アイデンティティー・パートナーズ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:中野広介)は、2026年6月17日、IDPパワーランチ第6回「日本近代五種協会専務理事・阪部成美氏から学ぶ女性キャリアの変換点」をオンラインにて開催しました。

「ランチタイムの50分で、一線のプロから本音が聞ける」場を目指すオンライン勉強会「IDPパワーランチ」。

今回のゲストは、2012年ロンドンオリンピック近代五種日本代表であり、現・公益社団法人日本近代五種協会専務理事兼ナショナルコーチの阪部(黒須)成美氏。

「女性のキャリアの変換点」をテーマに、アスリートとして、会社員として、そして協会のリーダーとして、自分の人生を切り開いてきた思考法を語っていただきました。

本レポートでは、50分の対話から見えてきたビジネスパーソンへのヒントを凝縮してお届けします。

民間人初の五輪出場を目指して

阪部氏が近代五種競技を始めたのは小学6年生のとき。近代五種とは、水泳・フェンシング・馬術(※)・射撃・ランニングの5種目を一人でこなす、いわば究極の万能型競技です。日本国内で5種目すべてをこなせる選手は100人にも満たないと言われるほど、競技人口が少ない。 (※ 馬術は2028年ロサンゼルス五輪から障害物競走へ変更予定)

「この競技って日本だと自衛隊か警視庁の管轄所属の選手しかいなかったんです。そこに、私が民間人で行ったら面白いかなと思って。それで民間で初めてオリンピックに出ようという目標を立てて競技を続けてきました」

そのきっかけは、ひとつの逆境でした。オリンピック予選の2ヶ月前、東日本大震災で茨城の練習場が崩壊。ここで阪部氏が選んだのは「迷い」ではなく、「行動」でした。

「韓国が世界一強いチームだったので、思い切ってそこに武者修行へ」

常にマイルストーンを逆算して置いてきたからこそ、想定外の出来事が起きたときに迷わずに動けた。それが彼女のキャリアの根幹にある思考法です。

マイルストーンという思考の整理術

対談を通じて繰り返し登場したキーワードが「マイルストーン」です。

「必ずマイルストーンは置いているんです。小学生の頃から自分のゴールを決めて、マイルストーンを逆算して置いていく、というやり方をずっと続けています」

ただ、これは最初からスマートなメソッドとして導入したわけではなかったと言います。

「私はいろいろ考えちゃうタイプなんですね。なので頭のなかが常にとっ散らかっているんですよ。それを整理しないと行動に移せないタイプなので、整理のためにマイルストーンを置いています」

目標を立て、逆算して行動する。それはスポーツだけでなく、仕事や人生においても有効な「思考の整理術」です。

判断の最終基準は「自分を信用できるか」

対談のなかで印象的だったのが、阪部氏が大切にしてきた問いかけです。

「自分をどれだけ信用できるかが、すごく重要だと思っています」

自分を信用するとはどういうことか。阪部氏は、「疑いを自分に向けることも必要だし、自分の考え方が絶対合ってる、だからこれをもう曲げずに頑張るっていうのも必要だろうし」と話します。

自己肯定でも過信でもなく、自分の考えを検証し、それでも信頼できる「基準値」を持つこと。その基準があってはじめて、コーチや他者のアドバイスをスッと受け取れる状態になれる、というのです。

これはビジネスにも置き換えられます。評価を求める1on1でも、プロジェクトのピンチでも、自分の意見を持っていることが、他者の言葉を活かす土台になるでしょう。

壁を乗り越えると視野が広がる

対談者の海野(アイデンティティー・パートナーズ取締役)からは、ビジネスパーソンに向けた問いが投げかけられました。

「頭打ちになったときに転職を選ぶ人、『環境を変えよう』という人もいますが、そのマインドで環境を変えたところで何にも変わらんぞと思っていて。向き合うことがすごい大事だと思うんですけど、どうですか?」

これに対して阪部氏は力強く同意します。

「やっぱり一回は解決に向けて努力することが大切なんだろうなって思います。解決して壁を乗り越えたときにまた見えてくるものってすごく変わってくる、自分の視野が広がってるなって。 悪いときの自分もいいときの自分も全部わかっているから、今度同じようになった際にすぐうまくいくっていうのがあるので、私も同じように一回は乗り越えてほしいと思います」

環境ではなく自分を変える。壁を越えた経験が、次の壁を越えるための地図になる。トライアンドエラーで競技人生を走り抜けた阪部氏の言葉には説得力があります。

育成に面談を活かすには

視聴者からの質問で特に盛り上がったのが、選手育成の方法についてでした。

「私が育成計画を立てるときは、基本的にチーム全体としての計画を4年単位、8年単位で置きつつ、選手ごとの戦略プランを立てます。選手それぞれの個性をうまく拾ってあげることを意識してプランを立てたうえで、選手全員と面談します。面談して一緒に作り上げるということをすごく意識していますね」

面談で大切にしているのは「まず自分の意見を提示すること」。

「『私はこういうトレーニング、強化をしていきたいんだけど、あなたはどう思いますか?実際にそれは可能か不可能か』といった形でまずは聞いて、じゃあそこを埋めていこうか、みたいな作り方をしています」

このような対話の姿勢は、選手育成に限らず、組織マネジメントにも活かせます。

引き受けるタイミングを見極める

日本近代五種協会の専務理事として、女性初のポストに就いた阪部氏。しかし実は、そのポジションを打診されてから就任まで、何度もお断りしてきたといいます。

「自分がその立場に立ったときに本当に物事を広く見れるかどうか自信がなかったので、何回もお断りをしてきたっていうのはあります」

断りながら学んだのは、妊娠・出産を経たインプットの時間でした。

「断ってきた背景には、女性ならではの妊娠・出産のタイミングもありましたし、自分の人生を豊かにするために一旦お断りしたっていうのもありました。そのお休みしている期間にしっかり学び、インプットをしなきゃいけないっていうのがあったので。 インプットをして、その数年から協会を変えていきたいという気持ちに少しずつなっていったので、それで専務理事になりました」

アウトプットできると思えたときに、初めて受けた。女性として、母として、ビジネスパーソンとして、多くの転換点を経て今がある。阪部氏のキャリアはそのことを教えてくれます。

おわりに

阪部成美氏の言葉から一貫して伝わってきたのは、「自分で考え、自分を信用し、行動すること」の大切さでした。

目標を定めて逆算すること。壁にぶつかったときは、まず向き合ってみること。そして、自分なりの判断軸を持ちながら他者の意見を受け入れること。その積み重ねが、自分の可能性を広げ、次のステージへの道を切り拓いていくのかもしれません。

アスリートとして、指導者として、そして一人の女性としてキャリアを歩んできた阪部氏のお話は、変化の多い時代を生きる私たちに多くの示唆を

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  • 出典:PR TIMES
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