日本半導体大手の鎧俠は、2026会計年度第1四半期(4~6月)の財務報告を31日に発表した。グローバルなAIデータセンターにおけるメモリ部品の強力な需要を受けて、同社の四半期純利益は前年同期比で45倍以上に急増し、人工知能の波がフラッシュメモリ市場の回復を後押ししていることが明らかになった。

財務実績:収益力が歴史的最高水準に

財務データによると、鎧俠の当四半期純利益は前年の183億円から8,422億円に大幅に躍進した。四半期売上高は1.77兆円に達し、前年比で約4~5倍の成長を記録した。収益指標としては、営業利益が1.27兆円(Non-GAAP基準では1.33兆円)に達し、前年比約2,700%の増加率となった。

鎧俠は、業績の成長が主にNANDフラッシュメモリの価格上昇と出荷量の増加によるものだと説明している。特に企業用ソリッドステートドライブ(Enterprise SSD)の分野では、AIサーバーの需要が継続的に拡大していることで、当該製品の四半期売上高が過去最高を更新した。利益面での驚異的な数値にもかかわらず、売上高は一部の市場アナリストが予想した1.84兆円をやや下回った。

市場の原動力と製品技術の進展

グローバルなテクノロジー大手によるAIインフラ投資の高まりは、メモリ部品の価格を押し上げている。鎧俠の主力製品であるNANDフラッシュメモリは、AIエージェントが膨大な記憶容量を必要とするため、注目されている商品となっている。

同社は、現在のグローバルNAND市場が需給逼迫状態にあると指摘している。一方ではAIトレーニングによる高容量ドライブ需要の増加があり、他方では過去2年間にわたる主要メモリメーカーの設備投資抑制により、新規生産能力の供給が限定的だからだ。

技術開発面では、鎧俠は第9世代および第10世代のBiCS FLASHフラッシュメモリチップのサンプル出荷を開始している。これらはスマートフォン、PC、サーバーに搭載される予定だ。同社によると、新型サーバー用SSDの読み取り速度は旧バージョンの8倍以上に達しており、AI分野における技術的布石が進んでいることが示されている。

今後の見通しと戦略的展開

第2四半期(7~9月)の業績見通しについて、鎧俠は売上高がさらに2.39兆円に増加し、営業利益は1.89兆円から1.9兆円の範囲に達すると予測している。この利益見通しは、ブルームバーグが調査したアナリスト予想の1.95兆円をやや下回るものの、同社はNANDの平均販売価格が引き続き上昇すると予想しており、業績を支えると見ている。

株主価値と資本効率の向上を図るため、鎧俠は以下の戦略的措置を発表した。

株式分割:2026年10月1日に1株を3株に分割する計画。

株式買い取り:8月から10月にかけて、最大8,000億円相当の自己株式を買い取る計画。

上場計画:米国上場を検討中。

市場の見方と株主構成の変化

主要株主であるベインキャピタルの日本代表、杉本雄司氏は、同社の将来性に対して楽観的な見方を示した。「短期的には事業に周期性があるが、中長期的には、鎧俠の企業価値の成長率がGDP成長率を上回ると考えている」と述べた。

現在、東芝がベインキャピタルを上回り、約15%の株式を保有する最大株主となっている。一方、韓国の半導体大手SKハイニクスは、特別目的会社を通じて間接的に約14%の株式を保有しており、その競合・協力関係は市場から注目されている。

野村證券などの投資機関は、鎧俠に対して「買い」評価を維持しており、AI主導の企業用ストレージ需要が急速な成長段階にあるとし、NAND価格の上昇力が市場予想を上回る可能性があると指摘している。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:財務報告