研究概要 順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の加賀英義准教授、田村好史教授、綿田裕孝主任教授、神経生理学の長田貴宏准教授、小西清貴主任教授らの研究グループは、高解像度機能的MRI(fMRI)と経鼻インスリン投与を組み合わせることで、2型糖尿病における脳のインスリン反応を詳細に解析しました。

その結果、健常者ではインスリン投与後に視床下部後核の活動が速やかに低下した一方、2型糖尿病患者ではこの反応が消失していることを発見しました。さらに、約1,600名の地域在住高齢者を対象とした構造MRI解析では、2型糖尿病患者で同領域の灰白質容積が低下していることも確認されました。

本研究により、これまで漠然と捉えられていた「脳のインスリン抵抗性」が、視床下部後核という特定の神経核に局在する可能性が示され、糖尿病の新たな病態理解や治療標的の探索につながることが期待されます。本成果は「JCI Insight」のオンライン版に2026年6月8日付で公開されました。

研究のポイント - 2型糖尿病における脳インスリン抵抗性を視床下部核レベルで初めて高精度に同定 - 脳インスリン抵抗性は視床下部後核に選択的に生じることを発見 - 約1,600名の地域在住高齢者コホートを用いた構造MRI解析により、後部視床下の灰白質容積の低下を確認 - 脳機能異常が構造変化に先行する可能性を提示し、脳を標的とした新たな代謝介入研究への道を開く

背景 2型糖尿病では、末梢組織におけるインスリン抵抗性が主要な病態ですが、近年では脳、特に視床下部におけるインスリン作用が、食欲や血糖恒常性の維持に重要であることが分かってきました。従来の脳画像研究では視床下部全体を一つの領域として捉えることが多く、どの神経核が障害されているのかは不明でした。

内容 本研究では、機能評価(Study 1)と構造評価(Study 2)の2つの解析を実施しました。

Study 1では、日本人男性41名を対象に、経鼻インスリン投与を用いたfMRIで脳インスリン応答を評価しました。その結果、健常群では視床下部後核において迅速な信号低下が認められましたが、2型糖尿病群ではこの反応が消失していました。

Study 2では、文京ヘルススタディに参加した高齢者1,609名の脳MRIデータを解析しました。糖尿病群では特に後部視床下部において灰白質容積の顕著な低下が確認されました。

FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:調査