平均通過人員を記載。 ※2 同様に、九州新幹線(博多・熊本間)の平均通過人員を記載。 ※3 工事が完了していない区間は、工事実施計画における認可額を記載。 21 整備新幹線の事業費及び国費の推移 2012 (億円) 北海道新幹線 新函館北斗・札幌間着工 2015 北海道新幹線 北陸新幹線 新青森・新函館北斗間開業 5,000 金沢・敦賀間着工 5,000 九州新幹線(西九州ルート) 武雄温泉・長崎間着工 4,860 2022 九州新幹線(西九州ルート) 武雄温泉・長崎間開業

4,500 2005 北海道新幹線 2010 4,430 4,500 東北新幹線 2002 東北新幹線 新青森・新函館北斗間着工 八戸・新青森間開業 盛岡・八戸間開業 北陸新幹線 九州新幹線(鹿児島ルート) 富山・金沢間着工 2014 北陸新幹線 2001 博多・新八代間開業 2023 北陸新幹線 長野・金沢間開業 北陸新幹線 4,000 上越・富山間着工 2003 九州新幹線(鹿児島ルート) 3,963 金沢・敦賀間開業 4,000 九州新幹線(鹿児島ルート) 新八代・鹿児島中央間開業 1997 北陸新幹線 博多・新八代間 高崎・長野間開業 九州新幹線(鹿児島ルート) 3,539 東北新幹線 新八代・鹿児島中央間着工 3,489 3,500 八戸・新青森間着工 3,480 3,500 北陸新幹線 長野・上越間着工 3,069 2,950 3,095 3,000 1995 東北新幹線 盛岡・沼宮内間着工 3,000 1989 北陸新幹線 高崎・軽井沢間着工 2,637 2,660 2,630 2,658 2,500 2,276 2,600 2,500 1991 2,293 2,400 東北新幹線 2,265 2,275 沼宮内・八戸間 2,001 2,218 2,195 2,050 2,000 北陸新幹線 軽井沢・長野間着工 2,115 2,000 2,115 1,829 1,634 1,940 1,735 1,695 1,600 1,500 1,591 1,597 1,560 1,500

1,000 1,076 1,000 750 700 686 686 706 706 706 706 706 706 706 706 706 720 755 755 755 755 792 804 804 804 804 804 804 804 636 500 340 294 317 352 500 190 269 305 129 128 166 177 187 50 71 0

国費 事業費 注1)当初予算ベース。 注2)着工はフル規格での認可年度。 22 貸付料の前倒し活用 ○ 現在建設中の区間については、2030年度までの毎年度の国負担及び地方負担(国負担の2分の1)に加え、 既開業及び既着工区間分の貸付料(開業後30年間)を財源として充当することとされている。 ○ 貸付料については、開業後30年間定額でJRより支払われることになっているが、毎年度の事業費を確保するため、 財政投融資の借入等により前倒し活用を行っている。 ○ なお、令和9年に現行の貸付期限が到来する北陸新幹線(高崎・長野間)については、開業後31年目以降も 貸付を行った場合の貸付料収入(仮置き)の一部を建設財源として前倒し活用を行っている。

(億円) 5000 貸付料 国負担(国費・既設新幹線譲渡収入) 地方負担 4000

既着工3区間事業費

3000 貸付料前倒し活用

貸付料前倒し活用

2000

貸付料

1000 国負担

地方負担 0 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4 R5 R6 R7 R8 R9 R10 R11 R12 R13 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 (年度) 九州開業 北陸開業 ※ 令和8年度以降の財源については未定。 23 北陸新幹線(高崎・長野間)の31年目以降の貸付料収入(仮置き)の前倒し活用 令和2年12月 財政制度等審議会 財政投融資分科会 資料 p.13

令和9年に現行の貸付期限が到来する北陸新幹線(高崎・長野間)について、開業 後31年目以降も貸付を行った場合の貸付料収入(仮置き)の一部を建設財源とし て前倒し活用

現行 175億円/年 × 30年(H9~R9)

31年目以降(仮置き) 175億円(※1)/年 × 20年(R9~R29) (※2)

北陸新幹線(金沢・敦賀間)の 工事費増への財源として前倒し活用

※1 現行の175億円と同等の金額を仮置きした値。実際の貸付料は現行の貸付期間の終了前に決定。 ※2 整備新幹線のB/C(供給者便益)は、開業後50年間で算出されており、その年数に合わせて貸付期 間を延長する場合。 ※3 高崎・長野間の大規模改修費・災害時の復旧費用等の扱いについて検討が必要。

24 貸付料と貨物調整金制度 ○ 国鉄分割民営化に伴い、JR貨物(第二種鉄道事業者)とJR旅客会社(第一種鉄道事業者)間で定められた 線路使用契約においては、JR貨物の経営を支援する観点から、貨物列車が走行しなければ回避可能な経費(「アボイ ダブルコスト」)のみを線路使用料として支払うこととされている。 ○ JR旅客会社からの経営分離後に誕生した並行在来線事業者にまでアボイダブルコストルールを適用すべきではないもの の、JR貨物が線路使用料として本来支払うべき費用を全額負担することも困難であることから、JR貨物が支払う線路 使用料について助成金を交付。

貨物調整金制度 JR旅客からの経営分離により、 JR旅客に支払っている線路使用料 JR貨物が負担する線路使用料が増加 JR旅客会社 線路使用料 JR貨物会社 並行在来線会社 線路使用料

(※)貸付料収入の一部を活用し、線路使用料の増加分を「貨物調整金」 貨物調整金 としてJR貨物に助成

鉄道・運輸機構

新幹線建設 建設勘定 新幹線貸付料 JR旅客会社

(※) 特例業務勘定

(※)国鉄債務等処理法の規定により、平成23年度~令和12年度については、鉄道・運輸機構特例業務勘定から繰入。

25 実績変動に基づく貸付料等の算定事例

○ 高速道路事業では、料金収入が1%以上増減した場合には、超えた部分について貸付料を増減する仕組みとなっている。 ○ 一部の空港コンセッション事業では、実施契約に基づき、各年度の航空機発着回数に連動した一定の算定方法により算 定した「収益連動負担金」を、その翌年度中に運営権者から運営権対価とは別に徴収する仕組みが設けられている。

高速道路事業 福岡空港特定運営事業

計画料金収入に対して実績料金収入が1%以上増減した場合には、超 ■ 収益連動負担金の計算方法(福岡空港特定運営事業の場合) えた部分について貸付料を増減する。 「当該年度の発着回数実績×58 千円/回-96 億円」×50%

貸付料を加算 収益連動負担金(認定収益の50%) 計画料金収入1%

計画料金収入1%分 計 画 実 貸付料を減算 認定収益 貸 績 計 付 料 96 画 料 実 料 金 億 収 績 円 金 保安料 入 料 収 計 入 画 金 収 停留料 管 理 入 費 着陸料

H25~27年度平均

出典:高速道路機構ファクトブックより鉄道局作成 出典:国土交通省作成

26 ネットワークの変化 北陸新幹線(高崎・長野間)開業前 H9 北陸新幹線(高崎・長野間)開業時 H27 北陸新幹線(長野・金沢間)開業時

【在来線ネットワークの変化】 平成9年の北陸新幹線(高崎・長野間)開業時 信越線(横川・軽井沢間)→ 廃止 信越線(軽井沢・篠ノ井間)→ しなの鉄道に移管 平成27年の北陸新幹線(長野・金沢間)開業時 信越線(長野・直江津間)→ しなの鉄道(長野・上越妙高間)・えちごトキめき鉄道(上越妙高・直江津間)に移管 【新幹線ネットワークの変化】 北陸新幹線 平成27年:長野・金沢間開業 令和6年:金沢・敦賀間開業 東北新幹線 平成14年:盛岡・八戸間開業 平成22年:八戸・新青森間開業 北海道新幹線:平成28年:新青森・新函館北斗間開業 27 不動産の賃料を求める手法 新規契約のケース

