六人部屋では人間のすべてが目撃される。病院関係者、つまり人類全員の必読本だ。私たちは皆病院に行く運命なのだから。
──東畑開人
人間の弱さ、強さ、愚かさ、哀しさ、可笑しさ、愛おしさ……すべてが “入院” に詰まっている。“入院” から見えてくる人間とは何か、社会とは何か。
──絶対に終電を逃さない女
入院という激震! 何が壊れ、何が残るのか?
20歳の時に潰瘍性大腸炎を患って以降、13年間の闘病生活のほとんどを病院の6人部屋で過ごした著者。
病室という、ある種非日常な空間で、人がどんな本音を吐露するのか、人生がどんな別の顔を見せるのか、家族がどんなふうに激震に耐えるのか――。そんな人間模様を描き出す10章。
入院する予定のある人、今まさに入院中の人にも、入院している家族がいる人にも、さらには入院している人のお見舞いにも最適な、おかしくも哀しい病室文学です。
著者の頭木弘樹さん
特別公開「はじめに──入院したら気をつけるべき10のこと」
入院とは、いったいどういうものなのか?
入院病棟はどんなところで、医師や看護師や同室の患者たちとの、どんな出会いが待っているのか?
そう言うと、どこかの国へ旅行でもするようだが、もちろん入院と旅行ではいろいろちがう。
まず、入院は、したくてする人はほとんどいない。
しかも、突然のことが多い。心の準備もなく、いきなり始まる。
医師や看護師も自分で選ぶことはできない。通院していた人でも、入院の担当医は外来とは替わることが多い。
同じ病室の患者たちも、「患者仲間」などと言ったりするものの、年齢も職業も趣味もばらばらで、病気さえそれぞれちがうことが多い。何の共通点もない人たちと、いきなり共同生活がはじまるのだ。
もちろん、気に入らなければ転院することもできるが、ホテルを替えるように簡単にはいかない。
これまでの日常がいきなり断ち切られ、入院生活という非日常に対応していかなければならないのだ。
それだけでもストレスだが、さらに病気の心配、お金の心配、仕事の心配、家族の心配など、さまざまな心配が頭の中、胸の内をぐるぐる回る。
私はそうした入院、退院をくり返す生活を、十三年間つづけた。
知らない国に行った人の話はちょっと聞いてみたいだろう。
刑務所に入るのはどんな感じなのかも、ちょっと知ってみたいだろう。
たとえ、入る予定はなくても。
それと同じで、入院したらどんなふうなのか、入院する予定のない人にも、ちょっと読んでみてもらえたらと思う。
もちろん、入院する予定のある人、今まさに入院した、入院中という人にも、ぜひ読んでみてもらいたい。
また、入院している人のところにお見舞いに行く人は、ぜひこの本を持っていってあげてほしい。
私は、自分が入院したときに、こういう本を読みたかったからだ。
そういう思いで、この本を書いた。
入院している家族がいる人にも、ぜひ読んでおいてもらえたらと願う。
病気というのは、ある個人、その家族にだけ、大震災が起きるようなものだ。
そこには、さまざまなドラマ、人間模様がある。
日常生活では見えなかった、見えにくかった、人間の真実がある。
入院という激震によって、何が壊れて、何が残るのか? 何に気をつけたらいいのか? 10の章に分けて書いてみた。
いくらかでも参考になれば幸いである。
目次
はじめに 入院したら気をつけるべき10のこと
第1章 人生の空白に気をつけろ! ──六人部屋という不思議な世界 第2章 二人部屋に気をつけろ! ──ふんどしと入れ墨と納豆おじさん 第3章 入院初期の不平等感に気をつけろ! ──六人部屋で口をきくようになるまで 第4章 お金に気をつけろ! ──金持ち父さん貧乏父さん 第5章 家庭崩壊に気をつけろ! ──入院は家族を激しくゆさぶる 第6章 患者だけの時間に気をつけろ! ──医師や看護師の知らない六人部屋 第7章 お見舞いの人に気をつけろ! ──お見舞い八景 第8章 医師や看護師に気をつけろ! ──思い出の医師・看護師たち 第9章 通院や院外のつきあいに気をつけろ! ──通院はつらいよ 番外編 痛い検査に気をつけろ! ──世界の見え方がちがう あとがき 社会復帰にも気をつけろ!
著者プロフィール
頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)
文学紹介者。筑波大学卒業。20歳のときに難病(潰瘍性大腸炎)になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から、『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。以後、さまざまなジャンルの本を執筆している。著書に『絶望読書』(河出文庫)、『食べることと出すこと』(医学書院)、『自分疲れ』(創元社)。
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:新製品
- 製品・サービス:『六人部屋の十三年間――病室で出会った忘れられない人たち』