公表時間 10 月1 日(木)8 時50 分
2026.10.1 日 本 銀 行
主要指標 — KEY FIGURES
金融政策決定会合における主な意見 (2026 年 9 月 17、18 日開催分)1
Ⅰ.金融経済情勢に関する意見
(経済情勢) ⚫ わが国経済は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみ られるが、緩やかに回復している。先行きも、中東情勢の影響 が下押し要因となるものの、グローバルなAI関連需要の増加 に加え、政府による各種施策等が経済を下支えすると考えられ るため、緩やかな成長を続けるとみられる。 ⚫ 4~6月のGDPの内需の数字がやや弱めだったのは、特許権 の海外売却や給食無償化などの扱いの技術的要因によるものと 考えられる。全体としては、概ね7月の展望レポートで想定し た範囲で経済も物価も推移しており、どちらかといえば景気の 下振れより物価の上振れが気になる状況が続いている。 ⚫ 4 ~ 6 月 の 実 質 G D P 成 長 率 は 増 加 し た も の の 、内 訳 を み る と 、 国内需要はマイナスで、外需はプラスではあったものの、中東 情勢に伴う供給制約から輸入が減少したことによって押し上げ られた結果にすぎず、健全な形で経済が力強く成長していると はいえない。 ⚫ 世 界 的 な A I 需 要 拡 大 等 を 受 け 、景 気 減 速 懸 念 が 後 退 す る も と 、 物価上昇圧力の高まりとそれに伴うインフレ期待底上げやグ ローバルな利上げ局面への転換など、わが国を取り巻く金融環 境に大きなレジーム転換が生じており、その確度はここ数か月 で強まっている。
1 「金融政策決定会合における主な意見」は、①各政策委員および政府出席者が、金融政策決定 会合で表明した意見について、発言者自身で一定の文字数以内に要約し、議長である総裁に提出 する、②議長はこれを自身の責任において項目ごとに編集する、というプロセスで作成したもの である。
1 (物価) ⚫ 基調的な物価上昇率は、賃金と物価が相互に参照しながら緩や かに上昇していくメカニズムが維持されるもとで、徐々に高ま っ て い く と み ら れ 、2026 年 度 後 半 か ら 2027 年 度 に か け て「 物 価安定の目標」と概ね整合的な水準となると考えられる。 ⚫ 基調的な物価上昇率は、2%にかなり近づいている。関連する 指標の中には2%を超えるものも、下回るものもあるが、これ らの分析から2%に達しているかどうかを判定することは難し く、むしろ、2%付近にあることを前提に、どのようにすれば 2%にアンカーさせられるかを議論すべきである。この点、今 後の物価動向と、それを受けた賃上げの動向に注目している。 ⚫ 基調的な物価上昇率は概ね2%に達している。前回会合以降の 物価の推移をみて、その考えを一層強くした。 ⚫ 包装材・食品トレーなどの価格上昇に加え、最近の物流費の上 昇加速は、企業の価格転嫁を容易にし、今後の最終消費財の値 上げを後押しすることが見込まれる。 ⚫ 中東情勢の影響について、当初懸念されていた景気の大幅な悪 化は、石油備蓄の利用や代替調達の進展もあって生じていない 一方、輸入価格の上振れなどから物価上昇リスクが大きい状況 が続いている。 ⚫ ごく最近の情勢を踏まえると、原油価格が高止まりすることも 念頭に置いて、先行きの物価見通しを検討する必要がある 。 ⚫ 消費者物価のうちサービス価格の前年比は、これまで徐々に上 昇してきているが、このところそのペースは概ね変わっていな いと考えている。また、個人消費は低調な推移が続いている。 ⚫ 消費者物価の前年比は、緩やかに上昇してはいるものの、政府 の施策の効果もあって、除く生鮮食品、除く生鮮食品・エネル ギ ー の い ず れ に つ い て も 、足 も と は 1 % 台 後 半 に 止 ま っ て い る 。
Ⅱ.金融政策運営に関する意見 ⚫ わが国の経済・物価は、中心的な見通しに概ね沿って推移し、 基調的な物価上昇率が2%に近づいている中、金融環境が緩和 的な状態にあることや、物価の上振れリスクに留意する必要が あることなどを踏まえると、政策金利を引き上げ、金融緩和の
2 度合いを調整することが適切である。 ⚫ ①経済・物価情勢は概ねオントラックであること、②利上げの タイミングの基準とした中東情勢・AI需要・為替相場は、引 き続き物価上振れ要因として意識せざるを得ないこと、③金融 環境は、前回利上げ後も大きな変化はみられず、緩和の領域に あると思われることから、利上げが適当である。 ⚫ 市場では、様々な要因が利上げの材料として取り上げられてい るが、今回の利上げはわが国の経済・物価・金融情勢を踏まえ たものである点、明確に説明する必要がある。 ⚫ 6月から3か月後の利上げということで、実現すれば従前より 利上げの間隔が短くなるが、想定より経済が底堅かったためで ある。 ⚫ 消費者物価の前年比が2%を下回っており、足もとの経済の状 況 も 、必 ず し も 強 い と は い え な い 状 況 に あ る こ と を 踏 ま え る と 、 今回の決定会合では政策金利を据え置くことが望ましいと考え る。 ⚫ 経済・物価情勢が、現時点ではこれまでと比べて大きく加速し ている状態にはないと考えられるもとで、このタイミングでの 利上げは適切ではないと考える。 ⚫ 今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に 近づいている中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえ ると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引 き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当である 。 ⚫ これまでは、基調的な物価上昇率が2%より低いとみられる中 で、それを上昇させることが政策の狙いだったが、現在は、基 調的な物価上昇率が2%に接近しつつあるため、それが2%の 「物価安定の目標」を超えて上振れていくリスクが顕在化し、 その後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価 上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要に な っ て い る 。そ の 意 味 で 、政 策 の 局 面 が 変 化 し た と 考 え て い る 。 ⚫ 従来の基調的物価の上昇を促すスタンスから一転し、海外環境 や物価状況に応じた機動的対応を通じて、物価上振れを防ぐ意 志を市場に示し、為替市場を通じた影響にも配慮する必要があ る。 ⚫ ①物価が今後も2%目標と整合的に推移し、②金融環境が依然
3 緩和的であれば、引き続き、利上げによって緩和度合いを調整 する必要がある。物価上振れの兆候がみえれば、そのペースを 速めざるを得ない。 ⚫ 今後の政策運営については、経済・物価の想定外の動きや環境 変化に柔軟に対応できるよう、政策金利を早めにおおよその ゴールに近づけて、上下双方向に機動的に動けるような状況に しておくことが望ましい。 ⚫ 基調的な物価上昇率は、ほどなく2%に達することが見込まれ る。ビハインド・ザ・カーブに陥るような加速感はなく、慌て る必要はないが、物価が過度に上昇を続けないよう、適切な政 策運営を進めるべきである。 ⚫ 今後の利上げを判断する際には、中立金利の推計レンジを念頭 に置くことも重要であるが、物価上昇リスクが相応にあること を踏まえれば、過度に慎重になることなく、一方で分析の視野 を広げ解像度も上げながら、引き続き適時に対応するべきであ る。 ⚫ 海外動向によっては、中立金利が事前の推計値や市場の見込む 水準から上振れる可能性もある。先験的に中立金利を志向する のではなく、利上げごとに企業・家計や金融機関の行動や金融 環境等を通じて緩和度合いを見極める必要がある。 ⚫ 金融環境の評価には企業の声が重要である。現状、これまでの 利上げや当面の更なる利上げに伴う影響は限定的との声が大半 であり、金利負担から設備投資を控えるとの声はごく一部に止 まる。需要に働きかけて物価を安定させることが利上げの目的 であり、今後も、様々な声を総合的に勘案し、全体として緩和 度合いを判断することが求められる。 ⚫ 金融環境は依然緩和的な状況にある。これまでの緩和が資産価 格を通じて緩和効果を増幅している面もある。 ⚫ 市場参加者とのコミュニケーションに当たっては、金融政策に 対する織り込みが一方向に進まないよう、丁寧に実施していく 必要がある。
4 Ⅲ.政府の意見
(財務省) ⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、2%の物価安定目 標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待 する。 ⚫ そのうえで、政策金利変更のご提案については、本会合におい て適切にご判断いただきたいが、市場等には丁寧に政策趣旨を 説明していただきたい。 ⚫ また、今後の金融政策運営に向けては、今回の変更が経済・物 価に与える影響等を丁寧に点検していただきたい。
(内閣府) ⚫ 日本銀行には、今回の決定につき説明責任を果たすとともに、 既往の利上げが累積的に与える影響について十分点検していた だきたい。今後は、日本銀行が推計した中立金利も踏まえて検 討していく必要があるのではないかと考えている。景気や市場 に過度な変動が生じた場合は日本銀行の主体的かつ適切な対応 が重要である。 ⚫ 日本銀行には政府と緊密に連携し、2%の物価安定目標の持続 的・安定的な実現に向け、適切な金融政策運営を期待する。
以 上
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FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR Times
- 分類:central_bank_meeting_minutes