通信しながら光ネットワークを可視化
NTT(代表取締役社長:島田 明)は、光ネットワークの受信端に設置される小型光トランシーバのみを用いて、通信しながらネットワーク全長の状態を可視化する機能を、世界で初めて通信用DSPチップに搭載しました。この成果は、2026年3月に開催された国際会議OFC2026のポストデッドライン論文として発表されました。
開発の背景と課題
AI需要の拡大に伴い、大容量かつ広域な光ネットワークの重要性が増しています。NTTグループの次世代インフラであるIOWN APNにおいて、異常な損失箇所を早期発見・特定することは安定運用に欠かせません。従来はOTDRなどの専用測定器が必要であり、通信しながら常時かつ全域を監視することはコストと手間の観点から困難でした。NTTはこれまで測定器不要の可視化技術を開発してきましたが、莫大な計算リソースが必要であり、商用チップへの搭載が課題となっていました。
世界初の技術的ブレイクスルー
NTTは独自技術を開発し、可視化に必要な計算処理量を従来比で100分の1に削減しました。これにより、消費電力や実装面積の制約が厳しい通信用DSPチップへの搭載が可能となりました。本成果は、NTTイノベーティブデバイス社製の800GコヒーレントDSPに実装され、小型プラガブル光トランシーバ(OSFP)を用いて、最大1,005kmに及ぶネットワークの異常位置を特定することに成功しました。測定精度は専用測定器(OTDR)と良好に一致しています。
今後の展望
本技術により、光トランシーバが「自ら異常を見つける」ことが可能になり、光ネットワークの運用保守に革新的な効率化をもたらします。NTTは、IOWN APNをはじめとする光ネットワークへの本技術の実装を推進し、AI時代の大容量ネットワークにおける常時監視と自律運用の実現を目指します。
なお、本研究の一部はNICTの助成事業(JPJ012368G60201)の支援を受けています。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:新製品
- 関連組織:NTT / NTTイノベーティブデバイス / NICT
- 製品・サービス:通信用DSPチップ / コヒーレントDSP