Metaの超級知能実験室(Meta Superintelligence Labs, MSL)の中核メンバーであり、多模態研究の責任者である余家輝(Jiahui Yu)が、金曜日(14日)に正式に退職を発表し、新会社の設立を計画していることが明らかになった。
余家輝は2025年6月にMetaに加入して以来、チームを率いてMuseシリーズのネイティブ多模態モデルを相次いでリリース。これは、Metaが近年の生成AI(Generative AI)分野において重要な戦力として位置づけている成果である。
### 学びから頂点のエンジニアへ
余家輝の学術的・職業的キャリアは、一貫して「多模態」技術に集中している。彼は中国科学技術大学の少年班出身で、その後イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)で博士号を取得。著名なコンピュータビジョン研究者である黄煦濤に師事した。
Metaに加入する前から、AI業界で広く認められた頂尖人材であり、GoogleのGeminiプロジェクトに参加。また、OpenAIでは知覚(Perception)チームの責任者として、GPT-4oやoシリーズの推論モデル開発を主導した。
Metaでは、超級知能実験室傘下のTBD Labにおいて、多模態技術の責任者を務めた。退職発表の中で、過去1年間、CEOのマーク・ザッカーバーグや最高AI責任者アレクサンドル・ワンと共同でTBD Labの構築に携わった経験について、「非常に刺激的で充実していた」と述べている。
### Museシリーズの製品展開が着実に
余家輝の在籍14か月の間に、TBD Labは密集した製品リリースを実現した。2026年4月にリリースされた基礎モデル「Muse Spark」を皮切りに、Metaの先端モデル開発の重点がLlamaシリーズから、より多模態能力に優れたMuseシリーズへと移行したことを示した。その後、Voice Mode、Muse Image、Muse Videoを相次いで発表し、音声、画像、動画の生成分野を網羅的にカバーした。
彼が退職を発表する8日前には、MetaがMuse Spark 1.2を発表。これにより、スマートエージェント(Agent)機能や長期タスク実行の可能性がさらに強化された。
### 1億ドル年収の噂とその真実
余家輝の待遇については、市場で「年収1億ドル」という記録的な条件でOpenAIから引き抜かれたとの噂が広まっていた。Metaは正確な金額を公表していないが、CTOのアンドリュー・ボスワースは、この高額報酬は一括支給のサインオンボーナスではなく、株式、ボーナス、業績連動条件を含む4年間の総報酬プランであると説明している。
この高額引き抜きの現象に対して、OpenAIのCEOサム・アルトマンは「伝道師は最終的に雇われ兵を打ち破る(Missionaries will eventually beat the mercenaries)」と評した。
余家輝が短期間で段階的目標を達成した後に起業を決意したことを受け、テックジャーナリストのゲルゲイ・オロシュは、Meta内部の組織再編や効率化調整がエンジニアに不安感をもたらしており、多くの上級専門家が外部の機会にオープンになっていると指摘している。
### Metaが直面する人材流出の課題
新会社の具体的な内容については、余家輝は明かしておらず、「人類の未来にとって極めて重要だが、まだ十分に探求されていない問題」に全力を注いでいると語っている。
研究プラットフォームalphaXivのデータによると、余家輝を含むMetaの著名研究者200人以上が離職。合計で929人の研究者が「Meta勤務経験ありだが既に退職」という状態にある。Metaは短期的な高額報酬で技術的格差を埋めることはできても、組織への信頼を修復し、頂尖人材を定着させることが今後の大きな課題となる。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:人事
- 関連組織:Meta / Google / OpenAI
- 製品・サービス:Muse Spark / Muse Image