AI産業のサプライチェーンにおいて、米国ではNVIDIA(NVDA-US)が中心であり、台湾では台積電(2330-TW)(TSM-US)が核となっている。しかし、野村基金(アイルランドシリーズ)-日本戦略価値基金の協管経理である河野光成氏は、日本が大型言語モデル(LLM)の開発では米国に及ばないとしても、グローバルなAI演算を支えるハードウェアや材料分野では、欠かせない『黒子企業(Enabling Technology)』、すなわち台湾投資家に親しまれる『隠れ優良株』が存在すると指摘した。彼は、同ファンドが保有する4つのAIサプライチェーンの黒馬企業についても明かした。
河野氏は、世界がNVIDIAやTSMCに注目する中で、日本の企業がその裏で最も重要な支えとなっていると分析した。彼がJSVファンドで重点的に投資している『黒子企業』の例として、以下の企業を挙げた。
TDKおよび太陽誘電(Taiyo Yuden):AIデータセンターが極めて高い電力消費と精密な環境を必要とする中で、積層セラミックコンデンサ(MLCC)を生産している。
住友電工(Sumitomo Electric):電線大手として、データセンターの高速通信の要である光ファイバー通信機器を製造している。
Resonac(旧・昭和電工):半導体製造プロセスにおける重要な化学材料や消耗品を提供している。
ソニー(Sony):エンタメ事業に加え、イメージセンサー(CIS)分野での技術的優位性が、AIと現実世界の相互作用(ロボット、自動運転車など)のコア部品として不可欠である。
河野氏によれば、NVIDIAのCEOである黄仁勳氏が日本を訪問した際、TDKや太陽誘電の社長ら複数の日本トップ企業の経営者と夕食を共にしたという。JSVファンドは、6月にAI半導体の評価が高すぎると判断し一時的にポジションを縮小したが、最近の市場調整を受けて、長期成長の可能性を持ち、評価が適正に戻った『黄仁勳ディナー銘柄』を戻り高値で買い戻している。
河野氏の投資哲学は、バリュー投資とは単に『安い株』を買うことではなく、『評価の修正』と『企業価値の成長』を組み合わせることにあるとしている。彼は価値を資産価値、利益価値、フランチャイズ価値(特許価値)の3つに分解しており、特に最後のフランチャイズ価値が企業が競争で差をつける鍵だと強調する。
『バリュートラップ(Value Trap)』、つまり値段は安いが成長のない株を避けるため、河野氏は企業に『変化』が必要だと強調する。この変化は、株主還元の強化や収益力の向上に由来する。例えばトヨタ自動車(Toyota)は、ハイブリッド車の需要回復に加え、グループ内の相互持ち合いの解消に積極的であり、3.6兆円を投じた自社株買いを実施している。このような株主還元への姿勢が、株価の価値回帰を後押しする強力な原動力となっている。
さらに河野氏は、日本の投資家の行動も変化していると指摘する。かつて有名な『渡辺夫人(外為個人投資家)』は、現在では株式市場に注目し始めている。日本政府が推進するNISA(少額投資非課税制度)の影響で、ますます多くの個人投資家がETFやインデックスファンドを通じて市場に参入している。台湾や韓国の投資家とは異なり、日本の個人投資家は高レバレッジ(信用取引)を避け、長期保有を重視する傾向があるため、日本株式市場には比較的安定した資金流入が見込まれる。
河野氏は総括して、日本経済の構造改革とAI製造の恩恵が相乗的に作用する中で、日本株式市場はもはやかつての停滞市場ではなく、安定した収益と技術的突破の両方を持つ投資の沃土であると強調した。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:ニュース
- 関連組織:NVIDIA / TDK / Resonac