社会起業家・社会物理学者の山本晋也が2022年に創設した、Web 3.0/DAOによる共創イノベーションのための社会実験コミュニティ「DICT(Design, Innovation, Co-Creation, Technology)」(運営会社:株式会社Link & Innovation)から、19社目となる新会社「株式会社DICT Koinon(代表取締役:山本晋也)」が誕生しました。

株式会社DICT Koinonは、共感、感謝、応援、専門スキルの提供、企画への協力、人の紹介といった、金銭だけでは表しきれない価値を可視化し、人から人へ、複数のコミュニティや事業、プロジェクトを越えて循環させる仕組みの企画・設計に取り組みます。

具体的な価値循環の方法や仕組みの名称、運用方法、開始時期などについては、今後の実証実験を通じて検討していきます。

社名に込めた思想──「共有されるもの」

「Koinon」は、古代ギリシャ語で「共通のもの」「共有されるもの」を意味し、複数の都市国家がそれぞれの独自性を保ちながら結びついた共同体や連合体を表す言葉として使われていました。株式会社DICT Koinon(ディクト・コイノン)は、この歴史的な共同体のあり方を現代のコミュニティ経済に重ねます。

価値の流れは、単なる数量ではありません。「誰から誰へ」「何に対して」「どの活動を越えて」移動したのかという、関係性のデータとして捉えることができます。

株式会社DICT Koinonは、価値循環の仕組みを、交換や贈与のための手段であると同時に、コミュニティの関係性を捉える「観測装置」として設計することを目指します。

DICTから誕生した19社目の法人

DICTではこれまで、メンバー同士の共創を起点として、出版、教育、地域共創、テクノロジー、研究など、さまざまな領域で法人やプロジェクトを立ち上げてきました。

株式会社DICT Koinonは、DICTが実践してきた共創のあり方を、「価値の循環」という観点から捉え直す会社です。

コミュニティ内で生まれる目に見えない貢献を可視化し、その価値が新たな出会いや協働を生む仕組みをつくることで、DICTの社会実験を次の段階へ進めます。

会社設立の背景──コミュニティで生まれる価値の多くは、記録されていない

DICTは、「多様な専門性が混ざり合うことで、予測不能な価値が生まれる」という仮説のもと、コミュニティそのものを社会実験の場として運営してきました。

起業家、研究者、プロデューサー、アーティスト、クリエイターなど、多様な専門性を持つメンバーが、それぞれの知識や経験、問いを持ち寄り、新たな法人、事業、研究、出版、イベントなどを生み出しています。

こうした活動の多くは、金銭的な報酬や外的な評価だけによって成り立っているものではありません。

「専門知識やスキルを提供する」 「企画を一緒に考える」 「イベントの運営を手伝う」 「必要な人を紹介する」 「挑戦する人を応援する」

DICTでは、このようなメンバー一人ひとりの内発的な動機と、共感や利他の精神によって、多くの共創が生まれてきました。

一方で、その過程で実際に行われた貢献や価値の移転は、取引として記録されることなく、当事者の記憶の中にのみ残っているケースが少なくありません。

すべての協力を金銭で精算すれば、共創が単なる取引へと変わってしまう可能性があります。

しかし、価値の移転が不可視のままでは、誰が誰を支え、どのような価値が循環し、それが次の活動にどうつながったのかを捉えることができません。

株式会社DICT Koinonの出発点は、こうした課題に対し、「金銭だけでは表しきれない価値を、単なる取引に変えずに可視化する」という新たな選択肢をつくることにあります。

一度目の実験──誰にも届かなかった可視化

DICTは過去に、ブロックチェーンを用いたトークンを発行し、海外の取引所で公開した経験があります。

しかし、そこで生まれたのは、DICTが目指していた共創の循環ではありませんでした。

換金可能な資産として設計された仕組みは、コミュニティの内発的な動機に十分に接続されず、共創の記録ではなく、投資対象として受け取られました。そして、その投資という文脈においても、十分な資金を集めることはできませんでした。

日本国内の規制環境や、参加者側の理解が追いついていないという現実もあり、DICTはこの取り組みを中止しました。

この経験から得られたのは、価値の可視化そのものが誤りだったのではなく、可視化の手段が資本市場に接続された時点で、それが共創の記録ではなく、投資商品として読まれてしまうという理解です。

株式会社DICT Koinonでは、この経験を踏まえ、投資や資産形成を目的とするのではなく、コミュニティの中で生まれる共感、感謝、貢献、協力の記録と循環に焦点を当てた仕組みを検討します。

二度目の実験──共創を取引に変えずに記録する

今回の取り組みは、過去の失敗を踏まえた「二度目の実験」です。

株式会社DICT Koinonが目指すのは、すべての貢献に価格を付けたり、共創を単純な取引に置き換えたりすることではありません。

人と人との間で生まれた共感や感謝、応援、協力を、その背景や関係性とともに記録し、次の出会いや活動につなげることを目指します。

一方で、これまで見えなかった貢献を可視化することには、副作用もあります。

貢献に何らかの単位や評価を与えた瞬間、「面白そうだから協力する」「誰かを応援したいから行動する」という内発的な動機が、報酬を得るための外発的な動機に置き換わる可能性があります。