手法の例 計算方法

積算法 基礎価格×期待利回り+必要諸経費等

新規に成約した類似事例の賃料 賃貸事例比較法 ×事情補正×時点補正×要因比較

収益純賃料(※)+必要諸経費等 収益分析法 ※収益純賃料(純収益) =売上高-売上原価-販売費-一般管理費等

賃料改定のケース

手法の例 計算方法

差額配分法 (価格時点の新規賃料ー現行賃料)×賃貸人等に帰属する割合+現行賃料

利回り法 価格時点の基礎価格×継続賃料利回り+必要諸経費等

直近合意時点の純賃料×変動率+必要諸経費等 スライド法 (現行賃料×変動率)

賃貸事例比較法 継続賃料の改訂賃料×事情補正×時点修正×要因比較

出典:国土交通省「不動産鑑定評価基準」、住宅新報社「要説不動産鑑定評価基準と価格等調査ガイドライン」より鉄道局作成 28 営業主体が異なる区間が開業した場合のこれまでの取扱い

開業区間 既開業区間 開業区間 既開業区間 (営業主体) (営業主体) (営業主体) (営業主体)

新青森・新函館北斗間 盛岡・新青森 金沢・敦賀間 高崎・上越妙高間 (JR北海道) (JR東日本) (JR西日本) (JR東日本)

北海道新幹線(新青森・新函館北斗間)が開業した際、既開業区間 北陸新幹線(金沢・敦賀間)が開業した際、既開業区間の営業主 の営業主体であるJR東日本から、当該既開業区間の貸付料とは別 体であるJR東日本(高崎・上越妙高間)の貸付料は変更されてい に年額22億円が支払われることとなった。 ない。

※ 開業区間とそれに接続する既開業区間の営業主体が同一である場合(例:九州新幹線において博多・新八代間が 開業した際の新八代・鹿児島中央間)、既開業区間を開業区間の関連線区とし、当該既開業区間に追加的に発生 する受益は、開業区間の貸付料算定に反映されている。 29 関連線区のイメージ 北海道新幹線(新青森・新函館北斗間) 北陸新幹線(高崎・長野間)

札幌 盛岡 函館線 直江津 千歳線 信越線 新潟 白石 篠ノ井 苫小牧 上越新幹線 室蘭線 東室蘭 長野 (既開業区間)

長万部 北陸新幹線 (新規開業区間) 軽井沢 函館線

新函館北斗 ※ 五稜郭 高崎 木古内 江差線 函館 横川

北海道新幹線 (新規開業区間) 海峡線 高崎線 東北新幹線 (既開業区間) 奥津軽 凡 例

いまべつ 整備新幹線 大宮 関連線区(新幹線) 中小国 関連線区(在来線) 東北線 並行在来線

新青森 ※北陸新幹線(高崎・長野間)開業時に、 信越線(横川・軽井沢間)は廃線となっている。 東京 30 全国の並行在来線の現状

えちごトキめき鉄道 あいの風とやま鉄道 妙高はねうまライン あいの風とやま鉄道線 く り か ら いちぶり 妙高高原~直江津 37.7km 東北・北海道新幹線 北陸新幹線 倶利伽羅~市振 100.1km 日本海ひすいライン いちぶり 新潟 市振~直江津 59.3km IRいしかわ鉄道 いちぶり 道南いさりび鉄道 IRいしかわ鉄道線 市振 道南いさりび鉄道線 札幌 く り か ら く り か ら 直江津 きこない 金沢~倶利伽羅 17.8km 倶利伽羅 五稜郭~木古内 37.8km 金沢~大聖寺 46.4km 妙高高原 金沢 北陸新幹線 大聖寺 長野 しののい 福井 ハピラインふくい 篠ノ井 新函館北斗 ハピラインふくい線 きこない 高崎 敦賀 大聖寺~敦賀 84.3km 木古内 五稜郭 軽井沢 しなの鉄道 しなの鉄道線 大宮 しののい 東京 軽井沢~篠ノ井 65.1km 北しなの線 青森 新大阪 長野~妙高高原 37.3km ※信越本線 高崎・横川間および篠ノ井・長野間はJR東日本が経営を維持 青い森鉄道 新青森 九州新幹線 青い森鉄道線 めとき 八戸 目時~青森 121.9km 博多 めとき 武雄温泉 目時 新鳥栖 IGRいわて銀河鉄道 鹿児島ルート

いわて銀河鉄道線 めとき 長崎 盛岡~目時 82.0km

盛岡 西九州ルート 八代 新八代

肥薩おれんじ鉄道 凡 例 せんだい 川内 肥薩おれんじ鉄道線 せんだい 既設新幹線 鹿児島中央 八代~川内 116.9km 整備計画路線(開業区間) 整備計画路線(建設中区間) ※鹿児島本線 博多・八代間および川内・鹿児島中央間はJR九州が経営を維持 整備計画路線(未着工区間) ※長崎本線 江北・諫早間は上下分離によりJR九州が経営を維持 2種:JR九州 3種(一社)佐賀・長崎鉄道管理センター 31 並行在来線における鉄道事業再構築事業の事例

青い森鉄道(青森県) 肥薩おれんじ鉄道(熊本県/鹿児島県) 事業の概要 事業の概要 ○ 平成14年12月に青い森鉄道(株)を第二種事業者、青森県を第三種鉄 ○ 肥薩おれんじ鉄道が、引き続き第一種鉄道事業者として運行及び鉄道施設 道事業者とする上下分離方式導入 等を保守管理 ○ 引き続き、青森県が鉄道用地及び鉄道施設を保有するとともに、鉄道施設の ○ 熊本県・鹿児島県及び沿線7市町(八代市、水俣市、芦北町、津奈木町 保守管理費用の負担等により、青い森鉄道(株)の運行を支援 、阿久根市、出水市、薩摩川内市)が、鉄道施設等の整備費及び維持修 繕費を負担 実施計画期間 令和7年4月~令和17年3月(10年間) 実施計画期間 令和8年4月~令和18年3月(10年間)

事業効果 事業効果 利用者数:4,000千人/年(R16年度見込) 輸送人員:914千人/年(R17年度見込み) (本事業を実施しない場合:3,214千人/年) (本事業を実施しない場合:845千人/年) 第二種鉄道事業者の旅客運輸収入:1,528百万円(R16年度見込) 運行収支:27百万円(R17年度見込み) (本事業を実施しない場合:1,142百万円) (本事業を実施しない場合: △47百万円)

主な取組 主な取組 利便性・サービス向上 安全・安定輸送の確保 ◇ダイヤ改正及び多言語対応・Wi-Fi環境の整備等、 ◇ 老朽化した鉄道インフラ設備の更新・機能向上による安全性強化・持続可能性 の向上 外国人旅行者にも利用しやすい環境整備 ◇ 老朽化した駅の施設・設備の改修等による機能向上を通じた、災害時の避難所 安全・安心な運送サービスの確保 及び地域の防災拠点としての機能確保等 ◇駅舎改良や鉄道施設等の更新・修繕による 利用者の快適な移動の実現 安全・安心な運送サービスの提供 ◇ キャッシュレス決済の導入拡大、MaaSの取組の拡大 地域と連携した利用促進策・増収施策の推進 ◇ 観光等の他分野の機能や拠点の集約による駅の賑わい創出 ◇ 二次交通の接続強化 ◇沿線施設と連携した乗車券や沿線の観光資源を活用した企画乗車券の 販売 地域の経済・産業振興 ◇駅舎の利用環境向上の取組 ◇ おれんじ食堂等を活用した企画列車の運行等 ◇駅舎を活用したイベントの実施 ◇ 沿線地域の自然・歴史・文化・観光資源を効果的に 活用した話題性のあるイベントの企画等 ◇ 商業施設・観光施設の割引等をセットにした企画切符の販売

図版32 関連収入のイメージ 駅周辺 在来線 整備新幹線

売店 売店 駅 ビ ル 高架下店舗・売店等

貸付け対象外 貸付け対象外 鉄道・運輸機構の保有→貸付け対象 ※ 現在の貸付料では、過去の類似施設の 実績を踏まえて反映 整備新幹線の営業主体を含む鉄道事業者は、鉄道事業会計規則や鉄道事業等報告規則によって、旅客運輸収入、 運輸雑収等の収益や費用を整理し、その実績を国に報告することとされているが、その報告は「路線ごと」であり、整備新幹 線の貸付区間に対応したものとはなっていない。 鉄道・運輸機構と営業主体との間でも、貸付区間における旅客運輸収入や運輸雑収の報告を求めることとされていない。 33 整備新幹線のメンテナンス

