『ワシントン・ポスト』は土曜日(8日)に入手した五角大廈の覚書をもとに報じた。イランとの戦闘によって重要な弾薬が極度に不足している状況を受け、アメリカ国防省副長官のスティーブ・ファインバーグ氏が先週水曜日(5日)に防衛企業の指導者あてに書簡を送り、21日以内に『より速く、より積極的な納入スケジュールを大幅に推進する』ための増産計画を提出するよう求めた。その中で『数年にわたる開発サイクルは受け入れられず、即座にプロジェクトを加速し、生産能力を拡大しなければならない』と明言している。
覚書では、2028年度予算審査における優先項目として、「次の世代の迎撃ミサイル」(NGI)ミサイル防衛システム、国家先進地対空ミサイルシステム(NASAMS)、移動式防空レーダー、先進的なパイロット訓練システム、宇宙空間からのミサイル追跡システムなどの「加速または追加購入」を検討するよう指示している。これらは多くが高額で納入までに長い時間を要する装備であり、短期的には砲弾や精密誘導弾薬の不足を補えないが、五角大廈が『生産の柔軟性』を調達の付随事項から戦略の中核に据え直したことを示している。
五角大廈報道官のショーン・パーネル氏は、この覚書の存在を確認し、「業界と直接協力して生産を加速することは新しいことではなく、初期から大統領および副長官の明確な目的であった」と述べた。この文書は、2028年度予算案が議会に提出される際の参考資料となる予定だ。
『ワシントン・ポスト』は、21日という通告期限と具体的な武器体系の列挙が、ウクライナ・ロシア戦争の消耗戦、紅海での護衛活動、イランとの対立が、米軍の弾薬在庫を『戦域の需要>平時の備蓄』の領域にまで追い詰めていることを示していると解説している。
業界側の反応は慎重だ。弾薬の増産は、銅、火薬、推進剤、信管などのサプライチェーンに制約されるため、21日間では紙上のスケジュール作成しかできない。実際の生産拡大には四半期単位の時間がかかる。しかし、五角大廈が『数年サイクル』という従来の言い訳を破ったことで、ロッキード・マーティン、RTX、L3ヘリスといった主要請負企業に対して、今後の契約において支払いタイミングを納入曲線とより密接に結びつける意向を示している。遅延罰則や前払い制度の見直しが行われる可能性がある。
この覚書の本質的な意味は、21日以内に何を提出させるかではなく、ワシントンが初めて行政文書を通じて『国防産業基盤=戦時動員予備隊』という認識を調達文化に書き込んだことにある。イラン情勢はあくまでトリガーであり、真の試練は、インド太平洋地域を想定したシナリオにおいて、米軍が数年ではなく数か月で迎撃ミサイルや防空レーダーの消耗ペースを補えるかどうかである。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:ニュース
- 関連組織:ロッキード・マーティン / RTX / L3Harris
- 製品・サービス:次世代迎撃ミサイル(NGI) / 国家先進地対空ミサイルシステム(NASAMS)