2026 年 7 月 2 日 日本銀行決済機構局
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」第 11 回会合の議事要旨
主要指標 — KEY FIGURES
1.開催要領
(日時)2026 年5月 29 日(金)13 時 00 分~15 時 00 分 (形式)Web会議形式 (参加者)別紙
2.日本銀行からの説明等 ● 冒頭、神山理事からの挨拶1の後、事務局である日本銀行から「中央銀行 デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み」について説明 2 。続いて、 「CBDCフォーラム(以下、フォーラム) 各ディスカッショングルー プ(以下、DG)の運営方法」について説明3した。主な意見等は次のと おり。
(全国銀行協会)足許、ステーブルコイン(以下、SC)やトークン化預金の 活用に向けた取り組みをはじめとして、オンチェーン金融に関する民間の 試行錯誤が着実に広がりを見せており、全銀ネットでも、こうしたデジタ ル決済手段等に対応した新たな決済システムの検討を開始した。一方で、 このようなオンチェーン金融インフラの整備に向けた取り組みは、既存の インフラである全銀システム等の高度化と並行して進める必要がある。こ うした状況の下では、中央銀行と民間金融インフラの役割分担や全銀ネッ トの位置づけなど、決済インフラ全体の枠組みに関する論点について、新 システムの稼働開始時期の目標としている 2030 年度に向けた時間軸を念頭 に置きながら官民の意見交換を行い、資金決済システムの将来像について 認識を合わせていくことが重要である。日本銀行のホールセール型CBD Cに関する取り組みについても、国際的な潮流に遅れを取らないよう、D G2やDLTサンドボックスプロジェクトを通じて、官民で一定の方向性 を共有しながら進めて頂きたい。
(電子決済等代行事業者協会)CBDCエコシステムにおける追加サービスの 開発について、一度APIを開発すると後から修正することは難しいため、 最初の規格を定める段階で実務者と対話を重ね、適切に標準化していくこ
1 https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2026/ko260529a.htm 2 https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig260604b.pdf 3 https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig260604a.pdf
1 とが重要だろう。一方で、技術の進歩に対応するためには、常に規格を見 直し、アップデートする意識も不可欠となる。CBDCが、利用者との対 話を通じて一体的にAPIを構築していくモデル的なプロジェクトとなる ことを期待している。
(金融情報システムセンター)民間金融機関におけるアセットトークナイゼー ションが進展し、日本銀行でもホールセール型CBDCに向けた取り組み が始まっていくもとで、日本においても、欧州のように一般利用型CBD Cだけでなくホールセール決済等に関する取り組みもカバーする包括的決 済戦略を示すことについて、どのように考えているか。
(日本銀行)日本銀行では、これまでも、一般利用型CBDCに関する取り組 みと並行して、民間のビジネスの動きと足並みを揃えながら、日銀ネット の運営や改善に確りと取り組んできた。足許では、預金のトークン化等の 動きを踏まえ、日銀当預のトークン化について検討を開始している。包括 的な戦略を提示するかどうかに関わらず、引き続き決済システムの将来像 を見据えながら、リテール・ホールセールを問わず、関係者と必要な議論 を行い、検討を進めて参りたい。
(金融情報システムセンター)DLT技術を活用した決済インフラの検討にあ たっては、セキュリティや安全対策を十分に検討してほしい。
(日本銀行)新しい技術は、それを支えるセキュリティも未だ発展途上である ことが多く、また未知の脅威にも備える必要がある。DLT連携サンドボ ックスの取り組み等を通じて、セキュリティや安全対策に関する課題につ いても、検討を進めていく。
(国際銀行協会)CBDCシステムのアーキテクチャーについて、仮に仲介機 関ネットワークシステムを構築する場合、その構築や整備は誰が担うのか。 また、AML/CFTに関しては、主として仲介機関が対応するものと想 定しているが、CBDC台帳側でコントロールすべきAML/CFTに関 するリスクとしてどういったものが想定されるか。
(日本銀行)仲介機関ネットワークシステムの構築主体については、現時点で 明確化しているものではない。仲介機関間の接続方式を検討するにあたっ ては、仲介機関の開発負担の程度や低減方法といった論点を重視しながら 検討を進めていきたい。AML/CFTに関しては、ご理解のとおり基本 的には仲介機関側で対応されることが想定されるが、その責任分界を含め た、具体的な対応については未定であり、今後の制度設計において検討さ れるものと認識している。
(Fintech 協会)仮にホールセール型CBDCの検討を行うにあたり、これま で実施してきた一般利用型CBDCに関する実証実験の知見はホールセー
2 ル分野での取り組みにも活用可能ではないか。また、一般利用型CBDC に関しては、関係者間でイメージが異なる事態が生じていると考えており、 デジタルユーロにおける「ワイヤーフレーム」のように、追加サービス事 業者がアプリの構成等を具体化するための情報を共有することも検討して いただきたい。
