中央社台北30日電。国際ブッカー賞を受賞した『台湾漫遊録』は、物語の内容だけでなく、書籍の装丁や挿絵にも深いこだわりが詰まっている。表紙のイラストには、かつて基隆八景の一つとされたが現在は消滅した「双龍瀑布」が再現されており、列車や飛瀑、苦楝花(センダン)といったモチーフが物語と呼応している。
イラストは江易珊氏が手掛けた。作中の第9章「菜尾湯」の描写に基づき、かつて基隆の美景として知られた双龍瀑布を想像力で描き出した。春山出版の荘瑞琳編集長によると、戦後の道路建設によりこの景観は失われてしまったが、当時の写真が残っていないため、あえてこの失われた風景をカバーのメインビジュアルに選んだという。
表紙の苦楝花は、当時の「卒業花」として別れを象徴している。また、登場人物の衣装は、日本統治時代の写真家・李火増氏の記録を参考に当時の雰囲気を再現した。さらに、裏表紙には美食家・黄婉玲氏の「阿舍宴」を参考に台湾料理が描かれ、扉絵には作中に登場する瓜子や米篩目などが描かれるなど、細部まで文学的な気品が漂う装丁となっている。
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