HELIX共同研究開発イニシアティブにより、システムからシリコンまでを対象とするイノベーションを通じてエッジ上での生成AIおよびエンボディドAIの新たなユースケースを実現

メモリ中心型アーキテクチャ、革新的なインメモリ・コンピューティング、スケーラブルな演算 / メモリ統合システム、先進的なシリコンおよび組み込みメモリ技術を重点的に研究

主要指標 — KEY FIGURES

4
4年間の戦略的研究イニシアティブ
49,000
約49,000名の従業員
20万社
約20万社を超えるお客様

Corporate Labはシンガポールの先進的な半導体の研究能力を強化し、将来のエッジAIの人材育成およびイノベーションを支援

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)と、シンガポール国立大学(National University of Singapore、以下NUS)は、次世代エッジAI技術の発展を目的とした4年間の戦略的研究イニシアティブである「ST–NUS HELIX Corporate Lab」を正式に設立したことを発表しました。HELIX(Hardware for Embodied Low-power Intelligent Xcceleration)は、システムからシリコンまでを対象としたイノベーションを通じて、エッジ上での生成AIおよびエンボディドAIの新たなユースケースを実現します。

Corporate Labは、シンガポールの「研究・イノベーション・企業2025計画」(RIE 2025)の支援を受け、NUSデザイン&エンジニアリング・カレッジ(College of Design and Engineering)を拠点とし、NUSコンピューティング学部(School of Computing)が参加しています。Corporate Labは、AIアルゴリズム、アクセラレータ・アーキテクチャ、低消費電力メモリ・システム、回路設計、シリコン技術、アプリケーション開発にわたる分野横断的な研究エコシステムを結集します。同プログラムでは、NUSの先進的な研究と、STの半導体技術やシステム開発、産業オペレーションにおける専門知識を融合します。

NUSの学長であるTan Eng Chye教授は、次のようにコメントしています。「ST–NUS HELIX Corporate Labは、研究成果をイノベーションへと転換する産学連携の価値を証明するものです。NUSの研究の強みとSTの産業分野における技術力を組み合わせることにより、最先端のエッジAIハードウェアのみならず、シンガポールの半導体およびAI産業の未来を担う人材を育成するとともに、エコシステムも構築していきます。」

STのグローバル技術研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるLaurent Malierは、次のようにコメントしています。「統合型半導体メーカーとしてのSTの強みは、先進シリコン技術や組み込みメモリ、回路設計、異種集積、チップレットを統合できることです。STはHELIXを通じて、差別化されたAIコンピューティング技術を探求し、有望な研究成果を拡張性に優れた半導体ソリューションへと発展させる取り組みを加速させ、産業応用を見据えた基盤を構築していきます。」

Corporate Labは、シンガポールの文化・コミュニティ・青少年省および通商産業省の上級国務大臣であるLow Yen Ling氏を迎え、正式に発足しました。

エッジAIの未来を築く

エッジAIは、リモートのクラウド・インフラストラクチャのみに依存せず、端末内部または端末の近くで直接データを処理します。そのため、接続が限定的あるいは断続的な環境において、応答時間の短縮やデータ・プライバシーの強化、電力効率の向上、レジリエンスの強化が可能になります。これらの特長は、現実世界においてリアルタイムで知覚し、推論し、行動することが求められるAIシステム、いわゆるフィジカルAIにとって、ますます重要になっています。

HELIXは、この分野の最先端の研究領域であるエンボディドAIに重点的に取り組みます。エンボディドAIは、ロボット、ヒューマノイド、ドローンといった物理システムに知能を直接組み込むもので、マルチモーダル・センシングやオンデバイス・コンピューティング、リアルタイム・アクチュエーションを統合します。限られた電力で動作する小型なハードウェア上に、このような知能を効率的に実装することが、HELIXが取り組む課題です。これらの要素をエッジで実現するには、アルゴリズム、ソフトウェア、システム・アーキテクチャ、ハードウェアにわたるイノベーションが必要になります。

HELIXはSTの長年にわたるAIへの取り組みを基盤に、将来のインテリジェント・デバイスの要件に対応する、効率的なコンピューティングや先進メモリ・アーキテクチャ、アプリケーション主導設計を組み合わせた新たなシステムレベル・ソリューションの探求を支援します。NUSはSTの能力を補完し、集積回路やコンピュータ・アーキテクチャ、AIモデル、システム設計における世界最高レベルの専門性を提供します。NUSとSTの研究者はこのパートナーシップの下、研究ワーク・パッケージや人材開発、知的財産の創出、デモンストレーション活動に共同で取り組む予定です。

