最近、世界的にAIインフラ関連銘柄が顕著な調整局面を迎えています。7月24日までの1か月間で、AI関連株は平均して約7%下落しており、市場ではAI需要の頭打ちや、巨額の資本支出に対するリターン(ROI)への懸念が広がっています。
しかし、摩根士丹利は最新のリサーチレポートで、全く異なる楽観的な見方を示しました。現在の下落は、短期的な投資家のポジション調整によるものであり、ファンダメンタルズの悪化ではないと分析。むしろ、現在は異常に魅力的な投資タイミングだと判断しています。
核心理論:算力需要は長期間にわたり供給を上回る
摩根士丹利のリポートの中心的な見解は、AIインフラが時間とともに「スマートハイウェイ」として進化し、世界経済に大きな純利益をもたらすだろうというものです。
市場では企業がコスト面からAIの利用を抑制するのではないかという懸念がありますが、実際のデータでは、従業員1人あたりのトークン消費量は依然として低い水準にとどまっており、今後の成長余地は非常に大きいとされています。機関予測では、世界的なAI算力需要は今後長年にわたり、供給を大きく上回るとされています。
さらに、AIの能力向上は非線形的です。摩根士丹利は、再帰的自己改善(RSI)技術の進展により、先端モデルが次世代システムの開発を支援できるようになり、AIの進歩速度が「人間の開発速度」から「機械の反復速度」へと加速すると指摘しています。これにより、算力需要はさらに高まるでしょう。
ジェブンズのパラドックス:効率向上が需要を拡大
中国の大規模言語モデル(例:Kimi K3)が最近示した高い効率性とコスト競争力について、摩根士丹利は、これが脅威ではなく、「ジェブンズのパラドックス(Jevons Paradox)」を裏付けるものだと考えています。すなわち、技術進歩による効率向上はコストを下げ、結果として総需要を逆に増加させるとする現象です。
分析によれば、大規模モデルの進歩は「スケーリング・ルール(Scaling Laws)」が依然として有効であることを示しており、より強力なモデルが登場するたびに、世界的な算力の「パイ」はますます大きくなるとされています。
企業と超大規模企業の強力な支援
リポートは、2026年第2四半期のCIO調査を引用し、AI/MLが複数四半期にわたり企業支出の最優先事項になっていると指摘しています。76%のCIOが2026年末までにAIプロジェクトを展開すると予定しており、企業におけるAI需要が実用化フェーズに加速していることがわかります。一方で、超大規模クラウドプロバイダー(Hyperscalers)も極めて強い投資意欲を示しています。
摩根士丹利は、米国の大手テック企業5社の資本支出が、今年の約8,000億ドルから2027年には1.2兆ドル、2028年には1.4兆ドルに達すると予測しています。
電力が次の戦場
摩根士丹利は投資家に警告します。AI発展のボトルネックは、チップからインフラ、特に電力供給へと移行しつつあると指摘しています。2028年までに、米国のデータセンターは38GWの電力不足に直面すると予測され、2030年には122GWに拡大するとされています。
このため、機関は投資家に対し、以下の分野の「買い時」に注目するよう勧めています。
- AIインフラのボトルネック解決策:燃料電池、天然ガスタービン、エネルギー貯蔵企業、電力資産を持つデータセンターREITs - 算力製造エコシステム:需要と供給の不均衡から継続的に恩恵を受ける半導体メーカー - エネルギー安全保障資産:信頼性の高い電力供給と貯蔵を支える企業 - 超大規模プロバイダー:規模のメリットを持ち、AI関連支出から魅力的なリターンを得られるテック大手
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:調査
- 製品・サービス:AIインフラ / データセンター