毎月初め、私はコンビニのATMでお金を引き出す。いつも決まって二万五千円。それが私の月々の年金であり、生活費でもある。

私はできるだけ節約して暮らしている。百円以上の弁当は絶対に買わないが、最近ではそんな安い弁当がどんどん減っている。あっても量が少なすぎて満腹にならない。セルフサービスの食堂は値段が明記されておらず、ついうっかり品物を取ると百円を超えてしまう。

そんな中、最近ようやく九十五円の弁当を売っている店を見つけた。まるで宝物を手に入れた気分だ。ほぼ毎日のように通っている(もう一日は乾麺に小鉢を添えて、予算内に収める)。

ある日、いつものようにATMで操作していると、画面が突然真っ暗になった。最初は「故障か」と思ったが、次に耳にしたのは女性の声だった。「百円、振り込んでくれませんか?」

背後に誰かいるのかと思い振り返ると、店内には客はおらず、店員はカウンターで帳簿を睨んでいた。まさか耳鳴りが幻聴に変わったのか?

「お願い、百円だけでいいの。」

今度は確かにATMから声がした。悪戯か、それともハッキングか? もし本当に高度なハッカーなら、私の全財産を奪うだろう。百円など求めるはずがない。

画面は戻らず、私は店員を呼ぼうとした。

「本当に必要なの。助けて。」

声は切実で、どこか哀しげだった。私は思わず近づき、小声で尋ねた。「誰? なんで私に金を求めるの?」

「私……ここに閉じ込められてるの。百円がなければ……灰飛煙滅してしまう。」

「灰飛煙滅」? ATMは火葬場じゃない。それに、誰が人をATMの中に閉じ込めるというのか? 内部にそんな広さがあるわけがない。

「どうして中にいるの? 誰に閉じ込められたの?」

「それは……複雑なの。すぐには説明できない。だから、まず百円を振り込んで。お願い。」

「……わかった。」 弁当一品分の金なら、損しても大したことはない。何を企んでいるのか、見届けてやろう。

すると、真っ暗だった画面が突然、振込画面に切り替わった。銀行コード「000」、口座番号「0123456789」。あり得ない組み合わせだ。

だが、私は100円を入力し、確認を押した。ATMは「他人名義への送金です」と警告し、再度確認を求めた。私は押し返した。

領収書は要らないかと聞かれ、普段なら不要だが、今回は興味本位で「要る」と答えた。

すると、ATMはゆっくりと一枚の紙を吐き出した。そこに書かれていたのは、領収書ではなく、一文だけ。「助けてくれてありがとう」。

私は思わず紙を床に落とした。呆然と立ち尽くす。隣の女性が不審な目で私を見る。慌てて拾い上げると、それは手書きの文字。女性らしい、繊細な筆跡だった。

「あなた……本当に中にいるの? 誰なの? どうしてATMの中に?」

声は小さくなった。店内にはもう何人かの客がいた。もし私がATMに話しかけている姿を見せたら、「変なおじさん」と思われるだろう。

「私の体ではなく、魂だけがここにいるの。」

鳥肌が立った。つまり、これは……幽霊なのか? 現代に生きる幽霊が、ATMにいるだと? だが、幽霊なら紙幣ではなく、紙銭を使うはずではないか?

「ここは本来、私がいるべき場所じゃない。だから、ATMを司る神様が、毎日百円を納めれば、ここにいさせてくれるという約束なの。さもなければ……灰飛煙滅してしまう。」

私は六十年以上生きてきた。インドではあらゆるものに神が宿ると聞くが、ここは台湾だ。ATMを司る神とは一体? 私は小声で尋ねた。

「財神よ。」

なるほど。金を扱うのだから、財神が関与するのは納得できる。だが、百円も要求するとは。財神の収入も厳しいのか? まさか、すべてのATMに幽霊が住んでいるのだろうか? 霊界のことは、凡人には計り知れない。

