9月22日に発表された台北市信民両岸研究協会の世論調査では、蒋万安氏の支持率が41.7%、沈伯洋氏が40.5%で、差は1.2ポイントと誤差範囲内だった。一方、同一期間中にSNSデータ分析プラットフォームQSearchが台湾のネット上での言及を調査したところ、両候補に関する投稿は合計334,308件にのぼり、Threads、Facebook、メディア、フォーラムの4つのチャネルを対象に6月1日から9月20日までの16週間にわたり分析された。

この33万件以上の投稿を詳細に見ると、「どちらの声量が多いか」ではなく、次の3点に構造的な差が存在する:声量の出所、他人からの語られ方、取り上げられる話題の性質。これらは4ヶ月間にわたりほぼ変化せず、一貫したパターンを示している。

全体期間を通じて、蒋万安氏は201,022件、沈伯洋氏は133,286件の言及があり、合計で1.5倍の差があった。しかし、これは月別に見ると大きく異なる。6月は1.27倍、7月には2.96倍まで拡大し、8月には1.25倍、9月には1.24倍に収束した。特に7月の乖離は顕著で、蒋万安氏は毒油事件や725凱道集会により話題が急増し、単週の投稿数が9,592件から17,982件へと急上昇した。一方、沈伯洋氏は訪米スケジュールにより、6月8日週から6週連続で投稿数が減少し、7,003件から3,627件へと落ち込んだ。このように、一方が上昇し他方が下降することで、一時的に声量比が3倍近くに達した。

また、単週での最大の増加幅も注目される。蒋万安氏は8月31日週に+82.8%の増加(長男の交換留学資格と利益相反問題)、沈伯洋氏は9月14日週に+60.6%の増加(石牌・公館夜市での街頭活動と立候補登記)を記録。特に沈伯洋氏は当該週に20,825件の投稿を集め、全期間で最多の単週声量となった。

つまり、「全体で1.5倍の差」という数字だけを見ると、中間における逆方向の動きが見えなくなる。

声量の出所についても大きな違いがある。両者の最大の情報源はThreadsだが、その割合は異なる。蒋万安氏は38.7%、沈伯洋氏は53.5%がThreads由来である。一方、メディアからの報道は蒋万安氏が33.8%、沈伯洋氏が23.0%と逆転している。この比率は4ヶ月間にわたりほとんど変化しておらず、安定した「体質」と言える。

具体的には、蒋万安氏の声量の約3分の1はメディア報道とその派生議論によって支えられているのに対し、沈伯洋氏は半数以上がThreads上でユーザー自身が発信した内容によるものだ。Facebookとフォーラムについては、両者ともに類似の比率(それぞれ約20%、4~6%)であり、識別力は低い。

この違いの背景として、現職市長である蒋万安氏の公式活動は自然とニュースになるのに対し、挑戦者である沈伯洋氏は自ら話題を作らない限りメディア露出が難しいという構造があると考えられる。ただし、各プラットフォームの利用者層が異なるため、Threadsでの高い言及率が直ちに一般民意を反映するわけではない。

さらに、他人による評価の感情分析でも大きな差が見られた。候補者本人の公式アカウント投稿を除外した上で、他のユーザーが発信した投稿の感情を分析した結果、8月中旬から9月中旬にかけて、蒋万安氏のネガティブ感情が65.8%、沈伯洋氏は38.7%と、27.1ポイントもの開きがあった。

期間別の推移も異なる。蒋万安氏は62.3%→73.1%→65.8%と、第2四半期にピークを迎えた後やや低下したが、常に60%以上を維持。一方、沈伯洋氏は50.8%→46.4%→38.7%と着実に低下しており、ネガティブ率の差は11.5ポイントから27.1ポイントへと拡大した。

なお、感情や声量は支持率とは直接一致せず、各プラットフォームのユーザー構成やAIによる皮肉・反語の誤判定の可能性があるため、選挙結果の予測にはならない。また、ここでの数値は10万件以上の投稿を集計した結果であり、個別の誤差は相殺されるため、「差」の信頼性は高いが、特定イベントごとの感情分析は少数データのため慎重に扱う必要がある。

話題の主導方法にも明確な違いがある。Facebook上の議論をテーマ別に分類し、各期間で8%以上を占めるものを「主イベント」と定義したところ、蒋万安氏には4ヶ月で7件、沈伯洋氏には4件が該当した。

興味深いのは、その性質の違いだ。蒋万安氏の7件のうち5件は本人のコントロール外の出来事によるものだった:議会での質疑応答、内湖の集中豪雨による浸水、巴威台風による休業判断、7月の食品安全問題、および8月末の家族関連の論争。残る2件のみが自ら提唱した政策(監察院廃止、内閣不信任決議)。一方、沈伯洋氏の4件はすべて街頭活動やその延長線上にあるもので、基層訪問、訪米、石牌・公館・景美地区の街頭演説、そして東發號サインイベントなど、自らのスケジュールで主導された内容ばかりだった。

話題の集中度にも差がある。6月初めから7月初めにかけて、蒋万安氏は3つの主イベントで全体の32.2%の議論を占めたが、沈伯洋氏は該当する主イベントがなく、最大の単一テーマでも7.5%にとどまり、70%以上は特定の名前をつけられない長尾に分散していた。しかし、8月中旬以降になると、両者ともに「一つの主イベントに集中する」という状況になり、その規模は全期間で最大級となった(蒋万安氏2,741件、沈伯洋氏2,678件)。これは選挙後半戦において、議題が少数の核心テーマに収斂する典型的な現象である。

なお、「主イベント」はあくまで一部の話題に過ぎず、各期間のトップ10テーマを合計しても、Facebook上では29.0%から62.6%の投稿しかカバーしていない。8%の閾値を設けた主イベントのカバー率はさらに低い。

さらに、プラットフォームごとに見える世界が大きく異なることも判明した。同じ期間でも、FacebookとThreadsでは話題の構成がまったく違う。トップ10テーマがFacebookでは29.0%~62.6%の投稿をカバーするのに対し、Threadsでは6.0%~29.6%にとどまる。つまり、Threadsでは70%以上の議論が特定のイベントに属さず、一言コメントや個人体験、断片的な不満などに分散している。

しかし、個別テーマを比較すると、両プラットフォームで扱われる「出来事」は高度に重複している。違いは、追加で浮上するトピックの種類にある。Threadsでは人となりやミーム系の内容が多く、例として姓の変更問題、高額商品へのサインエピソード、深藍支持層の支持表明、娘とのやり取りといった個人ストーリーが挙げられる。一方、Facebookでは制度や政策に関する内容が多く、監察院廃止、食品安全法改正、陳時中のワクチン調達旧件への支援などが中心となる。

これは多くの人が実感していることと一致する:同じ期間に、Threadsで見る議論とFacebookで友人が見る内容はほとんど交わらないように感じるが、実は同じ出来事を、全く異なる形で包んでいるだけなのである。

最後に、本データが答えられないことを明確にしておく。SNS声量の計算では、「支持」と「批判」は同じ「言及」として扱われ、数値自体には方向性がない。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:調査
  • 関連組織:QSearch
  • 製品・サービス:SNS分析サービス / 輿情監視ツール