超微半導体は先週、サンフランシスコで開催されたAdvancing AI 2026大会にて、Zen 6アーキテクチャ「Venice」搭載のサーバーCPUと、NVIDIAのVera CPUとのSPEC CPU 2026推定値を公開した。超微エンタープライズソリューション副社長のRavi Kuppuswamy氏は、「当初はVeraに対して約10%のリードを想定していたが、実測では整数スループットと単核性能で20%の優位が見られた。なお、Veniceはまだすべての最適化が完了していない」と述べた。

中国の『快科技』が報じたところによると、超微のプレゼン資料によれば、Veniceを搭載した256コア・600WのEPYC 9996が、NVIDIAの88コアVera CPUと対戦した場合、整数スループットは相手の2.2倍、単核性能は1.2倍となった。

詳細にデータを検討すると、両者のスループット比較はコア数とTDPの影響を大きく受ける。EPYCのコア数はVeraの約2.9倍、TDPは150W高い。このため、圧倒的な性能差はそれほど意外ではない。

超微は「Veraは88コアの単一SKUしかないため、比較が公平ではない」と反論しているが、NVIDIAは「VeraはAI工場向けの専用CPU」との立場を一貫して明確にしており、汎用256コアx86 CPUと正面から競合する意図はない。

NVIDIAが公表したVeraの総スコアは925(÷88≈5.3)、超微の96コア高周波版EPYCは1210(÷96≈6.3)で、コアあたりの性能リードは約18.8%となり、「1.2倍」との主張に近い。

ただし、両社の成績はいずれも「estimated(推定値)」と明記されており、SPEC公式認証を受けていない。また、GCC 15.2を共通で使用しているが、最適化オプションを公開しておらず、コンパイラフラグの差異が順位を変える可能性がある。正式なランキングが発表されるまでは、結論を下すのは難しい。

さらに重要なのは、比較の戦場選びだ。今回の比較では整数演算のみが対象であり、浮動小数点やベクトル(AVX-512)のスコアはまだ公開されていない。

超微はサーバー向けベクトル化処理に強みを持つが、AIの学習・推論では行列演算が中心であり、浮動小数点/行列スループットのほうが整数演算よりも参考価値が高い。この分野では、VeraがNVIDIAのスタックと連携する実力はまだ不明だ。つまり、超微の今回の発言は、心理戦の前哨戦であり、最終的な評価ではない。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:新製品
  • 関連組織:AMD / NVIDIA
  • 製品・サービス:Zen 6 Venice / EPYC 9996