植田総裁記者会見(9月1日)

――G20終了後の片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田総裁 共同記者会見における総裁発言

主要指標 — KEY FIGURES

2%
2%で維持する
3%
3%に達しました
90%
90%以上の確率で

2026年9月4日 日本銀行

―― 於・アシュビル(米国)

2026年9月1日(火)

午後7時31分から約47分間(現地時間)

【冒頭発言】

G20での議論の内容については片山大臣からご説明があった通りですので、私からは詳しくは申 し上げませんが、一言だけ、私どもに関係します金融政策について、詳細は申し上げられないですけ れども、世界経済を取り巻く環境が変化するもとで物価安定の確保に向けた適切なコミュニケーショ ンの重要性などについて各国間で議論を交わしたということについてだけご報告しておきます。

【問】

植田総裁にお尋ねをしたいんですけれども、30 日に米国のベッセント長官と会談をされているか と思うんですが、その場でどのようなお話をされたのかというのと総裁からどのような発言があった のかということ、あと米国側からベッセント長官がインフレ期待を安定させて過度な為替レートの変 動を避けるには適切な金融政策の策定とコミュニケーションが重要だというような発言があったと いうふうに発表がされているんですけれども、こういったご発言、どのように受け止められたのかと いうことと、あと今の現時点での日本国内の物価・経済情勢の局面において健全な金融政策の策定と コミュニケーションというのはどういったものというふうにお考えかというのをお伺いできますで しょうか。

【答】

ベッセント長官に確かにおとといですかね、お会いしました。様々なテーマについて有益な議論を 行うことができたんですが、残念ですが詳細についてはノーコメントとさせて頂きます。それから先 ほど申し上げた、われわれ中央銀行の金融政策について、世界環境が変化する中で適切なコミュニ ケーションのあり方、あるいは重要性ということですが、これは非常に一般的・抽象的な話で、現在 例えば日本でどういうことだというところについて議論したというわけではないということだけ申 し上げておきます。

1 【問】

総裁においては今回、9 月の決定会合前のおそらく最後の予定されている公の場での発言となると 思いますので、9 月会合について市場の注目が非常に高まっていて、7 月会合以来いろいろなデータ や今回のG20も含めて、いろいろな情報交換をされていると思います。物価の上振れリスクを以前 よりも意識しなければいけないとか、9 月会合を含めてしっかり議論が必要だという、こういったと ころについてどういうふうにお考えになっているか。それと、市場で今OISをみると大体 90%以上 の確率で 9 月の利上げというのが見込まれています。その点について何か総裁あればお願いします。

【答】

私からはまず、次回会合における利上げの可能性についての市場の織り込みについてどう考えるか、 これは日々の短期の市場の動きについてはノーコメントということで通してきていますので、今日も そういうことにさせて頂きます。そのうえでですけれども、7 月の会合の後いろいろご説明させて頂 いたわけですけれども、まずその後のデータをみてどうかということで申し上げれば、そのときに展 望レポートでお示しした経済見通し、また記者会見でお話ししたような見通しの姿に大体沿ったよう な経済データが出ているというふうに思っています。それから、そのときご説明した今後の金融政策 の基本的な考え方、これについてそれからの期間、あるいは今回の会合の議論を踏まえて何か大きく 変えたということは特にございません。そのうえで、もう一度そのときお話ししたような基本的な考 え方を繰り返させて頂きますと、そのとき申し上げた通りですが、金融緩和度合いの調整のタイミン グ、あるいはペースについては、そのとき申し上げた三つのポイント、中東情勢とそれからAI関連 の動き、そして為替相場の変動の影響、これらを特に重視しつつ、経済・物価の中心的な見通しが実 現する確度、あるいはその周りのリスクを点検しながら検討していくという基本的な考え方です。そ うした基本的な考え方に沿って経済・物価・金融情勢を点検し、次回会合を含め毎回の決定会合にお いてしっかりと議論してまいりたいと考えております。

【問】

片山大臣と植田総裁、お二人それぞれにお伺いしたいんですが、先ほどベッセント財務長官が議長 国会見の中で日本のアベノミクスについてリフレ政策だったというような認識を示したうえで、それ は成功したと。そのうえで日本は成功したとすれば、次の consequence、成功がもたらす結果につい て考えなければいけないのではないかというご発言をされたんですが、この発言について、要するに アベノミクスの次の段階、タカイチノミクスというのはどういうものかということを日本政府として、 あるいは日本銀行としてどのようにお考えかということをお聞かせください。

【答】

私の立場からさっきのご質問にお答えするとしますと、私どもは一貫して物価の上昇率を持続的・ 安定的に 2%で維持するということを目標にして政策を運営してきています。そのうえで、私はその 当時担当していなかったですけれども、アベノミクスの時代と今を比較すると、当時は現実の物価の 上昇率はすごい低いところにあった。従って 2%を目標にするという中では、それを持ち上げていく

2 ということが現実的には最大の当面の課題であったということだと思います。これに対して現状では、 私どもはよく、基調的な物価上昇率、物価上昇のトレンドのようなものですが、と言ったりしていま すが、これがかなり 2%に近くなってきているという判断をしております。ですから現在の当面の目 標としては、これをスムーズに 2%に着地させ、そこで維持するということが非常に重要になってく る、そういうふうに考えております。

