フィリピン国防相のテオドロ・ジュニア氏(Gilberto Teodoro Jnr)は29日、マニラで記者会見し、中国・広州にある暨南大学がフィリピンの華語教師を大量に訓練していることについて警戒を示した。同大学がバタン諸島(Batanes)の主権を中国に主張する研究会を開催したことを受け、テオドロ氏は「中国が学術交流を通じて認知作戦を展開している可能性がある」と指摘した。
この発言の背景には、研究機関SeaLightが発表した調査報告がある。報告によれば、暨南大学はフィリピンの華文学校に派遣される中国籍教師の『最大の単一訓練拠点』であり、中国共産党の統一戦線工作部と密接な関係を持つ。同大学は、教師の育成、カリキュラム設計、中国語能力検定、就職支援などを通じて、フィリピンの華文教育システムを実質的に支配しているとされる。
特に問題視されているのは、先月、暨南大学が主催した『バタン諸島の主権に関する学術シンポジウム』だ。この会議では、一部の学者が「バタン諸島は台湾の自然延長であり、中国が主権を主張すべきだ」と主張した。この発言は直ちにフィリピン政府から強い抗議を受け、マニラ当局は「バタン諸島の主権はフィリピンにあり、歴史的にも法的にも揺るぎない」と反論した。
バタン諸島は台湾とフィリピン・ルソン島の間にあるバシー海峡に位置し、フィリピン最北端の州である。戦略的に極めて重要とされ、南シナ海へのアクセスを巡る地政学的要衝でもある。同諸島はバタン島、サブタン島、イバイヤット島の3大島と多数の小島から構成されている。
テオドロ国防相は、「我々は正当な国際学術交流を否定しない。しかし、それが国家安全保障上のリスクを伴う『グレーゾーン』に利用される可能性があることを認識すべきだ」と強調した。「中国との交流をやめるとは言っていない。ただ、その背後にある意図を冷静に見極める必要がある」と語った。
なお、フィリピンと中国の南シナ海を巡る対立はここ数カ月でさらに緊張が高まっており、テオドロ氏自身も6月に中国から制裁リストに載せられている。彼の発言は、中国の非軍事的圧力、いわゆる『グレーゾーン作戦』への警戒を高める一環と位置づけられている。
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- 出典:PR Times
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