Apple WWDC22 Swift Student Challenge Winner、文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業採択、芸術科学会NICOGRAPH2024デモ展示賞受賞、経済産業省『創風』採択などを経て活動してきたアーティスト/エンジニア/映像作家・ナカダリオ(19歳)が監督・開発を手がける自伝的イマーシブ映画『Nox』が、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」コンペティション部門に公式選出されました。

本リリースのポイント

・19歳ナカダリオ監督のイマーシブ映画『Nox』が第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」部門に公式選出

・作品は複雑性PTSD、解離性障害、知覚や身体感覚の変容を、当事者自身の視点から描く自伝的イマーシブ映画

・コントローラーを使用せず、Meta Quest 3のハンドトラッキングによって素手で体験

・13のシーンと5種類のインタラクションを通して、「崩壊」「断片化」「再統合」をたどる約20分間の体験

複雑性PTSD*、解離性障害*の当事者としての体験を、身体でたどる自伝的イマーシブ映画。

ナカダリオ(19歳)が監督・開発を手がける自伝的イマーシブ映画『Nox(ノックス)』が、第83回ヴェネチア国際映画祭「Venice Immersive」部門コンペティションに公式選出されたことをお知らせします。

監督自身の複雑性PTSD*、解離性障害*、不思議の国のアリス症候群*などの経験には、言葉だけでは伝えることが難しい心理状態や身体感覚があります。本作は、それらを空間的な物語とインタラクションへと変換したイマーシブ映画です。

*複雑性PTSD…長期間または繰り返される逃れられないトラウマ体験によって、PTSD症状に加え、感情調整や自己評価、対人関係にも持続的な困難が生じる精神疾患。

*解離性障害...強いストレスやトラウマなどを背景に、記憶・意識・自己認識などが一時的に切り離され、日常生活に支障をきたす精神疾患。

*不思議の国のアリス症候群…自分の身体や周囲の物の大きさ・形・距離・時間の感じ方が実際とは異なって知覚される神経学的症候群。

ヴェネチア国際映画祭は、1895年創設の国際的な総合芸術機関「ヴェネチア・ビエンナーレ」が主催する映画祭です。1932年に創設された世界最古の国際映画祭であり、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭の一角として、国際映画界において高い権威を有しています。

第83回ヴェネチア国際映画祭は、2026年9月2日から12日までイタリア・ヴェネチアで開催されます。「Venice Immersive」は、XRをはじめとするイマーシブ表現に特化した公式部門で、選出作品はラッザレット・ヴェッキオ島の「Venice Immersive Island」で上映・展示されます。なお、同映画祭では選出作品の監督がレッドカーペットを歩くのが慣例となっています。

『Nox』について

『Nox』は、ラテン語で「夜」を意味するタイトルを持つ、自伝的イマーシブ映画です。

体験者は、記憶、音、光、断片化した意識によって構成された幻像のような空間を進みます。手が膨張し、空間が崩れ、視界が分断されるなかで、体験者自身の身体もまた、不安定に変化する作品世界の一部となっていきます。

本作が扱うのは、トラウマ、解離、離人感、アイデンティティの断片化、そして現実と自己の境界が揺らぐ感覚です。 これらを画面の外側から観察するのではなく、体験者自身の手、頭の動き、身体の位置を通じて体験することで、目に見えない内的経験を身体的な物語として立ち上げます。

作品は、13のシーンと5種類のインタラクションを通して、「崩壊」「断片化」「再統合」という3つのフェーズで構成されています。物語の終盤で描かれるのは、傷や解離した自己を排除することでも、単純に「克服」することでもありません。これまで自分を守るために存在していた断片と、もう一度出会い直す「再会」です。

アートと先端技術を融合した制作

本作では、Unity Engine、Meta Quest 3のHand Tracking技術、MRパススルーに加え、3D Gaussian Splatting、GPUベースの流体演算表現、ソフトボディ変形演算、立体音響などを組み合わせています。 また、前身となるインタラクティブアート作品『Tactus』(芸術科学会NICOGRAPH2024デモ展示賞受賞)で研究・開発してきたクロスモーダル触覚表現を発展させ、現実空間に浮かぶ水を素手で変形させるMRインタラクションとして作品のクライマックスに組み込みました。

当事者=作者となること

『Nox』の大きな特徴は、精神的な困難を外部から観察し、説明する作品ではなく、当事者自身が構想、監督、脚本、インタラクション設計、技術開発を担っている点にあります。

本作は、「Nothing About Us Without Us(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」という考え方を創作の根幹に置いています。

映画やドラマでは、解離したアイデンティティが恐怖、狂気、暴力の象徴として描かれることがあります。しかし本作では、それらを排除すべき存在としてではなく、耐えがたいトラウマを生き延びるために生まれ、主人公を守り続けてきた存在として描いています。

『Nox』は、精神疾患を衝撃的に疑似体験させることや、症状を一方的に解説することを目的とした作品ではありません。当事者が自身の経験を語る主体となり、鑑賞者をその内的な風景へと招き入れることによって、恐怖や偏見を超えた、新しい理解と対話の可能性を提示します。

紹介動画:https://youtu.be/uS3y05Apa10?si=uPALFyMEZBcUFwmt

監督ナカダリオからのコメント

レッドカーペットを歩かせてもらえることを光栄に思います。けれど今日、私がここに立てているのは、決して平坦な道のりの先にあったわけではありません。

あなたは誰かの言葉に深く傷ついた瞬間を覚えていますか。人は、辛い記憶を忘れることで、前に進む力を得ると言われています。でも、もしその痛みが心の奥底に刻み込まれ、決して消えないとしたら?ほんの些細なきっかけで、埋もれていた古い記憶が鮮明に蘇る。それがPTSDの現実です。

Noxは、私自身が長期にわたるストレスによって深く傷ついた経験から生まれました。社会不安、幻覚、解離との闘いを通して、かつて私が見ていた世界と、見たかった世界を描き出しています。Noxは心の傷を抱えるすべての人に捧げる作品です。

私は日々この世界を地獄のように感じながら、同時にこの世界は美しいと信じたいと思っています。この矛盾した感覚こそが、Noxを作る原動力でした。VR/MRという身体ごと没入するメディアだからこそ、言葉では説明しきれない、私が見てきた世界の手触りを、そのまま誰かに手渡せるのではないかと思っています。

制作の期間は、症状と薬の副作用との戦いそのものでした。それでも「見返してやる」と

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:イベント
  • 関連組織:Apple / Meta
  • 製品・サービス:Nox / Tactus