○ 貸付協定において、JR各社は、貸付財産に対して、列車の安定的な運行並びに安全及び利便の確保のために 必要な通常の維持管理及び修繕工事(以下「通常の維持管理」という。)を行うものとされている。 ○ 通常の維持管理と解される日常的な線路の保線、架線の点検等の日常的なメンテナンス等は、貸付料算定上、 JR各社が支出する費用として計算上考慮されているため、JR各社が費用を計上し、日常的に実施している。

通常の維持管理の例

・線路設備の保守管理 ・土木構造物の保守管理 ・建造物の保守管理

線路の状態を検測や巡視などの 土木構造物の状態を検査で把握 建物を健全に保つために様々な 様々な検査で診断し、安全な状 し、修繕計画を策定、修繕を実施。 検査を行い、修繕や改良に向け 態を維持するために補修を実施。 た調査・設計を実施。

出典:JR北海道HP 34 新幹線に係る大規模改修の法令上の取扱い ○ 既設新幹線については、所有営業主体であるJR各社が大規模改修を行うものとして、法令上も、大規模改修に 係る規定が整備されているが、整備新幹線については、大規模改修に係る明文の定めはない。

全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第17号)(抄)

第三章 新幹線鉄道の大規模改修 (所有営業主体の指定) 第十五条 国土交通大臣は、新幹線鉄道を所有し、かつ、その営業を行う法人(以下「所有営業主体」という。)であつて、当該新幹線鉄道の一の路線の うち当該所有営業主体が所有し、かつ、営業を行う区間の営業の開始の日から経過した期間及び当該区間における車両の走行の実績並びに当該所有営 業主体の財務の状況その他の事情を勘案して当該区間の大規模改修の実施に要する費用の支出に備えるため第十七条第一項に規定する新幹線鉄道 大規模改修引当金を積み立てることが必要かつ適当であると認めるものを、当該区間を明らかにして指定することができる。 2 前項の「大規模改修」とは、新幹線鉄道に係る鉄道施設であつて車両の走行が直接その機能の低下をもたらすもののうち国土交通省令で定めるものの取 替え又はこれと同等の効果を有すると認められる方法による改修に関する工事であつて、当該新幹線鉄道の一の路線のうち所有営業主体が所有し、かつ、 営業を行う区間の全部にわたり行われ、着手から完了までの期間がおおむね十年以内であるものをいう。 (引当金積立計画) 第十六条 前条第一項の指定を受けた所有営業主体(以下「指定所有営業主体」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、次に掲げる 事項を記載した新幹線鉄道大規模改修引当金積立計画(以下「引当金積立計画」という。)を作成し、国土交通大臣の承認を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 一 実施すべき大規模改修(前条第二項の大規模改修をいう。以下同じ。)に要する期間及び費用の総額(国土交通省令で定めるところにより算定した 金額をいう。) 二 次条第一項の規定により積み立てるべき新幹線鉄道大規模改修引当金の積立期間及び総額 2~4 (略) (新幹線鉄道大規模改修引当金の積立て) 第十七条 指定所有営業主体は、前条第一項の規定により承認を受けた引当金積立計画(同項の規定により変更の承認を受けたときは、その変更後のも の)に従い、当該引当金積立計画に記載された積立期間内の日の属する各事業年度において、国土交通省令で定める金額を新幹線鉄道大規模改修 引当金として積み立てなければならない。 2 (略) (大規模改修実施計画の認定) 第十八条 所有営業主体は、大規模改修を実施しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、路線名、工事の区間、工事方法その他国土交通 省令で定める事項を記載した新幹線鉄道大規模改修実施計画(以下「大規模改修実施計画」という。)を作成し、これを国土交通大臣に提出して、そ の認定を受けることができる。 2 (略) 35 大規模地震等の自然災害への備え ○ 我が国において地震や風水害などの自然災害が激甚化・頻発化する中、整備新幹線についても、自然災害発生リスク を見据えた対応は重要な課題。 ○ 将来にわたって整備新幹線の安定的な運行を確保していく上では、大規模改修への対応のみならず、自然災害への備 えといった点にも留意が必要。

大規模地震による新幹線の被害

平成7(1995)年 兵庫県南部地震 山陽新幹線の被害状況

平成16(2004)年 新潟県中越地震 上越新幹線の被害状況

※1:( )の数値:H23.4.7の余震(M7.1)による被害数量 平成23(2011)年 東北地方太平洋沖地震 東北新幹線の被害状況

36 営業主体の意見① 現行制度に係る基本的スタンス [JR北海道] 現行の整備新幹線の貸付制度は、第2の国鉄をつくらないという国鉄改革の主旨に則り、受益の範囲を限度とすることで、 営業主体であるJRの経営に悪影響を及ぼさないことが前提となっているが、その基本的な考え方は将来に渡り変えるべき ではないと認識している。 貸付料は鉄道・運輸機構による開業前の受益想定に基づき設定されるため、開業後の受益(実績)とは乖離が生じる 仕組みではあるが、受益想定に対して受益(実績)が定常的に下回った場合には、貸付制度の基本的な考え方に基づき、 そのマイナスの影響を最小化する手立てを講じていただくべきと考える。

[JR東日本] 整備新幹線は国家的プロジェクトであり、「営業主体の経営に悪影響を与えない」という政府与党合意の下、当社は全幹 法で定められた営業主体として、定められた貸付料(営業主体の受益に基づいて算定された額、開業後30年間定額)を 支払いながら、安全で安定的な輸送サービスの提供に努めてきた。 当社は現行貸付料の30年間総支払額(租税等除く)と、既設新幹線購入費用に関する一部債務(3号債務)の 60年間総支払額とを合わせ、合計約3兆円を整備新幹線建設財源として支払っており、 総支払額は、当社エリア内の整 備新幹線の総事業費を上回る規模となる。

[JR西日本] 国において定められた現行貸付料制度は、車両投資など長期の資金回収を伴う営業主体(JR)にとって、長期的な経 営のもと、一定リスクを背負いつつ経営努力が反映され、民間会社としての自主性、健全経営が確保できる仕組みとなって いる。 なお、当社は北陸新幹線の二次交通である並行在来線の円滑な運営開始に寄与すべく、貸付料以外に経営分離前の 設備更新、三セク会社への出向社員の人件費の一部を負担している。

[JR九州] 現行の貸付料は、国鉄改革の経緯を踏まえ、整備新幹線の運営が営業主体(JR)の鉄道事業の経営に悪影響を 及ぼさないよう、「受益の程度を勘案」して算定することとされている。

37 営業主体の意見② 31年目以降の取扱い(1)

[JR北海道] 当社の経営にマイナスの影響を及ぼさないことを前提として検討いただきたい。 北海道新幹線(新青森~新函館北斗)は、現時点で、受益想定を定常的に下回り、かつ、大幅な赤字であるため、 貸付料を増額して支払う原資はない状況。 したがって、今回のヒアリングにおける貸付料の増額に向けた個別の論点(収支等実績の上振れ分の徴収、関連事業収 益からの徴収、大規模改修と貸付料の関連付け 等)については、いずれも『対応困難』。

[JR東日本] 31年目以降の取扱いについては、平成3年に旧運輸省と当社間で以下の通り確認されている。 ① 現行制度の受益に基づく貸付料支払いは開業後30年間で終了すること ② 31年目以降の取扱いは「施設の状態に見合った維持管理等に要する費用」を根拠とすること ③ 上記費用が貸付期間中の定額の貸付料の額を上回っても、貸付期間中の定額の貸付料の額をもって上限とすること ④ 整備新幹線施設を譲渡することはないこと この「平成3年の確認事項」の有効性は、平成4年、平成8年、平成9年にも当社と旧運輸省間で確認されており、現 時点においてもその有効性は疑う余地はない。 「貸付料は開業後30年間で予測される受益に基づき算定されること」、「貸付料は開業後30年間定額で支払うこと」、 「貸付料以外に営業主体に一切の負担がないこと」を前提に当社は経営判断を行ってきており、株式売出届出目論見書 や有価証券報告書等で株主・投資家等のステークホルダーに説明してきた。 当社としては「平成3年の確認事項」の遵守を前提として、31年目以降の取扱いを検討することが株主・投資家等のス テークホルダーのご期待に沿うものと考えている。 具体的には、「平成3年の確認事項」に基づき、「施設の状態に見合った維持管理等」の範囲について関係者間で検討 し、営業主体として引き続き整備新幹線区間の安全安定運行を行っていくためにも、老朽化が進む整備新幹線施設の維 持管理に関して、関係者とともに検討することが必要と考える。

