長年勤めて、やっと退職し、毎月労保年金の受給を始めたと思ったら、わずか1年で亡くなってしまった。何十年も払い続けてきた保険料は、まるで『回収できなかった』ように感じられるだろう。残りのお金は没収されてしまうのか? これは、労保の老齢給付を一括で受け取るか、月額で受け取るかを検討する際に、多くの人が抱く不安の一つである。
実際には、一般に「労保年金」と呼ばれるものは、正式には「労保老齢年金給付」という。これは銀行の預金や労退の個人専用口座とは異なり、個人の元本が明確に存在する口座ではないため、「残りいくら」という考え方では理解できない。しかし、年金受給中に死亡したからといって、家族が何も受け取れないわけではない。死亡者の労保加入年数や家族の状況に応じて、「遺族年金」や「老齢給付差額」、あるいはまだ振込されていない年金の申請が可能になる。
労保の老齢給付は社会保険であり、一方で労退新制は労働者の個人専用口座に積み立てられる制度であり、両者は異なるものである。
### 労保年金を1年受給して死亡した場合、家族は継続して受け取れるのか?
『労働保険条例』第63条の1によると、被保険者が退保し、老齢年金の受給中に死亡した場合、規定の遺族がいれば、遺族年金の申請が可能である。つまり、退職者が亡くなっても、労保による保障がすべて消滅するわけではない。
この場合、遺族年金の額は、死亡者の老齢年金給付基準に基づき、50%の額で支給される。計算結果が3000円を下回る場合は、3000円が支給される。同一順位の遺族が2人以上いる場合、1人増えるごとに25%加算され、最大で50%まで加算される。たとえば、死亡者の月額老齢年金が2万円の場合、1人の遺族がいれば、原則として月額1万円が支給される。
### 配偶者や子供は必ず受け取れる? 年齢や収入の要件がある
しかし、「家族だから」といって必ず遺族年金を受け取れるわけではない。労働保険庁の規定では、遺族の請求には順位があり、順に「配偶者および子」「父母」「祖父母」「扶養している孫」「扶養している兄弟姉妹」となる。各順位にはそれぞれ異なる資格要件がある。
配偶者の場合、「55歳以上で婚姻関係が1年以上」または「45歳以上で婚姻関係が1年以上かつ月収が所定の基準以下」のいずれかに該当する必要がある。無謀生能力者や、条件を満たす子を扶養している場合は、例外的に受給できる。
子の場合は、未成年、無謀生能力、または25歳以下で在学中かつ収入が基準以下、のいずれかの条件を満たす必要がある。
### 1年で亡くなった場合、『老齢給付差額』も受け取れる?
特に長年勤務した労働者にとって重要なのが、「老齢給付差額」である。『労働保険条例』第63条の1によると、2009年1月1日の労保年金制度施行前に労保の加入年数があり、旧制度の「一時金による老齢給付」の要件を満たしていた人が、年金を選択して受給中に死亡した場合、遺族は「遺族年金」と「一時金相当額から既に受け取った年金総額を差し引いた差額」のいずれかを選択して請求できる。一度労働保険庁が支給決定した後は、変更はできない。
ここで重要な違いは、遺族年金を受給するには前述の年齢や収入などの資格要件が適用されるが、老齢給付差額の場合は、これらの要件は適用されないということである。ただし、差額金の受給順位は定められており、順に「配偶者および子」「父母」「祖父母」「死亡者に扶養されていた孫」「死亡者に扶養されていた兄弟姉妹」となる。
### 月額2万2717円を1年受給して死亡した場合、差額は178万8396円
労働保険庁は「簡さん」を例に説明している。仮に一時金で206万1000円を受け取れる場合、年金を選択すると、32年の加入年数と平均月額保険料に基づき、月額2万2717円となる。労働保険庁の例では、簡さんが7年受給後に死亡したケースを想定しているが、ここでは「1年で死亡」と仮定して試算する。
1年間で受け取った年金は、2万2717円×12か月=27万2604円。一時金相当額の206万1000円からこれを差し引くと、差額は178万8396円となる。つまり、前述の旧制度の要件を満たしていれば、受益順位に従ってこの差額を申請できる。退職者が死亡したからといって、未回収分の権利がすべて消えるわけではないのだ。
