日立グループ内での「カスタマーゼロ」で効果を確認。日立のモノづくりの知見を基盤に、形式知化プロセス(AIエージェント)と日立独自の形状認識技術を融合。「暗黙知→形式知→組織の資産」の循環を創出し、設計品質の継続的な向上を実現

設計ナレッジシステムの概念図

主要指標 — KEY FIGURES

76億ドルドル
世界の製造業向けAIの市場規模は2025年時点で76億ドルに達し
98.5億ドルドル
2026年の98.5億ドルから2034年には1288.1億ドルまで拡大
1288.1億ドルドル
2026年の98.5億ドルから2034年には1288.1億ドルまで拡大
37.9%パーセント
同期間の年平均成長率(CAGR)は37.9%と高い成長が見込まれています

株式会社日立製作所(以下、日立)は、製造業のお客さま向けに設計業務を支援する「設計ナレッジシステム」(以下、本システム)を開発し、2026年7月より提供を開始しました。

近年、熟練技術者の不足や技術継承が課題となる中、設計業務では熟練者の経験やノウハウ、技術文書、過去の不具合情報、3次元形状CADデータなど多様な情報を踏まえた判断が求められています。しかし、それらの知見は分散・属人化しており、設計ルールの活用や確認に多くの工数を要するとともに、確認漏れによる手戻りや品質のばらつきが課題となっていました。こうした課題を解決する手段として製造業におけるAI活用への期待が高まっており、世界の製造業向けAIの市場規模は2025年時点で76億ドルに達し、2026年98.5億ドルから2034年には1288.1億ドルまで拡大し、同期間の年平均成長率(CAGR)は37.9%と高い成長が見込まれています*1。

日立も課題解決を支援するために、設計者に知恵とひらめきを提供する空間のコンセプト「DIW(Design Insight Workspace)*2」を推進しており、すでに熟練ノウハウを形式知化して品質保証業務を効率化する品質ナレッジシステム*3を提供しています。このたび、設計業務における効率化と品質向上を支援するDIWの中核ソリューションとして本システムを開発し、ナレッジの蓄積・活用を通じて設計品質と生産性を高める次世代AIソリューション群「HMAX Industry」の新たなラインアップに追加しました。

本システムは、株式会社日立ハイテクにおいて、自ら最初のユーザーとして実効性を検証する「カスタマーゼロ」の取り組みとして、プロトタイプを用いて板金・製缶図面の検図作業を対象に事前の実証テストを実施しました。テストにおいては、曲げ作業や打ち抜き・切断加工が困難な作業の箇所や寸法不備等を自動で100%抽出*4し、不具合のある設計データが後工程に流出する回数を減らすなど高い効果を確認しています。

*1 Fortune Business Insights : Artificial Intelligence In Manufacturing Market Size, Share

*2 Design Insight Workspaceは、株式会社日立製作所の登録商標です。

*3 2026年6月4日の日立のニュースリリース「日立、熟練ノウハウを形式知化し、品質保証業務を大幅に効率化するAIエージェントをHMAX Industryとして提供開始:日立」

*4 板金・製缶図面の検図記録(3年分)の不備案件に対してプロトタイプ版で設計ルールを抽出した結果

熟練者の「暗黙知」を形式知化し、組織全体で活用可能な資産へ

具体的な機能としては、AIエージェントが熟練者の経験やノウハウ、過去トラブル・不具合情報などの技術文書をもとに、暗黙知を形式知化するとともに、プロンプト不要でテキストや図表から設計ルールを自動抽出し、設計ナレッジとして一元的に蓄積します。また、蓄積した設計ナレッジをチャットボットから自然言語で検索・参照できます。さらに、蓄積した設計ルールから自動生成したプログラムと日立独自の「形状認識関数データベース」を組み合わせることで、3次元形状CADデータ*4を高精度に自動チェックし、設計ルールに違反する箇所を可視化します。

設計ルールの一元化やCADの自動チェックにより確認工数や目視検図の負担を大幅に削減し、不具合の見落としを防止します。さらに違反箇所の可視化は修正作業を迅速化し、手戻り防止を実現します。加えて、過去トラブルや後工程の知見を組み合わせて設計ナレッジとして体系化し、設計現場へ継続的にフィードバックすることで、組織の資産として蓄積・活用します。さらに、運用を通じて得られた新たな知見を設計ナレッジへ継続的に反映することで、組織の資産を進化させます。これにより、組織全体の設計品質の平準化と継続的な向上を実現するとともに、熟練者依存からの脱却や技術継承を支援し、設計者が高度な設計検討などの本質的な業務に集中できる環境を創出します。

本システムは、日立が長年蓄積してきたOT(制御・運用技術)の知見や、3次元形状CADデータから部品の形状特徴を高精度に理解する独自の形状認識技術、先進のAIエージェントを組み合わせることで、複雑な設計業務を幅広く支援するものです。最大の特長は、自ら製造業として長年のモノづくりを実践してきた日立のノウハウを生かし、「穴の取得関数」や「曲げの取得関数」「距離測定関数」などを実行する独自の形状認識関数を、あらかじめデータベース化してシステム内に組み込んでいる点です。この関数群と生成AIを連携させることで、設計者が入力した自然言語のルールから形状チェック用のプログラムを自動生成し、高精度な自動判定を実現します。

*5 3次元形状CADデータ: コンピュータを用いて製品の形状を3次元形状で表現した設計データ。本システムでは、製造業で利用される標準フォーマット(STEP形式)の3次元形状モデルデータに対応

将来展望

日立は今後、設計や製造、保守、品質保証の業務全般を網羅できるサービスを展開する予定です。さらに、設計ナレッジシステムを段階的に高度化し、設計から製造・検証までを一貫して支援する基盤へ発展させ、設計者の操作・判断履歴を活用してナレッジを自動蓄積・拡張し、設計プロセス全体の高度化を支援することをめざします。将来的には、設計データから製造BOM(部品表)*6やBOP(製造工程表)*7を自動生成する機能、類似形状の高速検索によるバーチャル試作検証などの開発・実装を進めていく予定です。これらを通じて、現実世界の事象をデジタル技術でつなぎ、自律的な判断・制御を実現するフィジカルAIの領域への展開も視野に入れ、設計から製造にいたるプロセス全体のイノベーションをめざします。

日立は、産業分野向けに、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせた次世代ソリューション群であり、Lumada 3.0*8を体現する「HMAX Industry」に注力しています。これらをコアとする「インダストリアルソリューション」の提供を通じて、お客さまのライフタイムバリューを最大化し、グローバルに産業を変革することで、豊かな社会の実現に貢献します。

*6 BOM (Bill of Materials): 製品を構成する部品の一覧表。

*7 BOP (Bill of Process): 製品の製造工程や手順を定義した情報。

*8 Lumada 3.0:日立のドメインナレッジで強化したAIを活用することにより、Lumadaを進化させたもの。Lumadaとは、お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

商標注記

記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標もしくは登録商標です。

日立製作所について

日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、社会インフラをデジタルで革新し続けるグローバルリーダーをめざし、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2025年度(2026年3月期)売上収益は10兆5,867億円、2026年3月末時点で連結子会社は606社、全世界で約29万人の従業員を擁しています。詳しくは、www.hitachi.com/ja-jp/をご覧ください。

お問い合わせ先

株式会社日立製作所

お問い合わせ:製造業・流通業向けソリューション:日立

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:製品リリース
  • 関連組織:日立ハイテク