38 営業主体の意見② 31年目以降の取扱い(2) [JR西日本] 現行の貸付料算定スキーム(WI/WO方式)での受益算定は困難と認識している。加えて、施設の老朽化に伴う通常 の維持管理費や更新工事費(老朽取替)の増加が見込まれるため、確実に費用は増加することとなる。 これらを踏まえると、31年目以降も現在の貸付料と同額とは考えられず、民間会社である営業主体(JR)の健全経 営が確保されることを前提として、ご議論いただきたい。 31年目以降の新たな賃貸借契約に関する検討を進めるにあたり、以下の点に留意いただきたい。 ○ 民間企業に過度な負担を強いることを避け、経営努力が反映され、株主への説明責任を果たせるよう、民間企業として の自主性、健全経営が確保できる仕組みとしていただきたい。 ○ 貸付料の算定基準については合理性・透明性を確保していただくと共に、現行の制度も含め、算定において物価上昇 に応じた運賃改定を見込むのであれば、それに則した運賃制度等への柔軟な対応をお願いしたい。 ○ 営業主体であるJR各社に共通する契約となるため、各関係者との合意形成をお願いしたい。

[JR九州] 31年目以降については、整備新幹線の運営が営業主体(JR)の鉄道事業の経営に悪影響を及ぼさない形とされ たい。 31年目以降の貸付料は、「施設の状態に見合った維持管理等に要する費用」とすることについて、平成3年に、当社 は旧運輸省との間で確認を行っている。

<参考> 31年目以降の取扱いに係る国会での質疑について ※ ヒアリングの際に各社から言及があったもの ○ 第120回国会参議院運輸委員会(平成3年4月18日) 寺崎昭久君:それから、JRは30年間リース料を払うわけですけれども、その後はリース料は払わなくてもいいわけですね。 政府委員(大塚秀夫君)※1:30年以降のことについては特に今決めておりませんが、施設の状態に見合った維持管理等の費用になろうかと考えます。 寺崎昭久君:その差というのは国民に還元される、例えばサービスの向上であるとか運賃の値下げであるとか、そのように使われると考えていいですか。 政府委員(大塚秀夫君):30年後にそのようになることを期待しております。 ※1 運輸大臣官房国有鉄道改革推進総括審議官 ○ 第189回国会参議院国土交通委員会(平成27年6月2日) 金子洋一君:(略)ただ、そもそも論になるんですけれども、その貸付料というのは、30年後、以降、その先ですね、も発生をするのかどうかということ、そして、もし それが発生をするのでしたらJR九州の経営圧迫の要因になると思いますけれども、その点、局長、いかがお考えでしょう。 政府参考人(藤田耕三君)※2:(略)30年経過後においても、受益が発生する限りはその範囲内で貸付料をいただくという考えに変わりはございません。 開業後30年経過後におきまして九州新幹線の貸付料を徴収したとしても、あくまで受益を見込んだ上でのその額につきましては、30年経過するまでに、改め てJRと協議の上で受益を適切に見込んで算出することになると考えております。(略) 39 ※2 鉄道局長 営業主体の意見③ 貸付期間、貸付料の改定/固定・変動 [JR北海道] 「貸付期間及び貸付料の固定/変動」については、経営見通しの観点から、一定期間固定であることが望ましい。

[JR東日本] 貸付期間は、経営見通しやステークホルダーの投資判断の観点から、一定期間固定であることが望ましいと考える。 貸付料の変動は、当社の鉄道事業全体に対する長期的な設備投資や修繕計画の策定を困難にするばかりでなく、投資 家の投資判断に悪影響を及ぼし、ひいては当社経営に悪影響を及ぼすこととなり、整備新幹線制度の前提である営業主 体の経営に悪影響を与えないという基本的な考え方と整合しない。

[JR西日本] 長期的な経営見通しを持ち、経営努力を積み重ねる上では、一定の固定期間とされることが望ましい。 先行区間・後行区間ともに現行制度を前提として契約しており、途中で一本化することは想定していない。 変動の貸付料として、算定時より上振れた分を全て貸付料として追加的に徴収されることは、収入増加に向けた営業主 体(民間企業)の経営努力を無にする考え方であり、合理的ではない。 特定の期間を切り取って見た場合、需要実績が予測を上回ることもあれば、逆に下回ることもある。 加えて、貸付料算定時に想定していなかったリスク要素が顕在化する可能性もあり、現に、コロナ禍では、政府による緊急 事態宣言の発令により、利用は激減し、大幅な赤字となっている。

[JR九州] 鉄道事業(整備新幹線)の運営は、車両投資や人材の活用・育成といった運営体制を構築して営むことから、長期的 視点のもと経営判断を実施。 貸付料が短期に変動することは、長期的な経営の見通しが不透明となることから、一定の長期間、固定額であることが望 ましい。 Withケースの実績の上振れ・下振れを以って貸付料を変動させることは、 以下の理由から合理的ではないものと認識。 ➢ 収支改善に向けた経営努力との区別が困難であることから、これら経営努力が無となる恐れがあり、結果的に国民か ら見た公共財産としての便益の最大化が図られない。 ➢ Withoutケースにおける影響(上振れ・下振れ)を合理的に算定することは 極めて困難 40 営業主体の意見④ 貸付料(受益)の算定方法

[JR北海道] 少なくとも、『将来にわたり、新函館北斗開業に伴うマイナスの受益が当社経営に影響を及ぼし続ける』といった事態を避け るため、札幌延伸(全線開業)に伴う貸付料協議の中で、新函館北斗開業に伴うマイナスの受益を併せて解消できるよう、 貸付料の算定方法の見直しが必要と認識。

[JR東日本] 現在の政令では「開業した場合」と「開業しなかった場合」の営業主体の鉄道事業の収支予測の差を受益=貸付料とし ているが、開業しなかった場合」の鉄道ネットワークは現時点で存在しないため、収支の将来予測は困難である。 「開業した場合」の収支は、実績から開業後30年間にあった営業努力や他の鉄道ネットワーク開業等の影響を取り除く必 要があるが、それは困難である。営業努力等を取り除かない場合は、将来のあらゆるサービス向上等の営業努力を断念する ことになる。 したがって、現行の受益に基づく貸付料算定スキームを31年目以降も継続することは困難である。

[JR西日本] 30年間の新幹線のWithの実績は有るものの、経営努力等の切り分けが困難。 ※ 収入増加・経費削減に向けた営業主体の経営努力による成果や外部環境の影響を取り除き、純然たる新幹線 開業効果のみを明確に区分することは難しい。 並行在来線については、30年間のWithoutの実績は無く、31年目において分離効果を想定するのが困難。

[JR九州] 現行の算定方法(WI/WO方式)で31年目以降の受益を合理的に算定することは極めて困難 ➢ 例えば、新八代~鹿児島中央(2004年開業)の31年目以降の貸付料は、あたかも新八代~鹿児島中央が 2034年に新規に開業したと仮定した場合の受益を算定することと同義となる。

41 営業主体の意見⑤ 接続利益(根元受益) [JR北海道] 「根元受益」については、当社管内に対象となる線区(他社線区の新幹線整備により大きく流動量が増加する線区)は ないと認識。