【問】

植田総裁に質問お願いします。先ほどおっしゃったシナリオの蓋然性と確度なんですけれども、そ れぞれ今日までの議論で確度が高まっているのか、リスクについて特に物価の上振れリスクは高まっ ているのか、これは今回の会合の一つの争点が世界的なインフレの上昇であったり、AIの強い需要 というものが今後物価にどう影響を及ぼすかというところだったので、その観点から物価の上振れリ スクについてどうみていらっしゃるのか、お願いします。 また、金融政策運営ではそういう経済・物価だけでなく、だんだん政策金利が中立金利に近づいて いく中で、より慎重な状況把握が必要となると思います。物価の上振れリスクに対応するために早め に利上げすべきという点と、中立金利に近づくにつれより慎重に状況をみながら利上げを進めなけれ ばいけない、このバランスについてもこれまでのいろいろな議論を経てどうお考えになっているのか、 お願いします。

【答】

前半は物価見通しの確度やリスクについて、おそらく 7 月から変化したかどうかというご質問だと 思うんですけれども、そこは先ほど申し上げましたようにデータがどういうものが出たかという次元 で申し上げれば、大体見通し通りのデータがその後の 2 か月ぐらいですかね、1 か月強ですか、出て いるという中で、これは見通しの確度が上がったととらえるかどうかについては、取りあえず次回の MPMでボードメンバーの人たちと議論して判断したいというところでございます。物価の上振れリ スクの度合いがここのところのデータでどういうふうに動いたかという点についても同じでござい ます。 それから、基調物価が 2%に近づく中で一つは金利の調整を今までよりも慎重にやっていくのかど うか、一方で上振れリスクがあるかもしれない中で、それとのバランスをどうするかというご質問で すけれども、金融環境が依然として一応緩和的であるというふうにみておりますので、政策金利を引 き続き引き上げつつ緩和度合いを調整していくということはしていきたいと思いますけれども、その 際にもちろん近づいているというよりは、過去もう 5 回ほど利上げをしていますし、7 月の記者会見 でも申し上げたように、その利上げの影響は常に少しずつ累積的に出てくるという面がありますので、 それは慎重にみていきたいと思います。ということを申し上げたうえで、上振れリスクのことも考慮 しながら政策運営を判断していきたいと思います。

【問】

一問目は片山大臣と植田総裁それぞれお伺いさせてください。まず一問目なんですが、長期金利の

3 水準が 3%に達しました。この 3%という水準の率直な受け止め、評価、日本経済に与える影響を、 現時点で考えられることがございましたらお伺いさせてください。

【答】

私から前半の部分について手短に補足させて頂きますと、まず長期金利の特定のレベルについてコ メントするのは差し控えさせて頂きます。一般論として、市場で形成される長期金利の動きですけれ ども、これは一般論としてですが、先行きの経済・物価情勢、あるいは金融・財政政策に対する市場 の見方、あるいは更に海外金利の動向などを反映して動くものだというふうに認識しています。その うえで、わりと最近の長期金利の上昇についてですけれども、市場の見方をわれわれなりにまとめて みますと、中東情勢に起因するインフレ圧力の高まりであったり、AI関連の動きが強い中で大型の 資金調達が続いているということであったり、あるいはいろいろな国における財政政策に対する市場 の見方、こういうものを反映したグローバルな金利の上昇につれた動きであるかなというふうにみて おります。そのうえで経済への影響ということですが、これは今申し上げたような様々な要因で長期 金利が動いている、あるいは動いている可能性があって、そのどの要因で動いたかによって、長期金 利が上がったことによってどういう影響が経済に出るかというのは両方足し算してみないと分から ないので要因次第である、それを全部出さないといけないので、なかなか難しい作業であるかなとは 思います。いずれにせよ、金利動向についてはしっかりみていきたいと思っております。

【問】

植田総裁にもお聞きしたいんですが、植田総裁はFRBのウォーシュ議長と議論されるタイミング があったのかというところと、今回ベッセント財務長官と総裁の会談内容についてアメリカの財務省 側からリリースがされたと思いますが、こういった日本の金融政策に関するある意味要求があったと いう内容をアメリカの財務省側から発表されるというのはなかなかないことかなと思うんですけれ ども、発表に関して事前に説明はあったんでしょうか。

【答】

ウォーシュ議長とは面談とか立ち話でいろいろ有益な議論をさせて頂きました。中身については説 明は差し控えさせて頂きます。それからベッセント長官とのやりとり、中身、あるいは米国財務省側 から発表された文言について、その中身と経緯についてはやはりコメントを差し控えさせて頂きたい と思います。

【問】

総裁に一問お尋ねします。また同じくベッセント長官との会談について、アメリカ側の声明をみる と為替動向と金融政策というものを強く結びつけるような表現があったように思います。総裁もこの 為替動向をこれまで以上に注視した金融政策運営が必要だと考えているのかということと、あと今回 のように他国の政府関係者が日銀の金融政策について言及することについて、このこと自体について 植田さんはどうお考えでしょうか。

4 【答】

まず前半ですけれども、為替レートを取り出して、それに対して、昔よりも、前よりも強く反応し なくてはいけないというふうな変化があったというふうには考えておりません。私どもは申し上げて きたように、7 月以降、基調的な物価上昇率が 2%に近づく中で、リスクマネジメント的な政策の運 営の考え方からしますと、これまでよりも上振れリスクと下振れリスクに、両方に気を配って、ある いはこれまで以上に上振れリスクに気を配って政策を運営していかないといけないというふうに考 え方をもって進めてきております。その中で 7 月に申し上げたのは、上振れリスクの一つの要因とし て為替レートの動きも注視していく必要があるということでございます。それから、海外の政策担当 者が私どもの政策についてコメントされるということについてどう考えるかということですが、これ はコメントをなさる、あるいはなさらない、それはその人それぞれのご判断だと思いますが、それに 対してコメントするということは以前より差し控えさせて頂いております。 以 上

5

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR Times
  • 分類:金融政策
  • 関連組織:G20 / ベッセント長官 / FRB