国立大学法人岡山大学は、脳死下臓器提供の過程において施設間でばらつきがあることを明らかにしました。提供経験の多い施設では、家族の意思決定により時間をかける傾向がみられ、多職種連携の重要性と医療体制の標準化の必要性が示唆されました。近年、国内の脳死下臓器提供数は増加傾向にあるものの、提供経験のある施設は全体の約3割にとどまり、地域や施設間で体制に大きなばらつきがあることが知られています。しかし、その詳細な実態は十分に明らかにされていませんでした。岡山大学学術研究院医歯薬学域の湯本哲也講師、中尾篤典教授らの研究グループは、全国16の救命救急センターなどが参加する「J-RESPECT study」において、脳死下臓器提供に至るまでのプロセスの実態を明らかにしました。本研究では2010年から2023年までの13年間における204例を解析し、施設ごとに臓器提供に至る過程に大きなばらつきがあることを示しました。特に、提供経験の多い施設では、家族が臓器提供を決断するまでにより長い時間をかけていることが分かりました。本研究は、臓器提供をめぐる医療体制の課題を明らかにするとともに、家族が十分な情報をもとに意思決定できる環境整備の重要性を示すものです。今後は、より全国どこでも、平等に質の高い専門医療を受けられる体制構築と社会的理解の促進につながることが期待されます。この研究成果は2026年3月26日、米国集中治療医学会雑誌「Critical Care Medicine」に掲載されました。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:academic research