[JR東日本] 現行貸付料は30年間定額としており、期間中の増額がないことが前提である。 他社エリアの整備新幹線開業で当社エリアの新幹線輸送量が増加したとしても、当該開業区間は当社の経営コントロー ルが及ばず、今後の安定輸送が当社の努力の及ばないところであるにも関わらず、それによる反射的利益のみを貸付料とし て徴収されることは受け入れ難いと考える。 他社エリアの新幹線開業によって貸付料の上乗せがないことについては、平成8年に旧運輸省と当社間で、貸付料は「他 社エリアの新幹線の整備により影響を受けるものではない」旨を確認している。 北陸新幹線長野~上越妙高の貸付料に上越妙高~金沢開業効果を含むこと、東北新幹線八戸~新青森の貸付料 に新青森~新函館北斗開業効果を追加したことは、同時開業であることや自社エリアに隣接する区間であること等を踏まえ、 当時、国土交通省と協議を行った結果、特例的に受け入れたものである。このことは、平成28年に国土交通省と当社間で 確認している。 なお、平成28年には「敦賀開業、札幌開業等、今後の整備新幹線の開業については、他社エリアのみの新幹線の整備 であることから、当該開業による貸付料の影響検討・変更は行わない」旨も併せて確認している。 以上から、国土交通省と当社において、他社エリアの新幹線開業による貸付料への影響(根元受益)に関する認識の 相違は無いものと考えている。

[JR西日本] 敦賀開業時の上越妙高・金沢間 (当社区間) の根元受益は、金沢・敦賀間の貸付料算定に含まれている。 (敦賀開業時において、上越妙高・金沢間を、金沢・敦賀間の「関連線区」と設定している。)

[JR九州] 新八代・鹿児島中央開業時の根元受益(在来線博多・新八代間)は、 新八代・鹿児島中央間の貸付料に関連線 区として含まれている。 武雄温泉・長崎開業時の根元受益(新幹線 博多・新鳥栖間)及び在来線(博多・武雄温泉間)は、武雄温泉・ 長崎間の貸付料に関連線区として含まれている。 42 営業主体の意見⑥ 関連収入(1)

[JR北海道] 当社の関連事業の収益は、公共の新幹線施設を独占的に利用した受益とは異なり、当社の投資活動に対する対価で あり、他の民間企業等の投資活動と変わるものではない。 したがって、その一部でも貸付料として徴収されることは、当社の経営に悪影響が及ぶため、受け入れ難い。

[JR東日本] 不動産やホテル事業は、公的資金が投入された整備新幹線と異なり、当社グループの資金による当社事業である。 建設費や事業運営資金を長期的に収入で回収できるために投資の判断をしたものであり、その収入を貸付料算定に含め ることは過去の投資判断を無意味なものとする行為である。 鉄道事業以外の受益も貸付料算定の対象となると、整備新幹線開業によって副次的に収入増加の恩恵を受けた全ての 主体(駅周辺に商業施設やホテルを建設した事業者等)が受益者となり、かつ貸付料負担の対象になるということにもつ ながり、合理的とは言えない。 仮に間接的な受益があるとしても、それは法人税として支払うのが民間企業としての本来の姿であると考える。 また、商業施設やホテルの建設・営業は、固定資産税の支払いや、地域雇用の創出など、地域の活性化にもつながってい るものと考えている。 なお、整備新幹線施設として建設された駅で行う構内営業については、受益として貸付料に計上されている。

43 営業主体の意見⑥ 関連収入(2)

[JR西日本] 当社をはじめとする鉄道事業者は、駅周辺での不動産開発やホテル事業等において、通常の民間投資と同様にリスクを 背負い、不動産等の投資に対するリターンとして収益を得るとともに、法人税や固定資産税等を適切に納付している。 仮に、副次的に得た受益として徴収するとなれば、地価上昇の恩恵も含め、遍く周辺地権者から貸付料を徴収することに つながり、現実的ではないと認識。 なお、新幹線事業費で整備された駅の構内における関連事業については、受益として貸付料算定に反映されている。

[JR九州] 関連事業の収益は、リスクを取って当社グループ資金による投資を判断し、企業努力を行った結果得られたものである。な お、関連事業の収益については、法人税や固定資産税等を適切に納付している。また、新幹線駅における構内営業等によ る関連事業の収益については、受益として貸付料算定に反映されている。 仮に、副次的に得た関連事業収益を受益として算定に含めるのであれば、 同様に新幹線開業によって収益を得たすべて の主体から貸付料を徴収しない限り、合理的ではない。

44 営業主体の意見⑦ 大規模改修

[JR北海道] 整備新幹線の「大規模改修」については、当然に所有者であり貸主である鉄道・運輸機構の責任と負担で実施すべきも のと認識している。

[JR東日本] 整備新幹線の大規模改修については、国や施設所有者である(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構が実施するこ とが原則と認識している。 営業主体である当社としては、引き続き安全安定輸送を継続できるよう、健全な施設の状態が維持されることが望ましい と考える。

[JR西日本] 営業主体である当社は、貸付を受けた鉄道施設を適切に維持管理し、安全確保と長期安定的な運行の責任を担う立 場と認識。 大規模改修については、国および施設保有者である鉄道・運輸機構において行われるものと認識。

[JR九州] 大規模改修は、国及び施設を所有する鉄道・運輸機構において行うものと認識。

45 営業主体の意見⑧ その他

[JR北海道] 北海道新幹線は、現行の既開業区間(新青森~新函館北斗)の貸付料は約1億円/年と少額であるものの、それに も関わらず収支は極めて厳しい状況で推移している。 (※当社は、会社全体の経営状況を踏まえ国から支援を受けている。) 新函館北斗開業に伴うマイナスの受益は既に定常的と言え、経営への影響が大きく早急に対処が必要と認識しているが、 一方で少額な貸付料(約1億円/年)の見直しのみでは解決できないため、貸付制度の見直し(例えば、受益がマイナス となった場合の特例措置の追加)などの収支改善策が必要な状況である。 貸付のあり方の検討にあたっては、現在 『北海道新幹線が大幅な赤字となっている』という実態を踏まえ、路線ごとに異な る経営環境等も考慮した貸付制度となるよう、以下の当社意見についてもご留意いただきたい。 ・ 将来にわたり北海道新幹線の運営を持続可能とするためには、定常的な赤字を解消する仕組みの構築が必須であること ・ 少なくとも、札幌延伸(全線開業)に伴う貸付料算定に際して、新函館北斗開業に伴うマイナスの受益を併せて解 消 できるよう、貸付料の算定方法の見直しが必要であること ・ 上下分離である青函トンネルの維持管理は、本来、施設保有者である鉄道・運輸機構が主体となるべきものであり、当 社の経営から完全に切り離し、国の責任のもとで管理していただくこと ・ 開業31年目以降の貸付制度は、営業主体であるJRの経営に悪影響を及ぼさないことを前提としてご検討いただき たい。

[JR東日本] 当社が2026年3月の運賃改定を国土交通大臣より認可を受けたことは、少なくとも現時点において、当社の鉄道事業 における総支出が総収入を上回っていることを国も確認したということである。 このことから、2027年10月以降の北陸新幹線高崎~長野の貸付料は、原価計算上「0円」としているが、2026. 3.14の運賃改定実施後の収入原価過剰な利益が発生していない点について、当社と国との間に認識の相違はないと考 えている。

46 令和8年度予算の編成等に関する建議(抜粋1/2) 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 より抜粋 6.社会資本整備 (2)整備新幹線 整備新幹線は、いわゆる着工5条件が全て確認された場合のみ着工されることとなっており、その費用分担は全国の新幹線の貸付 料を除いた部分について、国と地方が2:1で負担することとなっている。 国民負担・住民負担の一層の適正化のためには、JRからの適切な貸付料の徴収が必須であり、新幹線整備の大前提と言える。以 下の観点から貸付料の適正化を進めていく必要がある。〔資料Ⅱ-6-23参照〕

ア)情報公開(線区収支の公表状況)の非対称性 JR東日本においては、「地域の方々に現状をご理解いただくとともに、持続可能な交通体系について建設的な議論をさせていただく ために」120、利用の少ない線区の経営情報について開示を行っている。 整備新幹線への国税・地方税での負担額が適正なものとなっているか検証できるよう、国土交通省が指導又は法令上の整備を行っ た上で整備新幹線の線区ごとの収支等を公表し、しっかりと国民に示すべきである。〔資料Ⅱ-6-24参照〕

