セイコーグループ株式会社とセイコーフューチャークリエーション株式会社は、国立研究開発法人理化学研究所(理研)と共同で2026年4月に開設した「理研-セイコー連携センター(RIKEN-Seiko Collaboration Center:RSCC)」の研究環境の整備を完了し、本格的な研究開発を開始しました。

RSCCでは、理研の生命科学研究の知見と、セイコーグループが培ってきた精密制御、自動化、計測、画像解析などの技術を融合し、バイオものづくりを支える次世代研究プラットフォームの開発を進めています。培養実験を自動化する「ACKNOS Microbial Shaker」、有望な細胞や分子を高速・高精度に選別する「FARIOS」、さらに研究工程全体を連携・最適化する「自律型実験システム」の開発を通じて、研究開発の効率化と再現性向上を目指します。

主要指標 — KEY FIGURES

2026年4月
2026年4月に開設した
2027年4月
2027年4月の発売を予定しており
2028年
2028年の発売に向けて
100万個
100万個の候補の中から

2026年9月29日、理研和光地区において、RSCCの研究環境と開発中の装置を公開し、研究開発の方向性を紹介しました。

バイオものづくりの研究開発における課題

バイオものづくりは、微生物や細胞などの働きを利用して、医薬品、食品、化学品、素材などを生み出す技術です。研究開発では、「設計(Design)」「作る(Build)」「試す(Test)」「学ぶ(Learn)」を繰り返すDBTLサイクルを、速く、確実に回すことが重要です。

一方、培養条件の検討や微量試料の取り扱いには、研究者の経験や手技が求められます。また、装置間の試料移送やデータ整理を人が担う場合もあり、人材不足や研究者の負担、実験結果のばらつき、データ活用の難しさが課題となっています。

RSCCが開発する次世代プラットフォーム

RSCCでは、個々の装置を自動化するだけでなく、培養、検出、回収、分析、データ活用までをつなぐ研究基盤の構築を目指します。その中核となるのが、自律型微生物培養装置「ACKNOS Microbial Shaker」、自律型高精度ピッキング装置「FARIOS」、そして「自律型実験システム」です。

バイオものづくりの課題と、それに対するRSCCの取り組み

自律型微生物培養装置「ACKNOS Microbial Shaker」(自律型微生物培養装置)の開発

※2027年4月発売予定

医薬品や食品、化学品などのバイオ研究開発では、目的とする物質を効率よく生産するため、温度や振とう条件、試薬を加えるタイミングなどを変えながら、培養実験を繰り返す必要があります。

「ACKNOS Microbial Shaker」は、こうした培養条件の探索を自動化する自律型微生物培養装置です。温度管理、振とう、培養状態の測定、試薬添加などを自動で行い、培養中の状態変化を継続的に計測・記録します。

研究者は培養中の状態をリアルタイムで把握でき、これまで手作業で行っていた確認作業や試薬添加の負担を軽減できます。人による操作を減らすことで、実験結果のばらつきを抑えるとともに、異物混入、いわゆるコンタミネーションのリスク低減にもつなげます。

さらに、取得した培養データを継続的に蓄積・解析することで、研究者の経験や勘に頼る部分が大きかった培養条件の検討を効率化します。将来的には、AIが蓄積されたデータを基に次に試すべき培養条件を提案し、装置の制御へ反映する「自律型培養」の実現を目指します。

「ACKNOS Microbial Shaker」は、2027年4月の発売を予定しており、現在はPoC(概念実証)機を用いた評価を進めています

培養条件の制御、測定、試薬添加を自動化する「ACKNOS Microbial Shaker」

自律型高精度ピッキング装置「FARIOS」(自律型高精度ピッキング装置)の開発

※2028年発売予定

創薬やバイオ研究では、膨大なサンプルの中から、目的とする特性を持つ希少な細胞や分子を見つけ出す必要があります。

「FARIOS」は、100万個の候補の中から有望な細胞や分子を高速に検出し、目的とするサンプルを高精度に回収して分析工程へつなげる、自律型高精度ピッキング装置です。

検出から回収、移載、分析までの一連の工程の自動化を目指します。これにより、抗体スクリーニング、シングルセル解析、創薬研究などにおける研究開発のスピードと精度の向上に貢献することを目指します。

「FARIOS」は、2028年の発売に向けて開発・実証を進めています。

100万個の候補から有望な細胞や分子を見つけ出し、高精度に回収して分析工程へつなげる

有望な細胞や分子の検出、回収、移載を自動化する「FARIOS」

「自律型実験システム」の開発

装置単体の自動化から、研究全体の自動化へ

研究現場では、培養装置や分析装置が個別に使われ、研究者が装置間で試料を移動し、実験条件や結果を整理する場合があります。工程が増えるほど負担が大きくなり、データが装置ごとに分散する要因にもなります。

RSCCでは、実験計画、試料調製、培養、検出、分析、データ解析までを一つの流れとして連携・管理する「自律型実験システム」の構築を目指します。実験条件、測定結果、操作履歴を一元管理し、再現性とトレーサビリティの向上を図ります。さらに、蓄積データを活用し、将来的にはAIが次の実験条件を提案する「自律型ラボ」の実現を目指します。

「小さいものを、正確に、速く扱う」技術を生命科学へ

セイコーグループは、時計や精密機器の開発・製造を通じて、微小な部品を高精度に加工し、組み立て、計測し、安定して制御する技術を培ってきました。生命科学研究においても、微量な液体を正確に取り分けること、微小な細胞や微生物を狙った位置で扱うこと、決められた条件を安定して繰り返すことが、実験の精度と再現性を左右します。

RSCCは、理研の研究者とセイコーの技術者が同じ場所で課題を共有し、試作、実験、評価、改良を繰り返す共創拠点です。研究現場の課題を装置やシステムの開発へ迅速に反映し、現場のニーズに即した技術や製品の創出を目指します。

生命科学研究者とセイコー技術者が共同で研究開発を進めるRSCC

研究装置の提供から、研究現場の課題解決へ

セイコーグループおよびセイコーフューチャークリエーションは、装置の提供にとどまらず、人手不足、再現性の確保、研究データの活用といった研究現場の課題に向き合います。装置、データ、研究プロセスをつなぐソリューションを開発し、研究者がより高度で創造的な活動に集中できる環境づくりを支援します。

RSCCを通じて、研究開発の効率化と研究成果の社会実装を支え、バイオものづくりの発展と新たな価値の創出に貢献していきます。

<「理研-セイコー連携センター(RSCC)」基本情報>

名 称:理研-セイコー連携センター(RSCC)

所在地:理化学研究所 開拓研究所(埼玉県和光市広沢2-1)

連携センター長:渡邉 力也(理化学研究所 開拓研究所 渡邉分子生理学研究室 主任研究員)

公式サイト:https://rscc.riken.jp/

<関連情報>

RSCCの取り組みについては、セイコー サステナブル・ストーリーでも紹介しています。

セイコー サステナブル・ストーリー

「なぜ時計のセイコーが微生物を?理研と挑むバイオものづくり」

https://www.seiko.co.jp/csr/magazine/article/00073.html

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:press_release
  • 関連組織:セイコーグループ株式会社 / セイコーフューチャークリエーション株式会社