デンカアステック株式会社(代表取締役社長:後藤一之、本社:東京都港区)は、9月1日「防災の日」を迎えるにあたり、令和8年熊本地震の断水長期化で改めて浮き彫りとなった「トイレ・生活用水問題」を踏まえ、約70年にわたって培った雨水関連技術を基盤に、在宅避難や防災備蓄という視点から「雨水」を生活資源として再定義し、トイレ問題・生活継続支援につながる、日常から災害時までつかえるフェーズフリー防災(備えない防災)を提案します。
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震災時に深刻な問題になるのは「飲み水」よりも「トイレ」「生活用水」
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熊本地震が突きつけた、「当たり前の水」が使えない日々
主要指標 — KEY FIGURES
2026年7月28日16時27分に発生した令和8年熊本地震(気象庁マグニチュード7.1、最大震度7)から 1カ月。熊本県内では断水が長期化し、8月10日時点の断水復旧率は68.5%にとどまっています*1。
政府は8月末までの解消を目指す方針を示していますが、地域によって復旧の進捗には大きな差があります。避難所ではトイレなどの衛生環境の悪化や感染症リスクも指摘されています*2。
令和8年熊本地震_断水復旧率の推移(8月)
*1 出典:レスキューナウ危機管理情報センター「令和8年(2026年)熊本地震の断水復旧の推移と今後の見通し」
*2 出典:NHKニュース「避難所のトイレ 使う際の注意点は?【専門家QA】」
災害時の「水」と「トイレ」問題
東日本大震災をはじめとする大災害時には、避難所におけるトイレ不足・水不足が深刻な生活課題として浮き彫りになりました。避難生活初期に多くの避難者が仮設トイレ不足のために水分・食事を控えた結果、身体的・精神的機能の低下や感染症リスクの増加につながったという報告があります。(国土交通省 避難生活確保検討会)
「トイレが流せない」だけでなく、生活用水そのものが足りない
断水は、トイレの水だけでなく、飲み水・炊事・洗濯などあらゆる生活用水の不足を意味します。令和8年熊本地震では、31都府県の自治体・水道事業者に加え、国や自衛隊からも給水車が派遣され、8月上旬時点で約190台が被災地で稼働しました*3。給水所には住民が絶えず訪れ、「水の確保だけでも重労働だ」との声が報じられているほか*4、猛暑が続くなかで「飲み水はちびちび」「汗を洗い流せない」といった被災者の切実な声も伝えられています*5。
「水の確保だけでも重労働だ」――給水所に並んだ被災者の声
「飲み水ちびちび」「汗洗えない」――猛暑の断水が続く被災地から
限られた水を「飲み水」として優先的に確保するためにも、トイレ用水を別の水源でまかなえる仕組みには意味があります。生活用水全体が逼迫する災害時こそ、雨水という“もう一つの水源”の価値が高まります。
*3 出典:南日本新聞「31都府県から熊本に給水車 国も派遣、計190台活動」(2026/8/7)
*4 出典:読売新聞「熊本地震で断水長期化の恐れ…給水所に行列『水の確保だけでも重労働』」(2026/7/31)
*5 出典:熊本日日新聞「『飲み水ちびちび』『汗洗えない』…猛暑の断水、被災者悲鳴」
震災で本当に困るのは、「トイレ」
2016年の熊本地震でも、避難生活で「困ったこと」は「眠れる環境」(66%)に次いで「トイレ」(62%)が2位となり、「食事」「プライバシー」「飲み物」を上回りました。仮設トイレの手配にも時間を要します。名古屋大学エコトピア科学研究所の調査では、被災自治体の避難所に仮設トイレが行き渡るまでに4日以上を要したケースが66%にのぼりました*6。
*6 出典:仮設トイレが被災自治体の避難所に行き渡るまでに要した日数
令和8年熊本地震でも、断水でトイレが使えず、自宅に簡易トイレを備えていた世帯は約2割にとどまったとする調査結果が報じられています*7。 全国の家庭備蓄率も28.8%(2025年、日本トイレ協会調査)にとどまり*8、避難所生活で「困ったこと」「整えてほしいもの」は、いずれも第1位が「トイレ」という別の調査結果もあります*9。
*7 出典:日本経済新聞「熊本地震でトイレ使えず、 『簡易』の自宅備蓄2割 避難所は追加配備」
*8 出典:一般社団法人日本トイレ協会「災害時用トイレ備蓄実態アンケート調査(2025年)」
*9 出典:株式会社ネオマーケティング「災害時の避難所に関する調査」
デンカアステックが提案する「雨水利活用」のソリューション
私たちの提案する雨水利活用ソリューションは、日常生活・災害時生活の両方で価値を発揮する「フェーズフリー」の雨水インフラです。特別に「備える」のではなく、日常の延長線上に備えがある状態。
それが、デンカアステックの考える"備えない防災"です。
1. 雨水の利活用による生活継続支援
雨水は、災害時における生活用水の確保手段のひとつとして高いポテンシャルがあり、日常から災害時まで活用できる、在宅避難時の有効なインフラになりえる。
2. 災害時におけるトイレの衛生環境改善
雨水をトイレ洗浄水として利用する仕組みは、衛生環境の改善につながる可能性が高く、また、雨が降れば繰り返し利用できる継続性を保持している。
3. 生活用水へ「雨水」の利用範囲を拡大するための開発が進行中
生活に必要とされる水の21%はトイレ、お風呂は40%を占めています。
将来的には、「雨水」をトイレだけでなく、洗濯や、お風呂などにも