※この178万8396円は、労働保険庁の公式例を基にした仮の試算であり、実際の個別事例ではない。誰もが同じ金額を受け取れるわけではない。詳細は労働保険庁の説明を参照。
### なぜ人によって差額が異なるのか? 一時金と年金の計算方法が異なる
注意すべきは、一時金と年金の「平均月額保険料」の計算方法が異なる点である。労働保険庁によると、一時金は退保月から直近36か月の平均を用いるが、年金は加入期間中の最高60か月の平均を用いる。そのため、現在の月額年金から一時金や差額を逆算することはできない。
また、差額が必ず存在するわけではない。既に受け取った年金総額が、一時金相当額以上に達している場合は、差額は発生しない。したがって、「何年受給すれば元が取れるか」はあくまで個人の試算であり、実際の支給額は労働保険庁の審査による年数、平均保険料、受給額に依存する。
### 2009年以降に初加入した人は、この『差額金』はない
すべての年金受給者が死亡後に差額を受け取れるわけではない。労働保険庁は明確に、2009年1月1日以前に労保の加入年数がある人にのみ、旧制度の「一時金による老齢給付」の選択権を認めている。2009年1月1日以降に初めて労保に加入した人は、この制度の対象外である。
したがって、2009年以降に初加入し、年金を選択して受給中に死亡した場合、上記の「一時金相当額-既受給年金」の差額制度は適用されない。ただし、条件を満たす遺族がいれば、遺族年金の申請は可能である。
### 死亡前に最後の年金が未振込の場合、申請を忘れずに
もう一つ見落とされがちなのが、死亡前にすでに決定済みだが未振込の年金がある場合である。労働保険庁によると、年金受給者が死亡した後でも、すでに審査済みで未振込の年金があれば、法定相続人が申請して受け取ることができる。また、老齢給付差額がある場合は、該当する受益者が別途申請できる。
つまり、「未振込の年金」と「老齢給付差額」は別々の制度である。家族が退職者の財産整理を行う際は、遺族年金の申請可否だけでなく、死亡前に未払いの年金がないか、2009年以前の加入年数があるか、旧制度の一時金要件を満たしているかを確認することが重要である。
### 労退は別! 個人口座の残高は遺族が一括で受け取れる
「労保年金」と「労退新制」を混同しないよう注意が必要である。労働保険庁は、両者は全く異なる制度であると強調している。労退新制では、雇用主が毎月給与の6%以上を労働者の個人退職金専用口座に拠出する。この口座の所有権は労働者本人にある。
したがって、労働者が月額退職金の受給を開始した後、平均余命または所定の受給期間に達する前に死亡した場合、月額支給は停止されるが、遺族や遺言で指定された受給人は、専用口座の残高を一括で受け取ることができる。労退の遺族順位は「配偶者および子」「父母」「祖父母」「孫」「兄弟姉妹」となり、労働者が生前に遺言で指定することも可能である。
### 労保年金を1年受給して死亡した場合、家族は一体何を受け取れるのか?
まとめると、労保老齢年金は個人の預金ではないため、「本人が使い切らなかった分を家族が相続する」という考え方はできない。しかし、年金受給中に死亡した場合、条件を満たす遺族は「遺族年金」を継続して受け取れる可能性がある。また、2009年1月1日以前に加入年数があり、旧制度の一時金要件を満たしている場合は、受益順位に従い「老齢給付差額」を選択できる。この差額金は、遺族年金の年齢や収入要件の対象外となる。
一方、労退新制は個人専用口座のため、月額退職金の受給中に死亡した場合、遺族や指定受給人は専用口座の残高を一括で受け取ることができる。したがって、「数年で死亡したが、家族はお金を受け取れるか」という問いに対しては、まず「労保」か「労退」かを区別し、次に加入年数の開始時期と遺族の身分を確認することが正確な回答につながる。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
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