クラフトビール「ISEKADO(伊勢角屋麦酒)」を展開する有限会社二軒茶屋餅角屋本店(本社:三重県伊勢市、代表取締役社長:鈴木成宗)は、実験醸造プログラム「KADOLABO」の40作目として、ワイルドエール「KADOLABO 040 Miso」を2026年8月25日に発売しました。当社の100年以上の歴史をもつ味噌・醤油事業で使用した味噌樽で、サワーエールの原酒を追熟させた製品です。開発の発端は、一人のお客さまからいただいた「サワーエールを作りたい。味噌か醤油を使いたい」というご提案でした。当社はこの提案を受け、神久工場の空き部屋をバレルサワー専用の熟成庫へ改装しています。

お客さまのご提案を受けて改装した、神久工場のバレルサワー専用熟成庫。

KADOLABO:研究開発を、製品として公開する取り組み

主要指標 — KEY FIGURES

2026年8月25日
2026年8月25日に発売しました
7.0%
ABV 7.0%

ビールの商品開発では、社内で試作を重ね、完成したものだけを商品化するのが一般的です。ISEKADOは「研究開発型ブルワリー」としてビールの新たな可能性を切り拓くべく、試作そのものに通し番号を付け、少量のまま市場に出し、結果を飲み手と共有しています。この仕組みが「KADOLABO」です。

KADOLABOは2023年7月に始動しました。定番商品では扱えない素材・工程・レシピを、ここで実装しています。

製品ラインは二層に分かれています。完成した実験は750mlのビッグボトルで、その前段階の試験醸造は「KADOLABO Unpublished」として330mlのスモールボトルで販売します。当社はこの構造を「KADOLABOのビッグボトルが『論文』であるならば、Unpublishedはその前段階の『研究ノート』に位置する」と説明しています。完成された結論だけでなく、途中経過としての知見も開示する仕組みです。

設備投資:お客さまの一言が、空き部屋を熟成庫に変えた

KADOLABOのインプットは自社内に限りません。

38作目「KADOLABO 038 Accidental Terroir」は、静岡大学「発酵とサステナブルな地域社会研究所」との共同研究から生まれました。ツツジから採取した野生酵母3株を使用し、2026年6月18日に発売しています。

40作目「KADOLABO 040 Miso」の起点は、お客さまからのご提案でした。遡ること2022年、弊社は『飲むメルセデス』と呼ばれる幻のビールに超名門ブルワリーが挑む、というアイスボックの企画でクラウドファンディングを実施いたしました。(現在終了しています)

そのリターンの中に、「伊勢角会入会権」というものがあり、一口500,000円と高額ですが、弊社でオリジナルビールが造れるという内容でした。入会された3人のお客さまのうち、おひとりからのご要望が「サワーエールを作りたい。味噌か醤油を使いたい」というものでした。ご要望にお応えすべく、当社は神久工場の空き部屋をバレルサワー専用の熟成庫へ改装することと致しました。

醸造の裏側:塩と蔵付きの菌が、同時にビールへ入る

味噌樽は杉でつくられた和樽です。オーク樽が持ち込むのがバニラを思わせる木由来の香気だとすれば、味噌樽が持ち込むのは塩と蔵付きの菌です。性質のまったく異なる二つが、同時にビールへ入ってきます。標準的なバレルエイジングの文脈には存在しない条件であり、参照できる先行研究はほとんどありません。

今回の熟成に用いた、味噌樽として使用されてきた杉の和樽。

原酒には「Median」と名づけたサワーエールを用いました。ビール酵母で発酵させたのち、フレンチオーク樽でBrettanomyces lambicus *を軸とする混合菌叢へ引き渡し、2年あまりを過ごさせています。

(*ベルギーの伝統的なランビックビールなどで働く野生酵母の一種。ゆっくりと働き、複雑な酸味と独特の熟成香を生みだす酵母)

