2026年4月に全国で本格実施された「こども誰でも通園制度」が、開始から半年を迎えます。2024年度から制度を先行実施してきた社会福祉法人風の森(東京都杉並区)では、制度を利用する保護者への聞き取りを実施。その結果、保護者には自分の時間や人とのつながりが生まれ、子どもには園での人間関係や日々の過ごし方に変化が見られるなど、定期的に同じ園へ通うことで生まれる親子双方への良い影響が見えてきました。
待機児童が再び増加。高まる保育ニーズの中で始まった「こども誰でも通園制度」
子ども・保護者・保育士の関係が積み重なる風の森では1歳児および2歳児を受け入れ
東京都では、2026年4月1日時点の待機児童数が1,113人となり、前年から774人増加しました。保育サービスを利用する児童数も前年比2,498人増えており、子育て家庭の保育ニーズは今なお高まっています。(2026/8/28 東京都「都内の保育サービスの状況について」)
こうした中、2026年4月には「こども誰でも通園制度」が全国で本格実施されました。
社会福祉法人風の森では、全国実施に先駆けて2024年度から杉並区の試行事業として制度を実施。これまでに約40人の子どもを受け入れてきました。2026年度の利用募集では、定員の約1.5倍の応募があり、制度へのニーズの高さもうかがえます。
項目/年度
2024年度
2025年度
2026年度(9月末時点)
受け入れ人数
15名
15名
9名
利用半年で見えてきた、親子の変化
風の森では、「こども誰でも通園制度」を利用する家庭への聞き取りを実施。継続して制度を利用する中で、親子双方に生活や人との関わりなどの面で新たな変化をもたらしていることが分かりました。
●保護者の変化
「預けて初めて、自分が疲れていることに気づいた」
「友人と会える。人と会うことで元気になる」
「毎週木曜日という、自分の予定が生まれた」
子どもを預ける時間ができたことで、自分自身の時間や予定を持てるようになったほか、家族以外の人とつながる機会が生まれたという声が聞かれました。
●子どもの変化
「3か月でお友達の顔を覚えた」
「楽しそうに通うようになった」
「内弁慶だったのに、明るくなったように感じる」
定期的に同じ園へ通うことで、保育士や他の子どもたちとの関係が生まれ、家庭以外の場所で過ごすことにも少しずつ慣れていく様子が見られています。
こども家庭庁 保育政策課 課長代理ほか5名が園を視察
2026年9月2日に、こども誰でも通園制度の受け入れ体制が整う先進園として、こども家庭庁成育局 保育政策課の担当者がPicoナーサリに来訪、誰でも通園利用時の実際の保育の様子を視察されました。保護者満足・子どもの育ちについてのフィードバックを共有し、園からは補助内容やシステム面で感じている課題を伝達しました。
「こども誰でも通園制度」とは
主要指標 — KEY FIGURES
「こども誰でも通園制度」は、就労要件を問わず、満3歳未満のこどもが、月一定時間までの利用可能枠において時間単位などで柔軟に利用できる新たな通園制度です。全てのこどもの育ちの応援と、良質な成育環境を整備するとともに、子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化する目的で創設されました。
2024年度より試行的事業として開始され、この段階では東京都杉並区では当園のみが実施いたしました。2025年度に制度化、2026年4月から全国の自治体で本格実施されています。
一時預かりとの違い
一時預かり
子ども誰でも通園制度
制度の主目的
保護者の一時的な保育ニーズへの対応
子どもの育ちを応援すること
制度上の位置づけ
自治体が実施する「事業」
2026年度から全国実施の「給付制度」
利用の考え方
保護者の必要に応じて利用
継続的な通園を通じ、家庭以外での経験や人との関わりをつくる
風の森でも、同じ曜日に継続して通うことで、子どもが保育士や友達の顔を覚え、園での生活に慣れていく姿が見られました。また保育士も、継続して関わるからこそ子どもの小さな変化や成長を捉え、保護者へ伝えることができます。
単に「預ける時間」をつくるだけでなく、子ども・保護者・保育士の関係が積み重なっていくことも、誰でも通園の特徴の一つです。
「預ける」だけではない。保育士とつながることで広がる子育て
「こども誰でも通園制度」は、これまで保育園との接点が少なかった家庭にとって、保育士と継続的につながり、子どもの成長を一緒に見守る機会にもなっています。
例えば「どんなおもちゃが好きですか?」という保護者の問いに対しても、保育士は好きなものを答えるだけでなく、集団の中でどんな遊びに興味を示すのか、他の子どもとどう関わっているのかなど、家庭とは異なる場所で見える子どもの姿を伝えます。
子育て家庭と、保育士という専門職とのつながりを生む
子どもを預かるだけではなく、その成長や変化を捉え、家庭へつなぐことも、保育士が担う専門的な役割です。
『親子を支える制度として、たしかな手応えを感じています』
社会福祉法人風の森 統括 野上美希
2024年度から2年間実施して、この制度が本当に必要とされていたことを実感しています。利用する保護者の方が「子育てを負担だと思っていなかったが、自分が疲れていたことに初めて気づいた」とおっしゃったとき、保育園が親子双方の支えになれているという手応えを感じました。
一方で、自治体ごとの運用の違いや補助の仕組みに現場として課題を感じる部分もあり、こども家庭庁の方々にも率直にお伝えしました。
保育士が専門職として子どもの育ちに関わり、子育て家庭にとっての助けとなるよう、制度としての整備を期待しています。
社会福祉法人風の森
1950年から続く久我山幼稚園での幼児教育を母体に、東京都杉並区で認可保育園「Picoナーサリ」6園を運営する。
「健全な成長と限りない能力の開花」を理念に、子どもの主体性や人格を尊重し、一人ひとりの興味・関心・強みを引き出す保育を実践している。
全ての園において国の配置基準の2倍以上の保育士を配置。残業・持ち帰り仕事ゼロ、有給取得率95%など、保育の質と保育士の働きやすさを両立する園づくりを進めている。
こうした取り組みにより、人材不足が続く保育業界の中で、中途採用倍率18倍を実現。持続可能な園運営につなげている。
認可保育園の運営に加え、一時保育、病児保育、児童発達支援など、地域の子育て家庭を支える事業も展開している。
法人名:社会福祉法人風の森(かぜのもり) 所在地:東京都杉並区 事業内容:認可保育園、病児保育、一時保育、児童発達支援等 公式サイト:https://www.kazenomori.or.jp 採用サイト:https://kazenomori.info
FACT BOX ・ 要点整理
- 出典:PR TIMES
- 分類:社会福祉
- 関連組織:社会福祉法人風の森 / こども家庭庁 / Picoナーサリ