活用できるよう開発を進めています。
日本初※10の「トイレ洗浄用」雨水タンク「PURE EDEN(ピュアエデン)」
トイレ洗浄用雨水タンクPURE EDEN
「災害時、自宅でトイレ用水だけでも確保できれば。」そのような想いから、デンカアステックでは、雨水利活用の第一歩として、トイレ洗浄用雨水タンク『PURE EDEN(ピュアエデン)』を開発しました。本製品は、これまでの「庭の水やり用」という雨水タンクの概念を覆し、日常時・災害時双方のトイレ洗浄に特化した雨水タンクです。
※10 自社調べ(2026年2月時点、日本国内における家庭用壁面設置型トイレ洗浄専用雨水タンクとして)
<PURE EDENの主な特徴>
・屋根に降った雨水をタンクに貯留し、トイレ洗浄水・散水用水として利用可能
・1台で100リットルの雨水を貯留。
・平常時の渇水期には水道水を最低限の50L補給し、安定水量を確保。 降雨時には雨水を100Lまで貯水し、雨水を最大限利用。
・壁面設置型で日本の住宅環境や狭小敷地にも対応
・停電・断水時にも、電力を使わず※11貯留した雨水をトイレ洗浄水として利用可能
・タンク内部で水を循環させ、水質を維持。雨が降れば再び貯留し、継続利用できる
・2024年度グッドデザイン賞受賞(福井工業大学・笠井利浩教授との共同開発)
※11 2Fに設置することで高低差(位置エネルギー)を利用した送水方法
能登半島地震での導入実績。「もう一つの水源」
2025年10月には、石川県穴水町の宿泊用トレーラーハウスにPURE EDENが設置されました。このトレーラーハウスは能登で震災復興にあたる職人さんたちが少しでも現場への移動負担を軽減できるように用意されたものです。能登半島地震では長期間にわたる断水により水洗トイレが利用できないことが大きな課題となっていました。屋根に降った雨水をトイレ洗浄水として活用する仕組みは、平常時の水道使用量削減と、災害時のトイレ用水確保の両方に対応します。
デンカアステックは、能登半島地震で得られた知見をもとに、令和8年熊本地震の被災地域においても、自治体・関係機関との対話を進めながら、雨水を活用したトイレ用水確保の可能性について検討を進めていく方針です
石川県鳳珠郡穴水町 トレーラーハウス(トイレ洗浄)
「フェーズフリー」という考え方
この「備えない防災」という発想は、防災の世界では「フェーズフリー」と呼ばれています。日常時と非常時の境界を取り払い、どちらの状況でも役立つ商品・サービスを提供する考え方で、「備える」という特別な行動ではなく、日常生活の中に自然と防災の要素を組み込む点に特徴があります。PURE EDENは、平常時は生活用水として、災害時は無電力のトイレ水源として機能する、フェーズフリー設計の製品です。
南海トラフ地震の30年以内発生確率は「80%程度」に引き上げられ*12、首都直下地震への備えも急務とされる中、デンカアステックは「雨水との共生社会」の実現に向け、今後も研究・技術・社会実装を順次発信していきます。
*12 出典:日本経済新聞「南海トラフ地震、30年以内発生確率『80%程度』に引き上げ」
雨水利活用のロードマップ「雨水チャレンジ構想」
家庭で使用される水の約21%を占める「トイレ」から始まり、将来的には生活用水の約8割を雨水でまかなえる世界の実現を目指します。
【Step 1】 トイレ・散水用途 (現在)
『PURE EDEN』を主軸とした、トイレ洗浄・散水への雨水活用を普及。
【Step 2】 生活用水への拡大(2026年末予定)
家庭内水使用量の約80%(トイレ・風呂・洗濯)など、利用範囲を広げる高度な浄化・活用技術の開発。
【Step 3】 IoTによる「スマート雨水管理」
リアルタイムの気象データと建物ごとの雨水タンクをIoTで連携。豪雨前には自動で放流して貯水容量を空け、渇水時には蓄えるといった、地域全体で雨水を最適に管理・制御するシステムの実現。コンセプトは「一軒一軒のタンクがネットワークでつながり、街全体がダムになる」
デンカアステック株式会社について
デンカアステック株式会社は、旧東洋化学時代から約70年にわたり、雨樋の開発・製造に携わってきた、雨どいの老舗企業。国内で唯一、樹脂製・金属製の両方の雨樋を手がけるメーカーとして、多様な建築ニーズに応え続けています。こうした長年の実績に裏打ちされた「雨水の集水・排水」に関するノウハウを活かし、現在は“捨てる水”から“活かす水”へと視点を転換。近年では、雨水を生活用水として活用する「PURE EDEN」、豪雨時の床下浸水を防ぐ「ダムアーマー」など、環境・防災・水資源に関する社会課題の解決に向けた新規事業を展開しています。弊社では、今後も「雨水との共生社会」の実現に向け、トイレ用水にとどまらず、生活用水への活用拡大や新たな技術開発を進めながら、災害に強い社会づくりに取り組んでまいります。
デンカアステック株式会社 会社概要
社 名:デンカアステック株式会社
設 立 年:2021年4月1日(デンカ株式会社より分社化)
資 本 金:5000万円(デンカ株式会社100%子会社)
代 表 者:代表取締役社長 後藤一之
本 社:東京都港区芝公園2−4−1 芝パークビルB館 12階
電話番号:03-5473-7770(代表) W E B:https://www.denka-astec.co.jp/
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:技術開発
- 関連組織:デンカアステック株式会社 / デンカ株式会社 / 日本トイレ協会