グローバル化が最も盛んだった時代、企業はコストが低く、原料に近い場所に工場を移転することで効率を最大化するとされていました。高永中氏は、かつて中国に工場を持つことがコスト競争力の象徴だったと振り返ります。実際に、中国に生産拠点を持つ企業は、顧客から「コスト優位性がある」と評価されることが多かったのです。
しかし、米中間の技術競争、輸出規制の強化、そして新型コロナウイルスのパンデミックによる供給網の混乱を経て、状況は一変しました。同じ中国の工場でも、今ではサプライチェーン上のリスク要因と見なされるようになっています。
この大きな転換点こそ、英特磊科技(IET-KY、4971)の会長である高永中氏が、AI時代のサプライチェーンを理解する出発点です。AI技術の急速な発展により、半導体や先端材料の需要が爆発的に増加しています。その結果、企業は「最も安いコスト」だけではなく、「どこで、誰と、どのように生産するか」という戦略的選択が極めて重要であることに気づいています。
高氏は強調します。AIの普及によって、材料の需要が急激に拡大しているだけでなく、サプライチェーンの信頼性そのものが再定義されつつあると。企業が高付加価値のサプライチェーンに留まり続けるためには、単なるコスト競争力だけでなく、以下のような要素が不可欠だと指摘します。
まず、材料の調達先が多様化されているかどうか。特定の国や地域に依存するリスクを回避するため、地理的に分散されたサプライヤーとの連携が求められます。次に、生産拠点が「信頼できる地域」に位置しているか。政治的・経済的リスクが高く、輸出規制の対象となる地域からの脱却が進んでいます。そして何より重要なのは、パートナー企業と「危機が発生する前から問題を共有し、共同で解決策を模索できる関係性」を築いているかです。
高氏によれば、AIの進展は単なる技術革新ではなく、グローバルな産業構造そのものを変容させているのです。たとえば、AIチップの製造には極めて高純度の化学材料や希少金属が不可欠ですが、それらの多くが地政学的に不安定な地域で生産・精製されています。このため、企業は「コスト」だけでなく、「供給の安定性」「技術のアクセス可能性」「規制遵守の容易さ」を総合的に判断する必要に迫られています。
こうした背景から、多くの企業が生産拠点の「リショアリング(再国内化)」や「フレンドショアリング(友好国間での再配置)」を検討しています。アメリカ国内での半導体製造支援を目的としたCHIPS Actの成立も、こうした流れを後押ししています。高氏は、「アメリカに戻ることは、単なる愛国心や政治的圧力だけの話ではない。戦略的リスクを管理し、長期的な競争力を確保するための現実的な選択だ」と語ります。
英特磊科技自身も、こうしたグローバルサプライチェーンの再編に積極的に対応しています。同社は、アジアだけでなく、北米や欧州の信頼できるパートナーと連携し、材料の調達から加工、納入までの一貫したバリューチェーンを構築しています。特に、AI関連の高純度材料においては、アメリカ国内の研究機関や製造企業との共同開発を進め、技術の早期実装と供給の安定化を図っています。
高氏は最後に、「過去の『最適解』は、もはや通用しない。AI時代のサプライチェーンは、『最適』ではなく『最強』を目指すべきだ」と力説します。つまり、コスト、スピード、信頼性、柔軟性のすべてを兼ね備えた、耐障害性の高いネットワークの構築こそが、これからの企業の生存戦略であると指摘しています。
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- 出典:PR Times
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