イ)事業費の増加 近年の整備新幹線事業においては、様々な要因から新規着工時の想定以上に事業費が膨らみ、国や沿線地方公共団体にとっては 当初想定していない不測の負担が生じることが続いてきた。この点、過去の当審議会においても、事業費の見積もりに際しては将来 の増加リスクを認め、これを踏まえたものとすべき、と指摘してきたところである。 今後の整備新幹線の整備に当たっては、事業費について、各種リスクを十分に織り込んだうえで、少なくとも政府・日銀の物価安定 目標である2%程度の物価上昇の継続を前提とするほか、更なる物価上昇の可能性もあるため、物価が、例えば更に1%上昇した場 合にどの程度費用に影響を与えるかといった情報についても、あらかじめ示すべきである。 更に、当初の建設費が物価高騰等により増加する場合は、名目の運賃やJRの受ける便益も増加すると見込むことが自然であり、そ うした影響も貸付料に加味する必要がある。〔資料Ⅱ-6-25~27参照〕

ウ)貸付料の確保(ⅰ):改定頻度 新幹線施設の貸付料については30年定額契約となっており、諸条件が変化しても貸付料は一定のままとなっている121。一方、高速 道路の場合では、高速道路会社が独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に支払う貸付料が交通量推計等を踏まえ定期的 (1~5年程度)に見直されている。こうした事例も踏まえつつ、実態に合った形で貸付料を改定できる仕組みの導入が求められる。 〔資料Ⅱ-6-28参照〕

120 JR東日本「ご利用の少ない線区の経営情報(2024年度)の開示について」(令和7年2025年)10月27日プレスリリース) 121 31年目以降の貸付料については再度協議を行うこととしている。

47 令和8年度予算の編成等に関する建議(抜粋2/2) 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 より抜粋 エ)貸付料の確保(ⅱ):接続利益 整備新幹線の貸付料は区間ごとに算定されており、契約時点で全ての区間の開業が織り込まれているわけではない。新たな区間 が開業することによって既存路線に追加的に生じる収益の増加を「接続利益」として正しく把握し、貸付料を増額すべきである。 例えば、北海道新幹線においては、新青森から函館までの新規開業に伴い、JR東日本はこの接続利益分として約22億円を追加負 担している122 。 他方、北陸新幹線は金沢~敦賀間が新規開業しても、金沢以東の貸付料は改定されていない。路線が2社間をまたがる場合であっ ても接続利益は発生しているため、高崎~長野間についても適切に貸付料を増額すべきである。 今後、予定されている延伸計画においても、接続利益が発生する場合は、しっかりと貸付料に反映する必要がある。〔資料Ⅱ-6- 29参照〕

オ)貸付料の確保(ⅲ):需要予測との乖離 貸付料算定時の需要予測と実績とを比較した場合、実績が需要予測を上回ることが多く、例えば金沢開業時のケースでは2~6割 も上回っていた。乖離率が単純に貸付料の算定に反映される訳ではない。しかし、仮に機械的な比例で試算すると、北陸新幹線と北 海道新幹線の新規開業を合わせて、単年で約194億円、30年間で約6,000億円の貸付料の増加が見込まれる。 新幹線施設は国民共有の財産である。実態との乖離を放置して私企業の利益を過度に増加させるべきではなく、国民・住民の負担 を抑制するためにも、適切な貸付料を徴収する必要がある。今後は、実績が貸付料算定の前提となった需要予測を上回る場合には、 その上回る部分も貸付料として追加的に徴収できるよう、算定方式を見直すべきである123 。〔資料Ⅱ-6-30参照〕

カ)貸付料の確保(ⅳ):不動産事業 JR各社は、整備新幹線が順次開業されていく中で、不動産事業を拡大 してきている。新幹線貸付料の算定に当たっては、鉄道収入 のみならず、不動産収入など、新幹線開業に関わる関連収入についても算入すべきである。 香港では鉄道業者に駅周辺の開発許可を与えることで新線の建設費用を賄う仕組みがある。日本においても、国鉄改革当時にJR に引き継いだ駅周辺土地等の開発利益の一部を、新線建設に充当する仕組みを導入することも一案と考えられる。〔資料Ⅱ-6-31 参照〕

キ)民間活力の活用 今後の整備新幹線においては大都市部での駅建設も見込まれるが、大都市部での駅建設は、資材価格や用地買収にかかる費用 の高騰により、これまでの駅建設費用に比べて遙かに高額となることが見込まれている。 カ)で示した「不動産収入の貸付料への反映」の別案として、新設される新幹線駅については、駅建設全体を民間負担とすることで、 JRによる創意工夫を活かしていくことも考えられる。〔資料Ⅱ-6-32参照〕

122 新区間の開業に伴い、東京~新青森間の運賃収入も増加している。 123 需要実績は様々な要因で変化するものであり、パンデミック等により減少する可能性もある点には留意が必要との意見があった。

48 整備新幹線(1) 整備新幹線の費用負担 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 資料Ⅱ-6-23

○ 整備新幹線は、いわゆる着工5条件がすべて確認された場合のみ着工されることとなっており、その費用分担は全国の新幹線の 貸付料を除いた部分について、国と地方が2:1で負担することとなっている。 ○ 整備新幹線は国民の貴重な財産であり、これを適切な貸付料でJR等に貸し付けることが新幹線整備の大前提となっている。

整備新幹線の整備方式 整備新幹線の現状

整備新幹線の費用分担

基本条件の確認等 2 : 1 ・安定的な財源見通しの確保 ・収支採算性 すべて確認された ・投資効果 ・JRの同意 場合のみ着工 ・並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意 (出所)国土交通省資料を基に財務省作成。

49 整備新幹線(2)情報公開の非対称性 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 資料Ⅱ-6-24

○ JR東日本においては、「地域の方々に現状をご理解いただくとともに、持続可能な交通体系について建設的な議論をさせていた だくために」、利用の少ない線区の経営情報について開示を行っている。 ○ 整備新幹線への国税・地方税での負担額が適正なものとなっているか検証できるよう、国土交通省が指導または法令上の整備 を行った上で整備新幹線の各線区ごとの収支等を公表し、しっかりと国民に示すべきではないか。

利用の少ない線区及び整備新幹線における情報公開 利用の少ない線区 整備新幹線※ 収支

運輸収入 ○ ○ 営業費用 ○ × 営業係数 ○ × 収支率 ○ × 平均通過人員 ○ ○ ※ JR東日本管内の全路線(新幹線含む)を対象に公開している「路線別利用状況」について、便宜的に「整備新幹線」と記載。

(注1)「利用の少ない線区」は、平均通過人員が、2,000人/日未満の線区を経営情報の開示対象線区としており、2023年 度実績では36路線、72区間が対象。 (注2)「営業係数」は、各線区の営業費用を運輸収入で割り、100をかけた値。 (注3)「収支率」は、各線区の営業費用に対する運輸収入の割合を百分率で示した値。 (出所)JR東日本ホームページを基に財務省作成。

50 整備新幹線(3) 事業費の増加 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 資料Ⅱ-6-25

○ 近年の整備新幹線事業においては、様々な要因から新規着工時の想定以上に事業費が膨らみ、国や沿線地方公共団体にとっ ては当初想定していない不測の負担が生じることが続いてきた。この点、過去の当審議会においても、事業費の見積もりに際しては 将来の増加リスクを認め、これを踏まえたものとすべき、と指摘してきたところ。 ○ 今後の整備新幹線の整備に当たっては、事業費について、各種リスクを十分に織り込んだうえで、少なくとも政府・日銀の物価安 定目標である2%程度の物価上昇の継続を前提とするほか、更なる物価上昇の可能性もあるため、物価が、例えば更に+1% 上昇した場合にどの程度費用に影響を与えるかといった情報についても、あらかじめ示すべき。 ○ 更に、当初の建設費が工事中に増加する場合は、名目の運賃やJRの受ける便益も増加すると見込む事が自然。そうした影響 も貸付料に加味すべきではないか。

