「練習中なのに、勝手に潜ってしまう」

障がいや難病のある子、きょうだい児への水泳指導で、よく遭遇する場面です。 指示を聞いていない、危ないかもしれないと注意すべき場面かもしれません。 けれど私たちは、その手前で一度立ち止まります。

──なぜ、この子は潜っているのだろう。

宿題は、「賑やかなプールで、自分も潜ってみること」

主要指標 — KEY FIGURES

2026
2026年9月、法人向け受付を開始!
5
5年間の継続支援プログラムとして採択いただき
2
2年間継続のアドバンスコース

8月14日に実施した第4回講座では、参加者に事前の宿題を出していました。

「賑やかなプールで水に潜ったとき、自分の感覚がどう変わるか試してきてください」

当日、参加者からはこんな感想が返ってきました。

「ざわざわしているところから、一気に音が消える」

「聞こえてくるのは水の音だけで、本当に無の状態になる」

プールは人の声、水音、反響音、笛が重なる刺激の多い場所です。音に敏感な子にとって、あえて潜ることは「静かさという安心」を求める行動かもしれない。その環境を自ら体感してほしくて、この宿題を出しました。

行動と注意の間に、「なぜ」を入れる

潜る。飛び込む。走る。練習を拒否する。

こうした行動を「問題行動」と呼ぶのは簡単ですが、その子から見れば、それぞれに理由があります。行動を見てすぐに注意するのではなく、その間に「なぜ」を入れる。正解を当てることが目的ではなく、「この子はこう感じているのではないか」と想像し続けることを大切にしています。

そのため講座では、仰向けで沈みながらバブルリングを作るなど「大人でもできない課題」も体験しました。初めてのことは大人でもできない。どれだけ楽しいことで合っても、一生懸命やっていても、大人であっても、習得できないことがある。それを自分の身体で確かめておくことが、子どもの「できない」を見るときの前提になります。

パニックや涙の理由が、プールの中にないこともある

ある日、20分ほど泣き続けた子がいました。後から分かったのは、プールに来る前に兄弟げんかがあり、嫌な思いをしていたということ。その悔しさを言葉でうまく説明できないままプールに来て、パニックになっていたのです。 プールで起きた行動の原因が、プールにあるとは限りません。

いるかきょうしつでは、パニックが起きたことを指導の失敗とは考えません。「どうしたんだろう」と受け止め、心を痛めている保護者にも寄り添いながら「今日は何かあったみたいですね、そんな日もありますよね」とお伝えしています。

このエピソードに対し、現場で悩む初めてのパニックを経験した参加者の一人は「かなり心が軽くなりました」と話していました。

現場が困っているのは、泳ぎの教え方ではない

講座を続けるなかで見えてきたのは、現場の困りごとが「ハンディキャップのある子にどう泳ぎを教えるか」よりずっと前にあること、ということです。

スイミングスクールでは、既存のクラスに入れたとき、いまの人員とクラス構成で本人と他の子の安全を守れるかが問われます。放課後等デイサービスでは、通常の職員配置のまま水の活動を安全に成立させられるかが壁になります。特別支援学校・支援学級では、特性も身体の状態も医療的なリスクも違う子どもたちを、一つの水泳授業としてどう成立させるかが課題になります。

いずれの現場にも共通しているのは、目の前の子に何が起きているのかが読めないという点です。

読めないから、対応が決められない。決められないから、断るか、縮小するしかなくなります。

潜っている理由が分かれば、対応は変わります。飛び込む理由が分かれば、止め方が変わります。パニックが伝える手段のひとつだと分かれば、起きたときの向き合い方が変わります。

いるかきょうしつの指導者育成講座は、この見方を、障がい、難病、きょうだい児、診断グレーの子などの全てのハンディキャップを持つ子たちが受け入れてもらえるようなスイミングスクールを増やすべく、各事例とそれぞれの現場の悩みを持ち寄りながら育てていく場です。

2026年9月、法人向けの受付を開始予定です

2026年9月に受付を開始し、12月の開始を予定しています。

対象は、スイミングスクール、放課後等デイサービス、水泳指導者、特別支援学校・支援学級の教員の方などを想定しています。

内容や費用の詳細は、2026年9月にご案内します。

講座概要

【指導者育成事業 オンライン講座】

実施日:2026年8月14日(第4回) 全24回/毎月第2金曜日 20:00~

今回の内容:子どもの行動の背景を考える/参加者自身による水中体験課題の振り返り/ケーススタディ

対象:ハンディキャップ児への水泳指導に関心のある水泳指導者、コーチ、施設職員、学生、ボランティア等

参加費:無料

参加方法:指導者・ボランティア公式LINEに登録し、アンケートにご回答ください

※「関わってみたい」「まずは話を聞いてみたい」という段階からのご参加を歓迎します。指導経験の有無は問いません。

▼ 指導者・ボランティア公式LINE https://lin.ee/qZS7465

これまでの取り組み

一般社団法人miraiiは2026年度より、指導者育成事業を本格的に開始しました。

公益財団法人小林製薬青い鳥財団、および公益財団法人住友生命健康財団の助成を受け、複数年をかけて段階的に進めています。

2026年6月17日に第1回のオンライン講座を実施し、以降、月1回程度のペースで継続しています。これまでに、知的障がい・発達障がいへの理解や、いるかきょうしつでのミーティングの実際などを扱っています。

全24回かけて、障がい・難病など多岐に渡る知識の習得等を行いながら、ケーススタディを重ね、実際の指導の場を構築していきます。

いるかきょうしつについて

いるかきょうしつは、ハンディキャップのある子どもたちを対象に水泳教室を行っている団体です。運営は一般社団法人miraii(名古屋市)。

診断名だけで「できる・できない」を判断せず、一人ひとりの特性・泳力・理解の仕方・目標に応じて指導を行っています。

療育施設ではなく、あくまで一人ひとりに配慮しながら指導を行うスイミングスクールです。

公式サイト:https://iruka.miraii.org

体験レッスンのお申し込み・ご相談:https://lin.ee/YLBkPG1

指導者・ボランティア専用LINE:https://lin.ee/qZS7465

助成団体紹介

公益財団法人 小林製薬青い鳥財団

5年間の継続支援プログラムとして採択いただき、応援していただいております。

https://www.kobayashi-foundation.or.jp/index.html

公益財団法人 住友生命健康財団

2年間継続のアドバンスコース(地域を超えたコミュニティスポーツの展開や、特定の地域におけるコミュニティスポーツの深化をめざすもの)として採択いただき、応援していただいております。

https://skzaidan.or.jp/

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:教育・福祉
  • 関連組織:いるかきょうしつ / 公益財団法人小林製薬青い鳥財団