和樽は多孔質で、液体の浸透が速いという性質があります。そのため味噌樽での追熟は1ヶ月半にとどめ、さらに全量ではなく一部をブレンドに用いました。

熟成庫に並ぶ8本の樽は、同じ原酒を分け入れたものでありながら、2年を経てそれぞれ別の表情を見せていました。その突出を均し、味噌樽由来の塩気を液体として成立する水準になるよう、ブレンドする樽を選抜し、一本にまとめています。瓶詰めののち、約3ヶ月の瓶内二次発酵を経て完成しました。

熟成庫に並ぶフレンチオーク樽。同じ原酒を分け入れながら、2年を経てそれぞれ別の表情を見せた。

味わい:強い塩味と酸、その奥に味噌蔵を思わせる発酵香

外観はアンバーカラーです。もともとライトゴールドだった原酒に、チェリーを用いたバッチの赤みと味噌樽から引き出された色合いが重なり、琥珀色に落ち着いています。

香りはトロピカルさと酸、その奥にオーク由来のバニラと、味噌蔵を思わせる発酵香があります。口に含むと、強い塩味と酸が立ち上がります。刺激的な味わいのため、複数人で分け合い、少しずつ味わう飲み方を想定しています。

瓶のなかでは依然として微生物が生きています。常温で保管すれば、その働きとともに香味はゆっくりと表情を変えていきます。劣化ではなく、ワイルドエールならではの熟成です。

外観はアンバーカラー。原酒のライトゴールドに、味噌樽から引き出された色合いが重なる。

一度きりの製品

使用した味噌樽は、味噌づくりのなかで使い込まれてきた一点ものです。同じ条件をもう一度そろえることはできません。「KADOLABO 040 Miso」は再現できない製品であり、限定特約店にのみ出荷します。

関係者コメント

「味噌樽という未知の条件でも、やったことは普段のビール設計と同じでした。欠点のある樽を外し、残った個性を均し、飲み物として成立する水準に着地させる。条件がどれだけ特殊でも、この順番だけは変わらないと確認できたことが、一番の収穫です。」

(ISEKADO CTO 山宮拓馬)

醸造を担当した山宮拓馬。背景は味噌蔵の味噌樽。

今後の展望

ISEKADOは今後もKADOLABOを継続し、定番商品では扱えない素材と工程の検証を進めます。

野生酵母の分離・培養技術は、2026年6月に発表したOEM事業「テロワールプラン」で社外に開放しています。研究開発で得た知見を、自社製品と社外との共同開発の双方へ展開していきます。

商品概要

商品名:KADOLABO 040 Miso

スタイル:ワイルドエール(原酒はサワーエール)

熟成:フレンチオーク樽で約2年 → 味噌樽で1ヶ月半追熟 → 瓶内二次発酵 約3ヶ月

スペック:ABV 7.0%/容量 750ml

発売日:2026年8月25日

価格:3,850円(税込)

販売チャネル:限定特約店のみ(EC販売なし)

開発記録:https://note.com/kadolabo000/n/n19c893212182

KADOLABOについて

内容:ISEKADOの研究開発を製品として公開する実験醸造プログラム

開始:2023年7月

構成:KADOLABO(750ml/完成した実験=「論文」)と KADOLABO Unpublished(330ml/試験醸造段階の知見=「研究ノート」)の2構成

公式note:https://note.com/kadolabo000

会社概要

会社名:有限会社二軒茶屋餅角屋本店

代表者:代表取締役社長 鈴木成宗

所在地:三重県伊勢市神久6丁目8番25号

創業:1575年(天正3年)

事業:餅菓子「二軒茶屋餅」(1575年〜)、味噌・醤油醸造(1923年〜)、 クラフトビール「ISEKADO(伊勢角屋麦酒)」(1997年〜)の3部門

URL: ▼コーポレートサイト:https://www.isekado.co.jp ▼ECサイト:https://www.biyagura.jp ▼OEMサイト:https://oem.isekado.co.jp

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:新商品発売
  • 関連組織:ISEKADO / 静岡大学「発酵とサステナブルな地域社会研究所」