株式会社DICT Koinonでは、価値を可視化することの効果だけでなく、可視化によって生じる行動や関係性の変化についても検証します。

成功事例だけでなく、想定した結果が得られなかった事例や、可視化が共創を阻害した可能性についても記録し、社会実験および研究の成果として発信していきます。

複数のコミュニティや事業、プロジェクトを横断し、「越境」を生み出す

DICTでは、異なるテーマを持つ複数のコミュニティや事業、プロジェクトが、互いに関わり合いながら活動しています。

株式会社DICT Koinonが検証するテーマの一つが、価値循環の仕組みによって、それぞれの活動領域を越えた人の移動や協働を生み出せるかという点です。

通常、コミュニティ内の活動や人間関係は、自分が普段参加しているグループや、関わっている事業・プロジェクトの中で完結しがちです。

そこで、あるコミュニティやプロジェクトで生まれた価値や貢献を、別のコミュニティが開催するイベントや、他の事業・プロジェクトが提供する商品、サービス、スキルなどにつなげる仕組みを検討します。

例えば、出版に関わるプロジェクトで貢献した人が、教育や地域共創をテーマにしたイベントに参加する。

ある事業で専門スキルを提供した人が、別のコミュニティのメンバーから商品やサービスを受け取る。

異なるプロジェクトに参加するメンバー同士が、価値の循環をきっかけに出会い、新たな企画を立ち上げる。

こうした「越境」が生まれる環境を目指します。

一つのコミュニティや事業の中だけで価値を完結させず、複数の活動の間を循環させることで、人、知識、専門性、機会の移動を促します。

これは、DICTが実践してきた「予測不能な混ざり合い」を、価値循環の仕組みから誘発する試みです。

また、どのコミュニティやプロジェクトの間で価値が行き来し、その結果としてどのような交流や協働が生まれたのかを観測することで、組織や活動の枠を越えた共創が生まれる条件を明らかにしていきます。

株式会社DICT Koinonの事業内容

1.コミュニティにおける価値循環の企画・設計

共感、感謝、応援、スキル提供など、金銭だけでは表現しきれない価値を可視化し、メンバー同士が贈り合い、循環させる仕組みを企画・設計します。

2.コミュニティ経済圏の構築・運営

イベント、スキル提供、物販、メンバーシップなど、コミュニティにおける多様な活動をつなぐ経済圏の構築・運営に取り組みます。

3.複数のコミュニティや事業、プロジェクト間の連携設計

異なるテーマや文化を持つ活動間の交流と価値循環を促し、新たな協働やプロジェクトが生まれる環境を設計します。

4.コミュニティネットワークの調査・分析

価値の利用・移転に関する記録を、参加者の意思とプライバシーに配慮しながら調査・分析し、持続的なコミュニティ運営に活用します。

5.社会実験および研究成果の発信

価値循環に関する実証実験を行い、その成果と課題を記録します。

可視化が内発的な動機に与える影響を含め、成功事例だけでなく、想定した結果が得られなかった事例についても検証し、研究発表、レポート、出版、イベントなどを通じて社会へ還元します。

代表取締役・山本晋也 コメント

人と人のあいだで動いている価値のうち、記録として残るのはごく一部です。DICTでこれまでに生まれた法人やプロジェクトの多くも、誰かの「面白そうだからやってみよう」という一言から始まっています。契約書にも請求書にも残らないその連鎖が、実際にはコミュニティを動かしてきました。

一方で、可視化には副作用があります。見えなかった貢献に単位を与えた瞬間、「感謝されたから手伝った」が「何かをもらえるから手伝った」に変わることがある。内発的な動機が外発的な動機に置き換わり、可視化そのものが共創を痩せさせてしまう可能性は、十分にあると考えています。

私たちは以前、ブロックチェーン上のトークンで同じことを試み、失敗しました。換金できる形にした時点で、それは共創の記録ではなく投資商品になり、共創の担い手には届かず、投資家からも十分な資金は集まりませんでした。今回の取り組みは、その失敗に対する二度目の答えです。

「Koinon」という社名には、それぞれが持つ独自性を保ちながら、互いの知識、経験、問い、専門性を持ち寄ることによって、共通の場をつくりたいという思いを込めました。

今回もうまくいかないかもしれません。それでも、うまくいかなかったこと自体が記録として残るのであれば、社会実験としては意味があると考えています。

株式会社DICT Koinon 代表取締役 山本晋也

山本晋也(photo by yuu kamimaki)

DICTとは

DICT(Design, Innovation, Co-Creation, Technology/ディクト)は、2022年に社会起業家・社会物理学者の山本晋也によって創設されたコミュニティです。

Web 3.0とDAOを基盤に、デザイン、イノベーション、共創、テクノロジーを融合させた社会実験を通じて、新しい価値創造の形を模索しています。

DICTは国内外の多様な拠点で活動を展開し、創設以来19社の法人を生み出してきました。

起業家、研究者、プロデューサー、アーティスト、クリエイターが集い、国際的な共創を推進する共鳴場として活動しています。

山本晋也プロフィール:https://www.virgo-all-creation.com/shinya-yamamoto

株式会社DICT Koinonについて

会社名: 株式会社DICT Koinon(ディクト・コイノン) 設立: 2026年8月 本社所在地: 神奈川県三浦市南下浦町上宮田3494番地8 法人番号: 9021001088808 代表取締役: 山本晋也 取締役: 政氏裕香、河野翔一 事業内容:コミュニティにおける価値循環の企画・設計、コミュニティ経済圏の構築・運営、複数のコミュニティや事業、プロジェクト間の連携設計、コミュニティネットワークの調査・分析、社会実験および研究成果の発信

本件に関するお問い合わせ先

メールアドレス:[email protected](DICT運営事務局)

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:企業設立
  • 関連組織:DICT