(日本銀行)ご指摘のとおり、パイロット実験を通じて得られた知見は、ホー ルセール分野での取り組みにも活用可能と考えている。例えばパイロット 実験の中で取り組んだレコード分割による処理性能向上策は、ホールセー ル決済システムへの応用も考え得る。また、日本銀行の一般利用型CBD Cに関するパイロット実験でもエンドツーエンドのテストを行っているが、 ご指摘のような具体的なイメージや技術要件の公表については、さらに検 討を要する事項も存在することから慎重に考えている。今後、必要に応じ て適切なタイミングで検討・公表していきたい。
3.財務省からの説明等 ● 財務省理財局から「CBDCに関する関係府省庁・日本銀行連絡会議」 における検討状況4について説明した。主な意見等は、次のとおり。
(金融庁)これまで検討を進めてこられた一般利用型CBDCに加え、今後は ホールセール型CBDCについても検討を進めていくということと理解し たが、一方の検討が他方の検討の前提になる等の順序関係が存在するのか、 それとも相互に独立したテーマとして検討が可能なのか、ご教示いただき たい。また、民間デジタルマネーの利用が進んだもとでの一般利用型CB DCの目的・意義について、足許どのようなものが想定されているのかに ついてもご教示いただきたい。
(日本銀行)一般利用型CBDCは、現金のデジタル版として、リテール決済 における現金の役割を補完することが主たる目的の一つであるのに対し、 ホールセール型CBDCは主に金融機関間の資金決済を円滑にするための 仕組みである。両者の検討には関連性や共通点こそあるものの、目的や役 割は異なっており、並行して検討可能な論点である。
(財務省)一般利用型CBDCの目的・意義については今後、改めて検討され るものではあるが、例えば民間デジタルマネーがカバーしない領域の受け 皿、すなわち収益性の低い地域・領域への公的な支援として提供されるこ となどが考えられる。こうしたシーンでの支払手段へのアクセスは、現状 では現金が担っているものの、将来的に現金が使われにくい地域等がでて くる可能性も意識して、検討を進めていくことが重要と考えている。
4 https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_cbdcre/kanjikai.html
3 (全国銀行協会)CBDCについて、まず基礎的な決済手段として導入し、 その後段階的に機能や利便性を高めていく方向で検討を深める考え方に賛同 する。あわせて、仲介機関のインセンティブと負担のバランスを十分に議論 しつつ、特にシステム要件やインターフェース仕様については、仲介機関と なることを検討するすべての金融機関が導入・対応可能なものとなるよう検 討を進めていただきたい。さらに、民間マネーの相互運用性向上や信頼のア ンカー機能の発揮という意義も踏まえ、新たな決済システムとの関係も含め て議論を深めていただきたい。
(財務省)制度設計に関しては、民間事業者と議論し丁寧にコンセンサスを得 ながら、着実に進めて参りたい。
(全国地方銀行協会)銀行預金からCBDCへの過度な資金シフトを避けるた めに、保有制限を設けることに異論ない。具体的な上限額やオートスウィ ング機能については、金融仲介機関の実務上の課題を踏まえたうえで、対 応可能な制度設計となるよう検討いただきたい。また、銀行が仲介機関と して顧客管理を行う場合、現金とCBDC双方の管理業務が発生するため、 銀行はじめとする関係者の意見も参考に議論を深めてほしい。
(財務省)オートスウィング機能については、銀行預金の流出を防ぐ観点から 重要である一方で、金融機関の負担も発生する。このトレードオフの関係 を意識しながら、関係者と議論を進めていきたい。
(第二地方銀行協会)ステーブルコイン等の新たな決済手段の利活用はイノベ ーションの創出につながることが期待される一方で、銀行界にとっては投 資負担の増加も懸念される。セキュリティ面に目を向けても、高性能AI の悪用によるサイバー攻撃への対策のための投資負担は増加傾向にある。 このような地方銀行を巡るビジネス環境を踏まえ、財務省及び日本銀行に おいては、各主体のコスト負担の最適化を図る観点から、CBDCの将来 の決済システムに置ける位置づけや具体的なユースケースの検討を深めて いただきたい。
4.その他 ● このほか、本会合では、金融庁総合政策局から「決済高度化プロジェク ト(PIP)」における取組状況5についての紹介が行われた。
以 上
5 https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251107-2/01.html
4 別 紙
「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」参加者
(メンバー) 全国銀行協会 黒澤企画委員長 全国地方銀行協会 富田協会担当部長 第二地方銀行協会 石井常務理事 国際銀行協会 鳥海事務局次長 全国信用金庫協会 福山業務推進部長 全国信用組合中央協会 吉澤専務理事 全国労働金庫協会 佐々木専務理事 日本証券業協会 森本常務執行役 日本資金決済業協会 家根田専務理事 電子決済等代行事業者協会 小泉副会長 Fintech 協会 沖田代表理事会長 金融情報システムセンター 坂本常務理事 金融庁 今野総合政策局総合政策課長 財務省理財局 石田次長 日本銀行決済機構局 臼井局長
(事務局) 日本銀行決済機構局 井澤デジタル通貨企画グループ長 同 池田デジタル通貨検証グループ長
5
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:政策
- 関連組織:金融情報システムセンター