同業か異業か、どちらに転職すれば成功しやすいのか?
中年層の転職について、多くの人は「同じ業界の同じ職種にしか転職できない」と考えがちです。しかし、実際にはそうではありません。すでにデータによって裏付けられています。
日本の人材サービス産業協議会が実施した「中高年ホワイトカラー転職実態調査」によると、転職先が同業か異業かに関わらず、成功率はいずれも約50%となっています。
具体的な成功転職データは以下の通りです。
- 過去と同じ産業、同じ職種:48.6% - 過去と同じ産業、違う職種:51.5% - 過去と違う産業、同じ職種:49.4% - 過去と違う産業、違う職種:47.7%
たとえば、出版社の編集者から不動産業の営業職に転職する(異業種・異職種)場合と、不動産会社の営業職から別の不動産会社の営業職に転職する(同業種・同職種)場合を比べると、実際の職場での活躍度に大きな差はありません。
転職先は、過去と同じ業界に限定しなければいけないのか?
同業・同職種でも、異業・異職種でも、実際に約半数の人が新しい職場で成果を出せています。そのため、「同じ業界・同じ職種にしか成功できない」と考えがちですが、実際には異業種に挑戦する人にも、十分に成果を上げるチャンスがあります。
転職の方向性を選ぶ際には、同業・同職種にこだわりすぎず、柔軟に考えることが大切です。
前述の調査には、もう一つ興味深い内容があります。それは、「企業が採用時に重視した項目」と「実際に採用後に『もっと重視すべきだった』と感じた項目」の違いです。
企業に「採用判断の際に重視した項目は何か?」と尋ねたところ、多くが「専門職種や業界に関する知識・経験」と回答しました。しかし、「もっと重視すべきだった項目は何か?」と問われた際には、上位に挙がったのは「人柄(性格・態度)」と「専門性のない業務遂行能力」でした。
つまり、企業は最終的に「人柄」の重要性を強く認識しているのです。
「専門性のない業務遂行能力」とは、コミュニケーション力や協調性といった、いわゆる「汎用スキル」を指します。これらのスキルは、どの職場・どの業界でも活かすことができます。企業は、専門知識や経験だけでなく、こうした基礎的で汎用性の高いスキルを非常に重視しているのです。
このことからも、転職の選択肢を同業・同職種に限定する必要はないことがわかります。企業が人柄と汎用スキルを重視している以上、異業種・異職種への挑戦も十分に現実的な選択肢となるのです。
過去の業界や職種に自分を閉じ込めてしまうと、可能性を狭めてしまい、多くのチャンスを逃すことになります。
著者|黒田真行(くろだ まさゆき) 中年世代転職顧問。1965年、兵庫県生まれ。関西大学法学部卒業。1988年、リクルートに入社。以降30年以上にわたり、転職サービスの企画・開発に携わる。『リクナビNEXT』編集長、「リクルートエージェント」HRプラットフォーム事業部長、「リクルートメディカルキャリア」取締役などを歴任。2014年にリクルートを退職後、中年世代の転職支援と企業の採用支援を専門とする「ルーセントドアーズ」を設立。30年以上にわたり「人と仕事」のマッチングに取り組み、起業後は多くのミドルエイジャーにキャリア相談を提供している。
本文は『35歳を超えて、本当にやりたい仕事の見つけ方:35歳の壁、45歳の崖。求職のカギは履歴書の量ではない。「今、何をすべきか」を考えて行動する人だけが、理想の仕事に出会える』の書籍より許諾を得て転載。
責任編集/李伊晴
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