「財神に閉じ込められたの?」

「違うの。自分で……百円は、いわば家賃のようなもの。」

ますます不可解だ。幽霊の女性が地獄にも輪廻にも行かず、ATMに住み、財神に家賃を払っている? あまりに非現実的だ。

さらに聞きたいが、後ろに列ができ始めた。私は平静を装い、その場を離れた。後ろの男が尋ねた。「最近のATMって、音声操作できるんですか?」

私は感謝の紙片を持ち、中杯のホットコーヒーを買い、外の席で座った。一体何が起きたのか、頭を悩ませる。

結論は一つ。幻聴だ。精神の異常か、脳の病変だろう。だが、手元の紙はどう説明する? それは確かに存在する。

私は堂兄に相談することにした。彼は以前、廟で占いをしていた。霊的なことに詳しいかもしれない。そうでなければ、今夜も眠れないだろう。連日、不眠が続いている。

「その子……幽霊には未練がある。このATMに関わる何かを解決しないと、成仏できない。だが、コンビニは人気(ひとけ)が強すぎる。幽霊には住みにくい。だから財神に守ってもらい、百円はその象徴的なお礼。財神もそこまで金に執着してるわけじゃないよ。」

「じゃあ……私は危険じゃない? またあのATMを使ってもいい?」

「彼女はあなたに頼ってるんだ。害をなすはずがない。」 堂兄の顔が急に真剣になった。「恨みが深くない限り、幽霊は無闇に人を傷つけない。世間の幽霊への偏見が強すぎるんだ。」

私は気づかなかった。確かに、私はホラー映画をあまりに見すぎていた。「恐怖は無知から来る」という言葉を実感した。

とはいえ、やはり怖い。生きて初めて、霊界と交信したのだから。

「じゃあ……明日も百円を送ったほうがいい?」

「もちろん! 人を救うのは七階の浮屠を建てるより尊い。幽霊を救うのも功徳だ。それに、霊界の友がいれば、将来、あなたにも恩返しがあるかもしれない。」

「本当? あなたには霊界の友がいるの?」

「もちろん!」 堂兄は神秘的に微笑んだ。「そうでなければ、私の占いがなぜ当たると思う?」

私は勇気づけられた。翌日、またそのコンビニへ行った。中杯のホットコーヒーをテイクアウトし、外の席でコンビニの外壁を見つめた。

ガラス扉の横の壁は、他の部分より明らかに新しく、塗り直されたばかりのように見える。その上に、黄色い小さな紙が貼られていた。賃貸物件の広告には見えず、違和感を覚えた。

近づいてみると、それは呪符だった。「急々如律令……」以降の文字は読めない。なぜこんな場所に? 位置関係から、この符の向かい側がATMの設置場所だ。もしかして、この符とあの女性に関係があるのか?

「八万円だよ。」 突然、横から声がした。隣でカップ麺を食べていた男だった。

「師匠を呼んで祓ってもらった。前後で八万円かかったって。」

「ここ、幽霊が出るんだって。夜になると、女の人がここで泣いてるのを見たって話がある。近づくと消えるらしい。」

「怖いだろ? ネットで話題になって、夜はもちろん、昼間も誰も来なくなった。店が我慢できなくなって、大金を払って大師を呼んで符を貼った……」

痩せた中年男で、話好きだった。私が尋ねるまでもなく、すべてを語ってくれた。

「効いたの?」

「もちろん! 八万も出したんだからな。それ以来、泣く女は見かけなくなった。店の売り上げも戻ってきた。ただ……」

私は黙っていた。彼は言わずにはいられないようだった。

「ただ、師匠は追い出さず、封じただけらしい。だから、まだあの壁の中にいるはずだ。」

壁の中? ということは、ATMの中か? だから彼女は閉じ込められているのか。堂兄の話とは違う。彼女の未練はATMではなく、外の壁にあったのかもしれない。

「なんでこの壁だけ塗り直したの? 他の壁は古いまんまだよ。」

「知らないのか?」 彼はまた話し始めた。「前にここで殺人事件があったんだ。不良グループが刃物で殴り合い、壁に血が飛び散った。見るも無惨で、店は急いで塗り直した。さもなければ、誰も買い物に来なくなる。」

「殺人事件? つまり……死人が出たの?」

「十七歳くらいの男の子が一人、死んだ。中退生で、近所の宮廟で八家将をやってた連中と仲間だったらしい。なぜか喧嘩になり、手がつけすぎたって。」

「ネットで見たんだ。」 彼は私が尋ねる前に言った。「三人は少年院送りになったが、一人の女の子だけ無罪だった。」

「女の子? どんな女の子?」 私の胸がざわついた。

「死者の恋人らしい。彼女は手を出さなかったから、罪に問われなかった。でも、目の前で恋人が……見る羽目になったんだから、十分に惨いよ。」

私は立ち上がった。彼を驚かせたかもしれない。

コンビニに戻ると、ATMの前に二人が並んでいた。

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  • 出典:PR Times
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