新規着工時と実際の事業費(直近)の比較 建設工事費デフレーター(鉄道軌道) (兆円) (%) 2.5 135.0 過去5年間で約20%増加 130.4 2 130.0 (年平均4%) 124.7 1.5 2.3 125.0 122.1 1.7 1.7 1 120.0 1.2 114.9 0.5 115.0

0 108.0 110.0 北陸新幹線 北海道新幹線 (金沢~敦賀間) (新函館北斗~札幌間) 105.0 新規着工時 再評価時 2020年2021年2022年2023年2024年

(出所)国土交通省資料を基に財務省作成。 (注)北海道新幹線については見込み。 (出所)国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年度基準)」を基に財務省作成。

51 事業費増加の内訳 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 資料Ⅱ-6-26

北陸新幹線(金沢~敦賀間) 北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)

平成31年 令和4年

資材価格・労務単価の高騰等 977億円 予期せぬ自然条件への対応 2,697億円 (地質不良対策等) 耐震設計標準の改正等 869億円 関係者との協議 働き方改革関連法の改正等 1,341億607億円 (急速工事等) 工法見直し等 関係者との協議等 159億673億円 (地盤条件の見直し) (騒音対策等) 用地取得費の精査等 ▲ 349億円 資材価格・労務単価の高騰等 2,048億

令和3年 発生土の工事活用等 ▲ 314億円 資材価格・労務単価の高騰等 901億円 予期せぬ自然条件への対応 203億円 (地質不良対策等) 働き方改革関連法の改正等 11億

その他 1,543億円 合計 6,445億円 増加

合計 4,921億円 増加 (出所)国土交通省資料を基に財務省作成。

52 長大トンネル建設に伴うリスク 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 資料Ⅱ-6-27

○ 北海道新幹線(新函館北斗~札幌間)はその8割が長大トンネルで占められているが、着工前のボーリング調査では把握しき れなかった、巨大な岩塊の出現、地質不良などのため、工事の遅れが生じている状況であり、その結果、開業時期は令和12 (2030)年度末から令和20(2038)年度末頃まで遅れる見通しとなっている。 ○ 長大トンネルには、このように事前には把握困難な地質上の問題により、完成時期が当初見込みよりも後ろ倒しになるリスクがある。

渡島トンネル 羊蹄トンネル

着工前のボーリング調査では把握しきれな 着工前のボーリング調査では把握できな かった、想定を超える崩れやすい軟弱な地 かった巨大な岩塊などは、その出現の度に 質といった地質不良が存在。トンネルの崩 掘削を止め、除去作業を行う必要がある。 れ防止対策等の追加的な対策の必要性 が、トンネル工事を難航させている。

(出所)独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構資料より抜粋。

53 整備新幹線(4)貸付料の確保(改定頻度) 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 令和7年12月2日 財政制度等審議会

資料Ⅱ-6-28

○ 新幹線施設の貸付料については30年定額契約となっており、諸条件が変化しても貸付料は一定のままとなっている(31年目以 降の貸付料については再度協議)。 ○ 高速道路の場合では、高速道路会社が債務返済機構に支払う貸付料が交通量推計等を踏まえ定期的(1~5年程度)に見 直されている。こうした事例も踏まえつつ、実態に合った形で貸付料を改定できる仕組みを導入すべきではないか。

整備新幹線の貸付料の考え方 高速道路貸付料の考え方 高速道路の新たな更新事業等が追加される度、貸付期間がローリング

貸付料 料金徴収期限 R97(2115年50年以内 収益 R6 R56 収益 許可申請 事業追加

50年以内 新幹線を建設する場合 新幹線を建設しない場合 許可申請 (With) (WithOut) 料金収入が1%以上増減した場合には、超えた部分について貸付料を増減する。

(例)高崎~長野間(JR東日本)の貸付料 貸付料を増額 計画料金収入1%分 平成9年~令和9年 令和10年以降 計 実 計画料金収入1%分 画 績 計 貸付料を減額 貸付料/年 175億円 (取扱未定) 画 貸 料 (30年定額契約) 付 金 実 料 料 収 績 金 収 計 入 料 (参考)31年目以降の貸付料についての国交省見解 画 入 管 金 (H27.6.2参・国交委)藤田鉄道局長:30年経過後においても、受益が発生 理 収 する限りはその範囲内で貸付料をいただくという考えに変わりはございません。 費 入 (出所)国土交通省資料を基に財務省作成。

54 整備新幹線(5)貸付料の確保(接続利益) 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 令和7年12月2日 財政制度等審議会

資料Ⅱ-6-29

○ 整備新幹線の貸付料は区間ごとに算定されており、契約時点ですべての区間の開業が織り込まれているわけではない。新たな区間 が開業することによって既存路線に追加的に生じる収益の増加を「接続利益」として正しく把握し、貸付料を増額すべきである。 ○ 例えば、北海道新幹線においては、新青森から函館までの新規開業に伴い、JR東日本はこの接続利益分として約22億円を追加 負担している(新区間の開業に伴い、東京ー新青森間の運賃収入も増加している)。他方、北陸新幹線は金沢―敦賀間が新規 開業しても、貸付料は改定されていない。路線が同一社内か二社間をまたがるかを問わず接続利益は発生しているため、高崎ー長 野間についても適切に貸付料を増額すべきではないか。 ○ 今後、予定されている延伸計画においても、接続利益が発生する場合は、しっかりと貸付料に反映すべきではないか。

図版北陸新幹線の通過人員数(実績)の推移 北陸新幹線開業時のイメージ図

北陸新幹線(高崎・長野間) 単位:人/日

60,000 金沢・敦賀間開業 (R6.3.16) 47,700 50,000 42,900 43,300 長野・金沢間開 40,000 業 (H27.3.14) 30,000

20,000 21,300 18,700 15,000 10,000

0 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4 R5 R6

実績値

(出所)国土交通省資料を基に財務省作成。

55 整備新幹線(6)貸付料の確保(需要予測との乖離) 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 令和7年12月2日 財政制度等審議会

資料Ⅱ-6-30

○ 貸付料算定時の需要予測と実績とを比較した場合、実績が需要予測を上回ることが多く、金沢開業時のケースでは2~6割も上 回っていた。乖離率が単純に貸付料の算定に反映される訳ではないが、仮に機械的な比例で試算すると、北陸新幹線と北海道新幹 線の新規開業を合わせて、単年で約194億円、30年間で約6,000億円の貸付料の増加が見込まれる。 ○ 新幹線施設は国民共有の財産。実態との乖離を放置して私企業の利益を過度に増加させるべきではなく、国民・住民の負担を抑 制するためにも、適切な貸付料を徴収する必要がある。今後は、実績が貸付料算定の前提となった需要予測を上回る場合には、そ の上回る部分も貸付料として追加的に徴収できるよう、算定方式を見直すべきではないか。

金沢開業(2015年)による需要予測と実績の乖離 新函館北斗開業(2016年)による需要予測と実績の乖離

(万人/日) (万人/日) 需要予測 実績値 6 需要予測 実績値 (※)需要予測は30年間平均、実績値は開業後4年平均 2 2割2割増 (※)需要予測は30年間平均、実績値は開業後5年平均 4 1.5 3割5割増 1 1.7 6割増 1.4 2 3.4 4.2 0.5 1.2 2.4 2.3 0.9 1.6 1.4 0 0 高崎~長野間 長野~上越妙高間 上越妙高~金沢間 盛岡~八戸 八戸~新青森 (JR東日本) (JR東日本) (JR西日本) (JR東日本) (JR東日本) 貸付料 79.3億円/年 70億円/年 貸付料 175億円/年 165億円/年 80億円/年

合計 420億円/年 合計 149.3億円/年 Σ(貸付料 × 上振れ割合) = 176億円/年 Σ(貸付料 × 上振れ割合) = 40億円/年 (175億円×2割165億円×5割80億円×6割) (79.3億円×2割70億円×3割)

仮に今後30年間、上記を反映した貸付料を徴収し続けた場合、約6,000億円(注)の貸付料増収となる。 (出所)国土交通省資料及びJR各社IR資料を基に財務省作成。 (注)盛岡ー青森間の接続料22億円についてはこれに含めていない。

56 整備新幹線(7)貸付料の確保(不動産事業) 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 令和7年12月2日 財政制度等審議会

