父母が子女に資金援助を行うことは、家庭内ではよくあることですが、税法上は「贈与」として扱われる可能性があります。特に、父母が自分の財産を無償で子女に移転し、子女が実際に財産利益を得ている場合、原則として贈与に該当します。
2026年における贈与税の年間非課税枠は、一人の贈与者につき244万円です。この額は「贈与者」ごとに適用されるため、父親が複数の子女に送金した場合でも、合計額が244万円を超えると課税対象となります。母親は別に244万円の非課税枠を持ちます。
### 父母からの送金は贈与になるのか?
送金時の備考欄に何と書いてあるかではなく、その資金が子女に無償で渡され、自由に使える状態になっているかどうかが判断基準です。もし父母が一時的に代わりに支払いを行い、子女が後で返済する約束があり、借貸契約や返済記録がある場合は贈与とはみなされません。しかし、返済の義務がない場合、贈与と判断されます。
贈与額が244万円を超える場合、その贈与行為から30日以内に贈与税の申告を行う必要があります。
以下に、家庭内でよくあるが、贈与税の申告漏れになりやすい10のケースを紹介します。
1. **子女への現金振込**
父母が子女の口座に現金を振り込む行為は、最も典型的な現金贈与です。たとえば、父親が年間で息子に200万円、娘に100万円を送った場合、合計300万円となり、244万円を超える56万円が課税対象となります。毎月分割して送金しても、年間合計で計算されます。
2. **未成年子女の口座への預金**
子ども名義の口座に父母が定期的に資金を預ける場合、教育資金やお小遣いであっても、資金源が父母であれば贈与とみなされます。財政部の規定では、定期預金の新規預入額が贈与額として累計されますが、満期後の継続預入は重複して課税されません。
3. **住宅購入の頭金支援**
子女名義で住宅を購入し、父母が頭金を支援する場合、その金額は現金贈与として課税されます。たとえば、父親が360万円を頭金として送った場合、244万円を控除した116万円が課税対象となり、税率10%で11.6万円の贈与税がかかります。
4. **父母が購入した不動産を子女名義に登記**
父母が自己資金で不動産を購入し、所有権を子女名義に登記する場合、これは不動産の贈与とみなされます。贈与額は土地の公告現価と建物の評定価格の合計で計算されます。たとえば、時価800万円の物件を子女名義に登記した場合、556万円が課税対象となり、贈与税は55.6万円となります。
5. **子女の住宅ローンやクレジットの返済代行**
父母が子女の住宅ローンやカードローンの返済を代わりに行う場合、これは「債務の無償免除」として贈与とみなされます。たとえば、父親が800万円の定期預金を解約して子女のローンを返済した場合、244万円を超える部分が課税対象となり、55.6万円の贈与税が課される可能性があります。
6. **子女名義での株式購入や株式の移転**
父母が子女のために株式を購入する場合、資金提供額が贈与額となります。また、父母名義の上場株式を子女に移転する場合、移転日の終値に株数を乗じた金額が贈与額として課税されます。244万円未満でも、移転手続きには贈与税の納付証明が必要な場合があります。
7. **子女の保険料の代払い**
子女が保険の契約者であるにもかかわらず、父母が保険料を代わりに支払う場合、これは「債務の無償負担」として贈与とみなされます。たとえば、母親が244万円の贈与に加え、56万円の保険料を支払った場合、合計300万円が贈与額となり、5.6万円の贈与税がかかります。
8. **子女に「売却」と称して不動産を譲渡するが代金を受け取らない場合**
父母と子女の間で不動産の売買契約を結んでも、代金の支払いが行われていない場合、税務当局は「偽装売買」として贈与とみなします。親族間の売買は原則として贈与税の対象です。子女が実際に支払いを行い、その資金が父母由来でないことを証明できれば、例外的に課税を回避できます。
9. **高価な財産を子女名義で購入**
父母が資金を出して自動車や宝石、高額機器を購入し、子女名義で登録・交付する場合、これは実質的な贈与とみなされます。特に未成年者の場合、資金源が子女自身の財産でない限り、贈与と判断されます。
10. **生活費・学費・医療費名義での大額送金**
扶養義務者が受扶養者に支払う生活費、教育費、医療費は非課税です。しかし、明らかに必要額を超える大金を送金し、子女がそれを投資や貯蓄に使っている場合、贈与とみなされます。過去には400万円を「生活費」として送金したが、補税された事例もあります。
### 子女の結婚時の特別非課税枠
父母が子女の結婚に際して贈与する財産については、それぞれ100万円までが非課税となります。これは年間244万円の非課税枠とは別に適用されます。結婚日から前後6か月以内の贈与が対象で、戸籍や送金記録の保存が求められます。
### 2026年の贈与税率
2026年の贈与税は、課税贈与額に応じて以下の累進税率が適用されます。
- 2811万円以下:10% - 2811万円超~5621万円以下:15%(281.1万円加算) - 5621万円超:20%(702.6万円加算)
たとえば、父親が年間500万円を贈与した場合、課税額は256万円で、税率10%により25.6万円の贈与税がかかります。
### 贈与税の申告漏れに気づいた場合
過去に贈与税の申告漏れがあった場合、自ら税務署に申告すれば、過少申告加算税を軽減できます。時効は5年です。早急に修正申告を行うことが重要です。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
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