HELIXにおける研究では、AIモデルおよびシステム・アーキテクチャから、異種アクセラレータ(異なる種類のアクセラレータを組み合わせた構成)、オンチップ・メモリ階層、回路設計、チップ集積、シリコン実装まで、技術スタック全体が対象になります。メモリ中心型アーキテクチャや革新的なインメモリ・コンピューティング、スケーラブルな演算 / メモリ統合システムを重点的に扱い、STのP18 18nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)技術および組み込み型相変化メモリ(PCM)を活用します。P18 FD-SOI技術は、超低消費電力の動作とアダプティブなボディ・バイアスを実現し、組み込み型PCMは、オンチップSRAM階層と同じダイ上に、高密度の不揮発性ストレージを提供します。これらの機能により、メモリ依存型のAIワークロードにおいて電力消費の大半を占めるチップ外部とのデータ移動を削減できます。

STは、ST独自のP18 FD-SOI技術で実現された専用の設計シャーシ(設計プラットフォーム)をNUSに提供することにより、技術とエンジニアリングの両面からHELIXに大きく貢献します。このプラットフォームにはSTのシリコン、アーキテクチャ、集積、エンジニアリングに関する能力が結集されており、研究者がAIアクセラレータの新たな構想を開発、統合、検証するための産業グレードの基盤を提供します。設計シャーシの導入により、基盤となるインフラを一から構築する必要がなくなるため、差別化につながるイノベーションの研究に一層集中でき、システムレベルの検証を迅速化するとともに、技術探索から産業化までの移行を加速することが可能になります。

HELIXは、AIアルゴリズム、アクセラレータ・アーキテクチャ、メモリ・システム、回路、半導体技術にわたる先進技術を組み合わせることで、高度化するエッジAIシステムの実装に伴う電力効率、メモリ帯域幅、遅延、スケーラビリティ、統合の課題を解決することを目指しています。

シンガポールの半導体エコシステムを牽引する人材の育成

HELIXの設立は、エッジAIや先進半導体システム分野におけるシンガポールの将来的な競争力を高めるための戦略的な投資です。産業応用を見据えた研究開発を促進することによって、HELIXは地域の研究開発能力を強化し、AIシステムとチップ設計に携わる次世代の人材を育成します。

学生、研究者、専門家がHELIXの主導する最先端プロジェクトに参加することで、最新技術を活用し実践的な経験を積み、産業界のリーダーと協業しながら、この分野において常に進化するニーズに対応したスキルを習得できるようになります。HELIXはこれらの取り組みを通じて、強固な人材育成基盤を構築し、シンガポールをエッジAIおよび半導体技術の世界的なイノベーション・ハブへと発展させることを目指しています。

シンガポール国立大学(NUS)について

シンガポール国立大学(NUS)は、シンガポールを代表する大学で、アジアの視点と専門知識に重点を置きながら、教育、研究、起業のグローバルなアプローチを展開しています。シンガポール国内の3つのキャンパスに15のカレッジ、学部およびスクールを有し、100カ国から集まった4万人を超える学生が、多様性に富んだ活気あるキャンパス・コミュニティを形成しています。また、世界中に20を超える起業家育成拠点「NUS Overseas College」を設立しています。

教育、研究、起業に対する分野横断的かつ現実的なアプローチにより、アジアおよび世界が直面する重大かつ複雑な課題の解決に向け、緊密な産学官連携が可能です。NUSの学部、中核的研究拠点、企業内研究所、および30を超える大学水準の研究施設に携わる研究者は、エネルギー、環境・都市サステナビリティ、疾病治療・予防、アクティブ・エイジング(活力ある高齢化)、先進素材、金融システムのリスク・マネージメントとレジリエンス、アジア研究、シンガポールのスマート・ネーションを支える技術領域(人工知能、データ・サイエンス、オペレーション研究、サイバーセキュリティなど)などのテーマに重点的に取り組んでいます。

NUSの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

STマイクロエレクトロニクスについて

STは、約49,000名の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、すべての直接・間接排出(スコープ1および2)、ならびに製品輸送、従業員の出張・通勤による排出(スコープ3の注力分野)におけるカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを進めており、2027年末までに再生可能エネルギーの使用率を100%にする計画です。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト(http://www.st.com)をご覧ください。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:技術協力
  • 関連組織:STマイクロエレクトロニクス / シンガポール国立大学 / NUSデザイン&エンジニアリング・カレッジ