資料Ⅱ-6-31

○ JR各社は、整備新幹線が順次開業されていく中で、関連する不動産やホテル、物販などの事業での収益を徐々に拡大してきて おり、今後もこれらを拡大する方向で経営計画が立てられている。新幹線貸付料の算定にあたっては、鉄道収入のみならず、不動 産収入など、新幹線開業に関わる関連収入についても算入すべきではないか。 ○ 例えば、香港では鉄道業者に駅周辺の開発許可を与えることで新線の建設費用を賄う「Rail plus property」を推進している。 こうした国際事例も踏まえながら、日本においても、国鉄改革当時にJRに引き継いだ駅周辺土地等の開発利益の一部を、新線 建設に充当する仕組みを導入することも一案ではないか。

JR各社の営業利益構成比率 Rail plus property model(香港)

100% 10% 9% 25% 22% 30% 45% 50% 88% 85% 75% 71% 64% 49% 0% 香港鉄路 有限公司 1999年2018年2023年1999年2018年2023年

鉄道事業 不動産・ホテル・物販事業 その他

JR東日本の2031年度における数値目標

2025年2031年度 業績予想 目標 モビリティ 運輸 1,770億2,500億円 香港政府 地価上昇 不動産 開発業者 流通サービス 670億円 生活ソリュー 不動産・ホテル 1,210億4,500億円 ション その他 240億

(出所)国土交通省資料、JR各社IR資料及び香港MTR社HPを基に財務省作成。 57 整備新幹線(8)民間活力の活用 令和7年12月2日 財政制度等審議会 「令和8年度予算の編成等に関する建議」 資料Ⅱ-6-32

○ 今後の整備新幹線においては大都市部での駅建設も見込まれるが、大都市部での駅建設は、これまでの駅建設費用に比べて遙 かに高額となることが見込まれている。 ○ 前頁の「不動産収入の貸付料への反映」の別案として、新設される新幹線駅については、駅建設全体を民間負担とすることで、 JRによる創意工夫を活かしていくことも考えられる。

整備新幹線の一駅あたり工事費 駅併設商業施設の例

平均 ○ 名古屋駅にホテル・オ フィス・小売等の商業施設 北陸新幹線 を建設(JRセントラルタ 約150億円 ワーズ・JRゲートタワー) (金沢~敦賀間)

九州新幹線 約50億円 (武雄温泉~長崎間)

北海道新幹線 約140億円 (新函館北斗~札幌間) ○ 博多駅の延べ床面積 (出所)国土交通省資料を基に財務省作成。 24万平米の駅ビル (JR博多シティ)

(出所)JR東海資料、JR九州資料、福岡市HPを基に財務省作成。

58 人口減少と不確実性の時代における国力の強化と財政運営(抜粋) 令和8年6月26日 財政制度等審議会 「人口減少と不確実性の時代における 国力の強化と財政運営」より抜粋

Ⅱ.人口減少と不確実性の時代における総合的な国力の強化 1.財政資源の効率的な配分(社会保障を除く。) (1)社会資本整備 ① 効果的かつ効率的な社会資本整備 エ)整備新幹線 整備新幹線のような大型プロジェクトを人口減少下において実現するに当たっては、個々の線区における収益性精査を適切に実施 するとともに、国民理解を得て事業を推進するため、当該事業収益を整備費に充てることが望ましい。 本来、鉄道事業の整備費は、事業主体が自ら必要な資金を調達して、関連事業を含めた整備に伴う収益で回収すべきものである56。 しかし、整備新幹線については、国が整備を行い、それを鉄道事業者に貸し付ける、いわゆる「上下分離」方式を採用しており、これま での整備新幹線における貸付料収入は、将来の整備新幹線の財源に充てられてきた。 整備新幹線の財源は、貸付料を除いた部分を国と地方が2:1で負担するルールとなっている。国民負担や地方負担を適正化する、 特に人口減少が進む中、将来世代に過度な負担を残さないという観点から、建設された整備新幹線から得られる投資の果実が、しっ かりと貸付料に反映されることが必要である。そのためには、現行制度を改善し、(ⅰ)物価状況57や需要実績を貸付料に反映する仕 組みの導入や、(ⅱ)線区が二社間に跨る場合も含めた接続利益58の反映、(ⅲ)不動産などの関連収入のうち、整備新幹線なかりせ ば得られなかった収入の反映、(ⅳ)線区ごとの収支や B/C 算出の基礎となったデータなど、適正な貸付料を算定するために必要な 情報開示などを確実に行うことが適正な貸付料を設定する上での前提となる。 その際、民間事業者の創意工夫や経営努力を阻害しないよう、需要や物価について上振れ・下振れ双方を反映するスキームとする ことや、不動産収入を収益に反映するのではなく、その別案として、駅建設の費用を民間事業者の負担として整備費に含めない、と いったことなども検討の余地がある。 〔資料Ⅱ-1-5参照〕 (後略)

56 リニア中央新幹線(東京・名古屋間で約11兆円の事業規模)については、JR東海が自らの事業収入により整備を行っている。 57 運賃収入の増加といった物価上昇に伴う収益増加等が考えられる。 58 新たな線区が開業することによって既存線区に追加的に生じる収益の増加を指す。

59 令和8年6月26日 財政制度等審議会 整備新幹線の整備財源の在り方 「人口減少と不確実性の時代における 国力の強化と財政運営」 資料Ⅱ-1-5

○ 本来、鉄道事業の整備費は、本来、事業主体が自ら必要な資金を調達して、関連事業を含めた整備に伴う収益で回収すべき もの。(参考)リニア中央新幹線(東京ー名古屋間で約11兆円の事業規模)についてはJR東海が自らの事業収入により整備。 ○ しかしながら、整備新幹線については、国が整備を行い、それを鉄道事業者に貸し付ける「上下分離」方式を採用しており、これまで の整備新幹線における貸付料収入は、将来の整備新幹線の財源に充てられてきた。今後、人口減少下では、個々の線区における 収益性精査の重要性が増すと共に、国民理解を得て事業を推進するには当該事業収益を整備費に充てることが望ましい。 ○ 整備新幹線の財源は貸付料を除いた部分を国と地方が2:1で負担するルールであり、国民負担や地方負担の適正化の観点 から、建設された整備新幹線から得られる投資の果実が、しっかりと貸付料に反映されることが必要。そのためには、現行制度につ いて、以下の点を取り入れ、改善することが適正な貸付料を設定する上での前提となる。 ・ 物価状況(運賃収入の増加といった物価上昇に伴う収益増加等)や需要実績を貸付料に反映する仕組みの導入 ・ (線区が二社間に跨る場合も含めた)接続利益※の反映(※新たな線区が開業することによって既存線区に追加的に生じる収益の増加) ・ 不動産などの関連収入のうち、整備新幹線なかりせば得られなかった収入の反映 ・ 適正な貸付料を算定するために必要な情報開示(例:線区ごとの収支、B/C算出の基礎となったデータ) ○ その際、民間事業者の創意工夫や経営努力を阻害しないことも当然に重要であり、例えば、①需要や物価について上振れ・下振 れ双方を反映するスキームとする、②不動産収入を収益に反映するのではなく、その別案として、駅建設の費用を民間事業者の負 担として整備費に含めない、といったことも検討の余地。

整備新幹線の貸付料の考え方 潜在的に徴収すべき貸付料収入の例(機械的な試算) 線区(例) 機械的な試算額 貸付料 需要予測と実績の 金沢ー高崎間 176億円/年 収益 乖離 (金沢開業時) (5,280億円/30年) (注1) 収益 盛岡ー新青森間 40億円/年 (新函館北斗開業時) (1,200億円/30年) 新幹線を建設する場合 新幹線を建設しない場合 接続利益 高崎ー長野間 23億円/年 (With) (WithOut) (注2) (敦賀開業時) (690億円/30年) (注1)開業後5年間の平均乗車人員数と当初の需要予測の人員数との倍率で貸付料も増加すると仮定している。 (注2)長野ー金沢間の開業から5年間の平均乗車人員数と敦賀開業後の令和6年度の乗車人員数との倍率で貸付料も増加すると仮定している。 60

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:政策