関西大学化学生命工学部の近藤亮太准教授、大洞康嗣教授らの研究グループは、香川大学、大阪大学、北海道大学との共同研究により、水素吸蔵合金Ti2Niを触媒として用い、アルコール資源から医薬品中間体などの高付加価値な有機化合物を合成する反応を進行させながら、その反応で生じる水素を合金内部に同時に回収・貯蔵することに成功しました。本成果は、欧州の国際化学誌『Chemistry – A European Journal』に2026年8月19日付で掲載されました。

【本件のポイント】

主要指標 — KEY FIGURES

2026年8月19日
欧州の国際化学誌『Chemistry – A European Journal』に2026年8月19日付で掲載されました。

・液体の有機物から高付加価値の有機化合物を合成する過程で、水素をTi2Niに回収することに

成功

・Ti2Niが触媒と水素の貯蔵の「二役」を担い、「有価物の生成」と「水素の回収」を同時に

実現

・液相の有機溶媒から合金への水素の直接貯蔵は初めて。カーボンニュートラルへの活用に期待

医薬品や農薬の原料となる有機化合物の合成では、環境負荷の低減と反応効率の向上を両立する手法の確立が、世界的な課題となっています。そこで注目されているのが、アルコールから一時的に水素を引き抜き、その水素を同じ反応の中で再利用する「水素オートトランスファー反応」です。この反応は、一つの触媒サイクルの中で完結するため、廃棄物を抑えられるという利点があります。一方で従来の反応では、アルコールから取り出した水素は目的物の合成で消費、廃棄されるため、水素そのものを回収・貯蔵することは困難でした。

今回の研究では、この水素オートトランスファー反応を、水素吸蔵合金の一種であるTi2Ni上で進行させることで、アルコールとアニリン類から医薬品中間体となりうる有機化合物を合成しながら、アルコールから引き抜いた水素を合金の結晶内部に取り込み、貯蔵できることを発見しました。さらに、回収した水素は水素ガスとして取り出せることも確認しました。

水素を安全に貯蔵・輸送する方法の一つとして、液体有機水素キャリア(LOHC:Liquid Organic Hydrogen Carrier)が着目され、さまざまな有機化合物が候補となっています。アルコールを用いた有機化合物の合成は化学工業では広く行われますが、その反応過程で液相の有機溶媒から水素吸蔵合金へ直接水素を取り込み、貯蔵できた例はこれまでにありません。本成果は、有機化合物の合成と水素の回収・貯蔵を同時に実現する新たな手法として、多様な水素源を利用した輸送・貯蔵システムへと運用可能であり、カーボンニュートラルのブレイクスルーとなることが期待されるところです。

【論文掲載サイト】http://doi.org/10.1002/chem.71609

▼本件の詳細▼ 関西大学プレスリリース https://www.kansai-u.ac.jp/ja/assets/pdf/about/pr/press_release/2026/No25.pdf

▼研究に関する問い合わせ先▼ 近藤 亮太 化学生命工学部 准教授 E-mail:rkondo(at)kansai-u.ac.jp ※「(at)」を「@」に置き換えてください。

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FACT BOX ・ 要点整理

  • 出典:PR TIMES
  • 分類:研究成果
  • 関連組織:Chemistry – A European Journal